この記事では、『機能不全(機能異常・機能障害)』という用語について解説していく。

 

理学療法士は機能不全(機能異常・機能障害)に着目すべき!

 

理学療法士が病理的変化を起こせるのであれば、それにこしたことはないが、実際には難しいケースが多い。

 

「マニュアルセラピーの対象は、基本的にDisfunction(機能不全:機能異常・機能障害)である」と海外では明記されている。

 

従って、私たちが着目すべきは「変形した膝関節」「椎間板のヘルニア」といった病理ではなく、Disfunction(機能不全・機能異常・機能障害)という事になる。

 

※「機能障害」・「機能不全」は、ICFにおける「 impairment」の訳として表現されることがある(特に機能障害)が、ここではDisfunctionとしてひっくるめて記載した(正しいかどうかは不明)。

 

※ちなみに、デジタル大辞泉では機能障害を「解剖学的な変化を伴わずに生理機能が損なわれている状態」と解説している。

 

※ちなみに、機能不全・機能異常・機能不全に関しては、様々な解釈がなされていたり、使い分けがなされていたりと、明確な違いが示せていない印象を受ける。

 

※あるいは、関節のみに限局して「関節機能異常」と「関節機能障害」の違いを厳密に区別している学派も存在する。

 

※私自身、機能不全・機能異常・機能障害の違いに関する教育を受けた記憶がない。

 

※もしかすると、これらには明確な違いがあるのかもしれないが、上記の理由から、このブログやリンク先サイト・ブログでは同一の意味としてごちゃ混ぜで記載している。

 

スポンサーリンク

 

日本では最近、運動器疾患における理学療法をカテゴライズ(システム化)出来るようになることが、他職種に理学療法の有用性を示す上で重要だとの意見がある。

 

一方で「人間は機械ではなく、病態にも多様性があるため、カテゴライズなど出来るのか?」との意見もある。

 

例えば腰部に過剰・過少運動性な椎間関節が混在しており、過剰な関節が不安定となっているのであれば、その不安定性を制御するために筋緊張が亢進してしまう可能性がある。
すると筋の循環障害がおこり、筋肉に痛みが生じたり、トリガーポイントが形成されたりにつながる可能性がある。
そうなると、医師の病理学的思考に基づく診断としては、トリガーポイント注射が著効を示したという診断的治療を基に「筋・筋膜性疼痛症候群」となってしまう可能性も否めない。

 

しかし、この例における根本的な原因は、筋・筋膜では無いとなると、病理に着目するよりも、disfunction(機能不全:機能異常・機能障害)に着目したほうが理にかなっているということになる。

 

※そして、アプローチで示した反応にあわせて手法を変えながら、次々と臨床推論を進めていくことになる。

 

したがって、理学療法士がカテゴライズするのであれば、病理ではなくdisufunction(機能不全:機能異常・機能障害)であることが望ましい。

 

その意味において、「原因別というカテゴライズ」ではなく「クライアントの機能(痛みや可動域など)に主眼を置いたマッケンジー法のカテゴライズ」は、非常に有用だと思われる。

 

関連記事

 

マッケンジー法を認定セラピスト(理学療法士)が解説!

 

マニュアルセラピー(徒手理学療法)のクリニカルリーズニングンの前提条件とは!