今回は、理学療法士・作業療法士の新人さんにとって大切な敬語(言葉使い)について、(私も改めて勉強するという意味も含めて)記載していく。
※ちなみに、ここでは訪問リハビリにや通所リハビリおける事務対応などを(独断と偏見で)記載しているため、各々の遭遇しやすい場面とかけ離れている場合もある点をご了承願いたい。
電話がかかってきて、担当者が休んでいる旨を伝える場合の対応
ケアマネージャーから電話がかかってきたが、担当者が不在であることを伝える場面は多い。
そんな際に、「申し訳ありません。○○はお休みをいただいておりまして・・・・・」という表現は誤りとなる。
「いただく」は「もらう」の謙譲語であり、例えば「皆様からご好評をいただきまして、ありがたく存じます」など、相手から受けた行為に感謝して述べる場合に用いる。
従って、休みをとった本人が上司に対して「昨日は休みをいただきまして、ありがとうっございました」と使うのであれば問題ない。
しかし、ケアマネージャー(お客)に言う場合は、ケアマネージャーが休暇を与えたわけでもなく、休暇をとったことが自分と関係しているわけでもないため、「休みをいただく」と言われても、ケアマネージャーは腑に落ちない。
※この表現では、職員が自分の職場に対して敬語を使っていることになる。
この場面では、「お休みをいだたいております」ではなく「休みをとっております」が正解となる。
待ち合わせの予約をしていた家族やケアマネージャーが訪ねてきた
ここでは、通所リハビリの見学を想定してみる。
待ち合わせをしている人が訪れた際の声掛けとして「A様でございますね」という表現は誤りである。
「ございます」は「ある」の丁寧語であり、尊敬語ではない。
「あちらにリハビリ室がございます」など物事に対してや、「川本(職員の名前)でございますね。申し訳ありませんが、ただいま外出しております」など身内に対して使う。
従って、敬意を払うべき相手の名前に「ございます」を使う事は失礼にあたる。
この場面での正解は、「A様でございますね」ではなく「A様でいらっしゃいますね」となる
ちなみに、客の来院(来所)を上司に伝える際は「○○さんが参られました」は誤りである。
「参る」は自分をへりくだる際に用いる言葉であり、正しくは以下の様な表現である。
「○○さんが、いらっしゃいました」
「○○さんが、お見えになりました」
上司や同僚に対して「ご苦労様です」は正解?
職場で「ご苦労様です」という表現を使ったことはあるだろうか?
私は、あまり記憶にない。
一方で「お疲れ様でした」は、よく用いる。
「ご苦労様」は昔、殿様が家来に対して用いていた「ご苦労」という言葉が丁寧になり、「ご苦労様」となったという由来がある。
従って、目上の者が目下の者に対して使う言葉である。
※同僚に用いることもOKらしい。
一方で、部下が上司や先輩に向かって「ご苦労様」というのは失礼にあたる。
私は部下に「ご苦労様です」と言われても何ら違和感はないのだが、そういう事らしい。
私がよく用いる「お疲れ様」という言葉は、目下の者が目上の者に使ったり、上司が部下に声をかける場合に使う。
また、院内の同僚など、位が同じ相手の場合でも用いる事が可能とされている。
従って、「地位を問わず、誰でも使える基本的なあいさつ」と言える。
ただし、やみくもに「お疲れ様です」を連発するのは如何なものかという指摘もある。
例えば、職員同士が廊下ですれ違う時に「おつかれさまです」と言ったり、朝会ったばかりの人に「おはようございます」の代わりに「おつかれさまです」と挨拶するシーンもあったりする。
要は「お疲れ様と言っておけば、とりあえずOK」と安易にその言葉を発している傾向があるとのこと。
その様な際は、「何に対してお疲れ様なのか」が不明瞭なこともあって、場合によっては相手から「別に疲れていないんだけどなあぁ」と思われてしまう事もあるという。
皆さんは、朝会ったばかりの人に「お疲れ様です」と言われると、違和感を覚えるだろうか?
私は、そういうのに鈍感な正確なためか、(多少の違和感は覚えるものの)「別に疲れてないよ」なんてツッコミは頭の中をよぎらない。
ただ、一度だけ新人の頃に、その様なツッコミをされたことは印象深く覚えている。
朝の朝礼が終わって1時間くらい過ぎたころ、事務室で看護師長にその日初めて会った。
私は就業開始後1時間くらいは挨拶に「おはようございます」を用いるのだが、その際は迷うことなく(っというか何も考えず)挨拶のつもりで「お疲れ様です」と言った。
すると「まだ仕事始まったばっかりなのに疲れているわけないじゃない」と返された。
一瞬、妙な間が空いた後に「ははは、それもそうですよね。おはようございます」と切り返して、看護師長も「そうよ、そうよ」などと笑い合いながらその場は終わったが、今でも記憶に残っているという事は、私にとって非常にインパクトのある出来事だったんだなと感じる。