この記事では、『手関節のMMT(徒手筋力テスト)』を記載している。
簡潔に記載しているので、MMT(徒手筋力テスト)を忘れてしまったリハビリ職種(理学療法士・作業療法士)、看護師、学生さんなどは、是非活用してみてほしい。
また、「MMTの基礎」や「手部以外のMMT」に関しては記事最後のリンク先『MMT(徒手筋力検査)のやり方』でまとめているので、こちらも併せて観覧してもらうと知識が整理できると思う。
手関節屈曲(掌屈)のMMT(徒手筋力テスト)
手関節屈曲(掌屈)の主動筋
・橈側手根屈筋⇒正中神経
・尺側手根屈筋⇒尺骨神経
手関節屈曲(掌屈)MMTの方法
段階5,4,3の手関節屈曲(掌屈)MMT:
患者体位:
・端坐位
・前腕回外位
・手関節掌背屈中間位
MMTの方法:
・検者は台上で一方の手で前腕を手首の下から支える
・母指や2~5 指の力は抜かせておく
・橈尺屈中間位で掌屈させる
・検者は掌屈位にて、抵抗を手掌全体に加える
また、以下のように橈側手根屈筋・尺側手根屈筋に分離したテストもある。
橈側手根屈筋のテスト:
橈屈気味に掌屈させる
抵抗は第2中手骨の上から加える
尺側手根屈筋のテスト:
尺側気味に掌屈させる
抵抗は第5中手骨の上から加える
MMTの判定基準:
段階5:
全可動範囲を運動でき、かつ最大の抵抗に抗し最終点を維持できる
段階4:
全可動範囲を運動でき、強力~中等度の抵抗に抗し最終点を維持できる
段階3:
抵抗がなければ全ての可動域を運動でき、かつ最終点を保持できる
段階2の手関節屈曲(掌屈)MMT:
患者体位:
・端坐位
・前腕回内外中間位
・手関節掌背屈中間位
MMTの方法:
・検者は台上を一方の手で前腕を手首の下から支える
・母指、2~5 指の力は抜かせておく
・台上で摩擦を最小限に手関節を掌屈させる
・台から浮かすことで橈屈・尺屈を伴うテストも実施できる
MMTの判定基準:
段階2:
全ての運動範囲を動かせるもの
段階1の手関節屈曲(掌屈)MMT:
患者体位とMMTの方法:
・端坐位
・前腕回外
・手関節掌屈で検者が支持し橈側手根屈筋と手関節掌側面をそれぞれを触診する。
MMTの判定基準:
段階1:
橈側手根屈筋は手関節掌側面外側に、尺側手根屈筋は内側に触知できる
段階0:
収縮を触れることができない
手関節伸展(背屈)のMMT(徒手筋力テスト)
手関節伸展(背屈)の主動筋
・長橈側手根伸筋
・短橈側手根屈筋
・尺側手根屈筋
※全て橈骨神経支配
手関節伸展(背屈)MMTの方法
段階5,4,3の手関節伸展(背屈)MMT:
患者体位:
・端坐位
・肘関節屈曲
・前腕回内位
・手関節掌背屈中間位
MMTの方法:
・検者は台上で一方の手で前腕を手首の下から支える
・母指、2~5 指の力は抜かせておく
・橈尺屈中間位で背屈させるた状態で、抵抗を手背全体に加える。
また、以下ののように橈側手根伸筋・尺側手根伸筋に分離したテストもある。
橈側手根屈筋のテスト:
・橈屈気味に背屈
・抵抗は第2・3中手骨の上から加える
尺側手根屈筋のテスト:
・尺側気味に背屈
・抵抗は第5中手骨の上から加える
※手指の伸展による代償が起こらないために、手指の力を抜いた状態で手関節を背屈させることが、上記全てのテストにおいて大切となる。
MMTの判定基準:
段階5:
全可動範囲を運動でき、かつ最大の抵抗に抗し最終点を維持できる
段階4:
全可動範囲を運動でき、強力~中等度の抵抗に抗し最終点を維持できる
段階3:
抵抗がなければ全ての可動域を運動でき、かつ最終点を保持できる
段階2の手関節伸展(背屈)MMT:
患者体位:
・端坐位
・前腕回内外中間位
・手関節掌背屈中間位
MMTの方法:
・検者は台上を一方の手で前腕を手首の下から支える
・母指、2~5 指の力は抜かせておく
・台上で摩擦を最小限に手関節を背屈させる
MMTの判定基準:
段階2:
全ての運動範囲を動かせるもの
段階1、0の手関節伸展(背屈)MMT:
患者体位とMMTの方法
・端坐位(任意の体位)
・前腕回外位
・手関節背屈で検者が支持
・検者は二つの筋それぞれを分けて触診することで評価する
段階1:
・長(短)橈側手根伸筋は第2(3)中手骨の基部・尺側手根屈筋は第5中手骨の基部に触知できる
段階0:
・収縮を触れることができない
※代償運動は2~5 指伸展を伴う背屈(つまり指伸筋の作用が起こっての背屈)となる。
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