この記事では、理学療法士・作業療法士が副業をするにあたって、「そもそも副業ってなんだ?」という点にもフォーカスを当てながら基本的なことを考察していく。
また、この記事の最後に「理学療法士・作業療法士の週末起業(整体師として週末だけ整体院を開業すること)」が副業となり得るのかについても考察していくので楽しみにしておいてほしい。
副業とは
ウィキペディアによると「副業」に関して以下のような解説がなされている。
「副業とは収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す。サイドビジネス・兼業とも呼ばれる」
しかし、経済学では副業に関して、以下のように少し込み入った解釈をすることもある。
『副業とは「時間」や「労働力」を使って将来のために「知識」と「経験」を得る投資である』
ここから先は、副業に関して「リスク管理」という視点も交えながら記載していく。
理学・作業療法士が副業をする目的
理学・作業療法士の皆さんは副業をしているだろうか?
私は、以前はアルバイトを副業にしており、今現在は株式投資を含めて「自宅にいながら出来る」いくつかの副業をしている。
「副業」と一口にいってもその種類は様々であり、ネットオークションなど些細なものを含めると、5人に1人は副業をしていると言われています(転職サービスDOOA出典)。
そして、副業の定義を前述した「一般的な定義」や「経済学的な定義」に当てはめるのなら、副業の目的は(ザックリと)以下の2つに絞れる。
- お金のため
- 将来のため
※もちろん、「目先のお金」と「将来のため」という2つがセットになった副業も多いと思う。
次に「②の将来のため」という点にフォーカスして記載していきます。
※「①のお金のため」は当たり前すぎるテーマなので・・・
将来のための副業
「将来のための副業」というのは以下のような要素が含まれる。
- 本業とは少し別の経験を積むことにより、本業との相乗効果を生むことを狙っている
- 副業の内容を本業にしたいと思っているが、まずは副業として自分に合っているか確かめる
副業をする際に大切なのは「何をするか」ではなく「なぜするか(何を得たいのか)」という目的をはっきりさせることが経済学的には大切とされている。
わざわざ本業とは別に時間や労働力を費やすからには、この点は重要なポイントだ。
副業は経済学的には「投資」に当てはまるので、副業がその後の自分の人生に活かされるのが理想である。
※もし副業が自分の将来に生かせたとすれば、「投資が成功した」と言い換えることができる。
理学・作業療法士が知っておくべき「経済学的なリスク」とは?
理学療法士・作業療法士の皆さんは、「リスク」というと「リスク管理」という言葉を連想し易いのではないだろうか?
つまり「リスク=危険」という連想だ。
「クライアントのリスク管理は十分出来ているのか?」という使い方がよく為されている印象を受ける。
一方で、経済学でいうところの「リスク」とは、理学・作業療法士が用いる意味とは多少異なっている。
ここでは、そんなリスクについて記載していく。
経済学でいう『リスク』とは?
副業を一種の投資だとするとリスクがつきものとなり得る。
例えば、あなたの給料が仮に25万円だとする。
そして、病院の忘年会で、院長から以下の提案をされたとする。
「私にじゃんけんで勝ったら、今月の給料を50万円にする。ただし、おまえが負けたら今月の給料を0円にする。どうだ?じゃんけんするか?」
この提案に対して、あなたは以下のどちらを選択するだろうか?
A:院長とじゃんけんをする
B:じゃんけんをしない
研究の結果として、多くの人は安全な方法(つまりはB)を選ぶことが知られている。
つまりは、平均的な金額(25万円)が同じであっても、バラツキがある状況を人間は嫌うことが分かっている。
従って、Bの「絶対に25万円もらえるという、ばらつきの無いパターン」よりもAの「50万円or0円と、ばらつきがあるパターン
経済学的なリスクの定義
リスクに関する定義の話に戻す。
理学療法士・作業療法士が一般的に言うところのリスクは「危険」などの負のイメージがあるかもしれません。
しかし、経済学で言うところのリスクとは、前述したように「結果にバラつきがあること」を指します。
例えば、重度な失調症を有しているため一人での歩行が困難(すぐに転倒してしまう)なクライアントがいるとする。
そして、そのクライアントを一人で歩かせるという行為は(経済学的には)「リスクが高い」とは呼ばない。
なぜなら「100%に近い確率で転倒してしまう」からである。
つまりは「結果にばらつき(転倒するかもしれないし、しないかもしれない、といったラツキ)」が無いのだ。
したがって、(奇妙な表現かもしれないが)「(このクライアントを一人で歩かせる行為は、リスクが小さい」ということになります。
※もちろん「経済学的な視点での表現」であって、実際の臨床でこの様な表現をするのは不適切だが、分かりやすいかなと思って例えているに過ぎない点は注意してほしい。
この様に考えると「10階建てのビルの屋上から飛び降りるという行為」はリスクが低いということになります。
※高確率で死んでしまうから
重複するが経済学では、結果の良し悪しではなく、結果のばらつきがあることを「リスク」と呼ぶ。
結果が一つであれば、それに応じた行動が取れるため、リスクは低いと言える。
たとえそれが最悪の結果であったとしても、確実に予測できることであれば、「リスクの無い出来事」ということになる。
週末開業(起業)は理学・作業療法士の副業としては妙案かも
本業とは別に、(将来につながる投資として)副業をやっておけば、将来に本業が傾いたときに(今まで副業として育ててきたスキルを活かして)副業を本業へ移行していけることもあったりする。
そういった意味では、雇われ理学・作業療法士が副業として「週末開業(起業)」を選ぶのは、経済学的に「副業」をとらえた場合、妙案かも知れない。
誰かに雇われて給料をもらうのは、生活費を確実に稼ぎたいなら、「リスクが小さい」という面では一般的に好まれ易いと思われる。
他方で、「起業して一発逆転を狙おう」というのは「結果にバラつきがある」という意味で「リスクが高い」と表現される。
したがって、「本業が安定(リスクが低い)していて、もっと幅を持たせたせるためにチャレンジしたい」と思っているのであれば、リスクが高いものを選んでも良いかもしれない。
※例えば、病院で理学療法士・作業療法士として働きつつ、副業として「週末(整体師として)開業に挑戦する」というのは良いかもしれない。
※このパターンでは本業がリスクが低い(収入という結果が安定している)からこそ、副業にリスクが高い(収入という結果にばらつきがある)ものを選択し、副業が(いずれ病院を辞めて開業をしたいと思っているのであれば)将来にもつながる有益な「投資」としても機能する可能性がある。