この記事では、「生産効率の大幅アップ」を実現させるためのキーワードとして以下の3つを紹介していく。

 

  • 規模の経済性
  • 範囲の経済性
  • ネットワーク外部性

 

規模の経済性

 

生産規模が大きくなるほど「製品1個当たりの生産費用(=平均費用)が安くなるという性質のことを『規模の経済性』と呼ぶ。

 

※平均費用とは「経済的な価値を生み出すうえで平均的にかかる費用(コスト)のことである。

 

固定費用が高額な製品であるほど、この性質が強く働く。

 

例えばパソコンなどは、作れば作るほど平均コストが安くなり、得られた利益で更に高品質なパソコンを開発出き、更に安い価格で発売できるため多くの消費者が手に入れることが出来るという好循環が生じる(TVも同様)。

 

ちなみに、固定費用が低額な製品であるほど、規模の経済性をあまり影響をうけない(極論といてパソコン1台で大事業を展開できてしまうようなビジネスなど)。

 

また、規模の経済性には悪影響も存在し、以下の様な自転車に例えられる。

 

一定以上のスピードで前に走っていれば不安定に見えても倒れない。

しかし、誰かが前から押して、無理に後ろに進ませれば簡単に倒れてしまう。

 

 

つまり、規模の経済性を活かしている企業は、成長し続けることが義務付けられてしまったのである。

でもって、たった1割程度の物やサービスが売れなくなっただけでも、深刻な経営危機が起こってしまうのである。

 

規模の経済性については以下の記事でも深堀解説しているので合わせて観覧してみてほしい。

⇒『「規模の経済性」とは? | デイサービスは規模が多きほど儲り易い?

 

 

範囲の経済性

 

異なる複数のビジネスを組み合わせて行うことでコスト(平均費用)が安くなる性質のことを『範囲の経済性』と呼ぶ。

 

例えば、企業が色々な業種のビジネスを行うとき、精密機械の生産のために磨いた技術が生活用品の生産効率を高めるものにも役立つといった事がある。

1種類のビジネスをやるよりも、複数のビジネスを同時にやるほうが、つまり経営の多角化をするほうが、生産効率が上がる(平均費用が下がる)という性質のこと。

 

例えば「高級な日本料理を出す料亭と、大衆的な居酒屋を同時に経営する」といったケースでは、牛や豚を1頭丸ごと仕入れて自社でさばいて、高く売れる部位は料亭で売り、残りを居酒屋で売るといったことが可能となる。すると、特定の部位だけを仕入れるよりも、仕入れの費用が大幅に下がるので、範囲の経済性が働いていると考えられる。

 

これは以下の記事でも紹介している株式銘柄であるコロワイドやゼンショーホールディングスやガストでも言えることである。

⇒『規模の経済性とは? | デイサービスは規模が多きほど儲り易い?

 

つまりは、以下などをイメージすれば範囲の経済性が分かり易いと思う。

高級な日本料理を出す料亭と、大衆的な居酒屋を同時に経営すると、例えば牛や豚を1頭丸ごと仕入れて自社でさばいて、高く売れる部位は料亭で売り、残りを居酒屋で売るといったことが可能となる。すると、特定の部位だけを仕入れるよりも、仕入れの費用が大幅に下がる。

 

 

リハビリの例では、病院とデイケアと居宅を同時に運営することで自転車操業的な相乗効果を生み出すことが可能と言える。

この場合、単体では赤字でも相乗効果による影響で黒字化することもあり得る(デイケア赤字でも、その人たちが当院がかかりつけとなり外来受診もすることを考えたらトータルでプラスになるなど)。

しかし、範囲の経済性を生かそうとした結果、「本業は順調であったのに、経営の多角化に失敗して倒産する」といったケースもあるので注意を要する。

 

例えば、最近下落基調なため「そろそろ底かな」と思って購入した『楽天』なんかは経営を多角化しているが、それぞれがシナジー効果を十分に発揮できるかどうかが市場からは疑問視されている(頼むから上昇してくれ・・・)。

⇒『株式投資 第3弾!『楽天』を大量購入について!はたして上昇なるか?

 

 

ネットワーク外部性

 

他の加入者が多くなるほど、そのネットワークの利便性が高まるという性質のことを『ネットワーク外部性』と呼ぶ。

 

ネットワーク外部性が強く働いている場合には「大部分の人が一つのネットワークにつながる状態が一度生じると、それに類似した他のネットワークに乗り換えることが難しくなる」といったことが起こる。

 

ネットワーク外部性が強いと、何らかの「一人勝ち(独占)」が生じやすくなるのである。

 

例①スマホとガラケー

例えば、スマホとガラケー。スマホを利用する人が多いと、新しく端末の購入を検討している人は「友人と簡単に情報を共有できる(LINEなど)・話題を共有できる」などの多くのメリットから、スマホを購入してしまう。するとスマホは益々売れるようになり、機能も充実していく。

一方で、ガラケーは益々売れなくなり、製造か撤退する企業が出始めたりする。

※ちなみに私はガラケーなのだが、あまり販売されなくなってきているので、流石に今のガラケーが壊れたらスマホに乗り換えようと思う。。

 

例②楽天の多角経営

先ほど『楽天』をディスったが、楽天は「楽天市場」や「楽天トラベル」をはじめとした多角経営をしている。で、楽天カードという決算手段でポイントをためやすくすることで、様々な楽天サービスを活用することでポイントがザクザクたまる仕組みを構築している(今回、携帯キャリア事業へ新たに手を出すとのこと)。このようにしてユーザーを楽天圏に囲い込みたいという思惑があるのだと思う。でネットワーク外部性としてはビッグデータとしてユーザーの情報が集積されるので、そのデータをさらに様々なサービスへ応用することが出来る(今後、この様なビッグデータは非常に価値が出てくるとされている)。

 

例③:電子書籍

もう一余談として、電子書籍を例に挙げてみる。

皆は、電子書籍を読んだことはあるだろうか?

読んでいる人は、どの会社から購入しているだろうか?

アマゾンから購入してキンドルで読んでいる人が多いかもしれない。

ちなみに私はイーブックイニシアティブジャパンという会社から電子書籍を購入している。でiPadで読んでいる(スマホは持ってないがiPadは持っている)。

計2130冊の電子書籍を保有しているが、95%以上はマンガである。

話が脇にそれてしまったが、この電子書籍大バーゲンをすることがある。例えば「期間限定で5割引き」とかしょっちゅうやってた。時には1~5巻まで無料なんてキャンペーンも。。

で、例えば採算度外視による無料戦略は、おそらくネットワーク外部性を考慮してのことだろう。とにかく会員を増やす。で、無料の本を幾つも持っていたら「ついでに電子書籍はこの会社で購入し続けよう」という思考になり易い。この様に囲い込むと、出版会社との交渉がし易かったり、より使いやすい読書用アプリへと進化もし易い。

 

上記解説からも分かるように、ネットワーク外部性には『バンドワゴン効果』が生じる。

バンドワゴン効果とは、簡単に言うと「多数派なものに、自分も乗っかっておこう」という心理のもとで行動してしまうことを指す。

 

皆がスマホばかり持っていたら、自分もスマホに変えたくなる。皆が結婚していたら、自分も結婚したくなる。皆が車を持っていたら、自分も車を持ちたくなる。「自分の考え」は脇に置き、「とりあえずみなと同じ方向へ」というのがバンドワゴン効果である。

 

関連記事⇒『理学療法士・作業療法士の努力が実る3つの条件!!

 

 

このバンドワゴン効果が追い風になると、圧倒的なスピードで利用者数・収益などが跳ね上がる可能性がある。

 

なので、ライバル企業は、他者の「ネットワーク外部性」を非常に警戒している。

 

そのため極端な手法に走ってでも、(自社も)ネットワーク外部性を強めるようとすることがある。

 

例えば企業が採算度外視して薄利多売で「話題に取り上げてもらう」といった手法を取るのもネットワーク外部性を強める意味合いがある(前述した電子書籍のような感じ)。

 

 

『ロックイン』をついでに解説しておく。

 

ネットワーク外部性と関連のある『ロックイン』という用語についても解説しておく。

 

ロックインとは以下を意味する経済用語である。

 

色々な選択が出来るはずなのに、行動を固定してしまうこと

 

人間は行動を固定化してしまう習性がある。

 

これは、他の選択に変更しようとすると余計なコスト(労力や時間)がかかるためであり、これを『スイッチングコスト』と呼ぶ。

 

また、他を選択することによる失敗リスクを回避するためにも、行動を固定化してしまいやすい。

 

例えば、行きつけのお店しか行かない、同じ料理しか作らないなど。

 

店側も客にロックインするための工夫をする。例えば、「ポイントカード」や「次回の割引チケット」を渡したり、「無料の試供品」を配布するなどである。

これらにより、客がロックインされたらしめたもので、繰り返すことで客を囲い込むことが出来る。

 

ネットワーク外部性に関して類似したエピソードを何度も紹介しているので、ロックインという用語に関しても何となく理解してもらえたと思う。