この記事では『前鋸筋Serratus anterior muscle』について解説している。

 

筋力トレーニングについても解説しているので、是非参考にしてみてほしい。

 

前鋸筋の基本情報

 

前鋸筋の基本情報は以下になる。

 

起始

第1~8肋骨の外面

第1・2肋骨間の腱弓

 

停止

肩甲骨の上角-内側縁-下角

 

作用

肩甲骨の外転・上方回旋

肩甲骨を固定すると、肋骨を外側頭方へ引く。

上肢の運動のとき、肩甲骨の固定筋として働く。

 

神経

長胸神経(C5-7)

 

筋連結

小菱形筋、大菱形筋、肩甲挙筋、外腹斜筋と連結。

 

 

前鋸筋の作用をわかりやすく紹介した動画

 

前鋸筋は肩甲骨と鎖骨間をつなぐため、四肢筋と比べて動きを理解しにくい。

 

そんな前鋸筋の作用をわかりやすく紹介してくれている動画が以下になる。

 

 

前鋸筋の収縮によって肩甲骨が上方回旋している様が理解しやすい。

 

翼状肩甲

 

翼状肩甲とは、以下を指す。

 

前鋸筋の筋力低下・萎縮で生じる現象で、通常の立位時にも肩甲骨下が浮きあがっており、屈曲位からの復位動作や肩外転90°での肩関節外旋でさらに下角が浮いてくること。

 

菱形筋が優位な場合は、肩関節外転90°(1st position)での肩関節外旋で菱形筋の外形が明確になる(+肩関節外旋の代償として、肩甲骨の内転が生じる)

 

この代償を防ぐために、他動的に肩甲骨の内転を抑制すると、外旋可動域と筋力は低下する。

 

 

前鋸筋の筋力トレーニング

 

一般的に言われている前鋸筋のトレーニングとしては以下が挙げられる。

前鋸筋の筋力トレーニング

上記はボールを押しつぶすことで、肩甲骨の前方突出(前鋸筋の収縮)を図っているが、ボールなしで壁を押す動作でもトレーニングになる。

 

もう少し積極的で(尚且つ他の筋とも強調したトレーニングとしては)腕立て伏せなどが該当する(リハビリとして使われることは無いが念のため。。)。

 

 

また、以下のようにボールを挟んだ状態で、可能な範囲で肩関節を屈曲する運動も前鋸筋トレーニングに該当する。

 

前鋸筋の筋力トレーニング
前鋸筋の筋力トレーニング

肩甲骨を外転位に保持することで肩甲骨内転筋である菱形筋・僧帽筋中部線維(+下部線維)などをを抑制した状態で、前鋸筋をトレーニングすることが可能となる。

 

以下は、抗重力位での前鋸筋トレーニングとなるので、負荷が高くなる。

前鋸筋の筋力トレーニング

 

前鋸筋の「機能的な」筋力トレーニング(一例)

 

肩甲骨周囲筋の筋力トレーニングは、明らかに弱化している筋がある場合、単独での実施も重要だ。

 

しかし一方で、組み合わせて実施されることも多い(この方が機能的なトレーニングといえる)。

 

特に、ある程度まで上肢挙上が可能となってきた場合、僧帽筋下部や前鋸筋の重要性が増してくる。

 

でもって僧帽筋下部のトレーニングに関しては『僧帽筋とは?ストレッチングや筋トレも紹介』で解説しているので、ここでは前鋸筋のトレーニングについて解説していく。

 

  • 壁面での上肢挙上運動
  • 上肢挙上位での徒手抵抗運動

 

壁面での上肢挙上運動

 

トレーニングの方法

  1. 壁面に向けて立位。
  2. 肘関節伸展位のまま、片手はできるだけ壁面に向けてよじ登るように前方挙上角度60°から段階的に増し、最大挙上できるまで手を挙げ、そして挙げたところから少し手を降ろす。
  3. これを反復して行う。

声かけの一例

手にしたタオルを壁面に沿ってスライドさせるようにできるだけ高く手を挙げてください。挙げた手を少しだけ降ろして下さい。反復して行いましょう。

 

 

上肢最大挙上位で、手を頭側へ向けて押す運動

 

トレーニング方法

  1. 患者は椅座位で、上肢最大挙上位。
  2. そこから患者は「自身の手を天井に向けて押す」ように伸ばし、セラピストはその運動へ軽微な抵抗を加える。
  3. これにより等尺性収縮と筋力増強により、肩甲上腕骨関節の可動域拡大を図る。

運動のポイント

  • 抵抗を加えている間、肘関節は伸展位のまま上肢最大挙上位保持を指示する
  • セラピストが抵抗している手を離しても、上肢最大挙上位保持が可能になるようにする。

 

声かけの一例

挙げた腕の手と私の手と合わせてください。私があなたの手を押しますその力にまけず、押しかえしてください。