この記事では、呼吸に働く筋をまとめていく。
どの筋が呼気筋・吸気筋かを、整理していみてほしい。
呼吸運動について
呼吸運動は吸息(吸気)と呼息(呼気)があり、具体的には以下の通り。
吸息(inspiration)
吸気筋の収縮によって胸郭が拡大されることにより、胸膜腔の陰圧が増大し、肺が膨張して外気の流入が起こることを指す。
呼息(expiration)
吸気筋の弛緩と呼気筋の働きによって胸郭が元に戻ることにより、肺が縮小し肺内空気が流出することを指す。
腹式呼吸と胸式呼吸
呼吸は主として横隔膜の収縮によって呼吸する場合を『横隔膜呼吸運動(あるいは腹式呼吸運動)』と呼び、安静時呼吸の全肺活量の3/4を占める。
また、主として肋間筋の働きによって呼吸する場合を『肋骨呼吸運動(あるいは胸式呼吸運動)』と呼ぶ。
呼吸筋について
呼吸運動に関与する筋は、「吸気に働く筋」と「呼気に働く筋」に分けられる。
吸気に働く筋
呼吸に働く筋は以下の通り。
- 横隔膜(肋骨引上げ)
- 外肋間筋(肋骨引上げ)
- 小胸筋(肋骨引上げ)
- 大胸筋(肋骨引上げ)
- 鎖骨下筋(鎖骨を固定することにより、吸気を助ける)
- 内肋間筋(呼気筋であるが、肋軟骨部にある筋が肋骨の引き上げに働く)
- 肋骨挙筋(肋骨を引き上げ)
- 胸鎖乳突(努力呼吸時に働く)
- 斜角筋群(努力呼吸時に働く)
- その他(舌骨上筋群・僧帽筋・上後鋸筋・脊柱伸筋群などが吸気時に補助筋として働く)
主動作筋は横隔膜と外肋間筋、その他は補助筋とされている。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では、「慢性的な呼吸の抵抗の増大」と「頻繁な胸鎖乳突筋と斜角筋を含む吸気補助筋の活動」が特徴的にみられる。
呼気に働く筋
- 内肋間筋(肋骨の引き下げ)
- 胸横筋(肋骨の引き下げ)
- 腹直筋(腹腔内圧を上げて横隔膜を押し上げ、さらに下部肋骨を下内方に引き下げて胸腔を狭くする)
- 内外腹斜筋(肋骨の引き下げ)
- 腹横筋(腹圧を上げる)
- 菱形筋(下部肋骨の引き下げ)
- 下後鋸筋(下部肋骨の引き下げ)
内肋間筋は呼気筋であるが、肋軟骨部にある筋は肋骨の引き上げに働く(=吸気筋としても働く)。
以下は「吸気時の外肋間筋」と「呼気時の内肋間筋」の収縮を分かりやすくイラスト化したものである。