私たちが日常で痺れ(と痛み)に遭遇する動作として、正座があげられる。

 

この痺れ(と痛み)は、誰でも体験したことがある可能性が高く、末梢神経の機械的刺激による影響をイメージしやすいため記載しておく。

 

 

~正座における痺れと痛みの機序~

 

正座における、痺れと痛みの機序は以下の通りである。

 

①正座で神経線維が圧迫を受けると神経に栄養を送っている血管も同時に圧迫されるため、一次的に神経細胞に血液を送ることができなくなる。

②血液を送ることができなくなると、神経細胞のエネルギー源であるATPの合成が妨げられ、細胞内外の物質濃度を調整することができなくなり、電流の発生が抑制され、感覚が消失する。

③その後、正座を解く(神経栄養血管への圧迫を除去する)と、今まで圧迫されていた血管に再び血液が送られ、神経がATPを合成できるようになる。

④その結果、神経細胞が正常化し、細胞内と細胞外の濃度を元に戻そうとするが、濃度の差が著しいため、それを正常化するためにポンプを頻回に作動させて濃度を調整する必要がある。

 

しかし、濃度が調整される度に電気が発生するため、神経はかなりの頻度で異常興奮を起こし、しびれや痛みが起こることになる。

 

 

~痛覚神経より触覚神経が先に圧迫の影響を受ける~

 

神経系は太い神経から細い神経の順に圧迫の影響を受ける。

 

そのため、太い触覚神経のほうが先に影響を受け、細い痛覚神経は後に影響を受けることになる。

 

このことが、神経(と神経栄養血管)に圧迫が加わった際に、触覚のみが消失するケースが多いことの理由になる。

 

そして、この原理(圧迫により触覚が消失した後も痛覚は残存する)を利用したアロデニアの実験も存在し、この実験によりアロデニアが痛覚神経のみならず触覚神経も関与していることの証明にも使われている。

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