この記事では、認知バイアスの一つである「注意バイアス」に関して解説していく。

 

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注意バイアスとは

 

私達は(無意識に)特定の事象へ注意が向きやすい傾向を持っており、この『傾向』には個人差がある。

 

そして、この個人差は認知バイアスによってもたらされていると認知行動療法では考え、
注意に関する認知バイアスの事を『注意バイアス』と呼ぶ。

 

一般論として、(注意バイアスによって生じた)私たちの選択的注意はポジティブな事象よりも、ネガティブな事象に向きやすいとされている。

 

その理由は分かっていないが、一つの仮説として、人々は遥か昔から自然と言う驚異に立ち向かうために必要な情報として「死」「脅威」「危険」などへ注意する能力が遺伝子に組み込まれているからだと言う人もいる。

 

そして、「人はネガティブな事象へ注意が向きやすい」という注意バイアスの傾向は、ごく僅かではあるものの、時としてニュースや政治にも利用されていると言われている。

 

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注意バイアスの影響

 

冒頭で、「一般論として私たちの注意は、ポジティブな事象よりも、ネガティブな事象へ向きやすいとされている」と記載したが、その傾向は極僅である。

 

そのため、日常生活を送る上で自身の注意バイアスには気づきにくく、その時々の精神状態でも変わってくるため、説明されてもピンとこない人も多いのではないだろうか。

 

なので、注意バイアスを理解するには、やはり極端な例を想像するのが手っ取り早いではと考える。

 

まずは、あなたを最上級にハッピーな気分にさせてくれるテレビ映像を想像してみて下ほしい。

 

それは、あなたが思わずテレビを齧りつきで観てしまうようなハッピーな映像だ。

 

次に、最大限にネガティブなTV映像を想像してみてほしい。

 

例えば、大震災や津波に人々が逃げ惑ったり、誰かがテロリストに殺害される瞬間の映像であったり、タワービルに飛行機が追突するといた自爆テロの瞬間であったり、核爆弾の投下が世界のどこかで今現在行われているというライブ映像などだ。

 

ハッピー・ネガティブな映像を、どちらも最大限に両極端なものを想像してみてほしい。

 

そして、これらポジティブ・ネガティブな事象のうち、どちらか一方の映像しか注意を払えないとするならば、あなたはどちらの映像に注意が向くだろうか??

 

恐らくネガティブな映像なのではないだろうか?

 

これらのことからも、私たち人間はネガティブな事象に注意が向いてしまう傾向にあるといえる。

 

 

抑うつ傾向な人の注意バイアス

 

私たちは、一般論として(極僅かではありますが)ネガティブな事象に注意が向きやすい傾向を有している。

 

そして、抑うつ傾向の人では、負の注意バイアスが更に強化されている可能性が示されている。

 

したがって、日常生活を送っている際も「良いこと」は目につきにくく、「悪いこと」は目についてしまい、
それが自身の「客観的事実」として認識されしまうため、
益々ネガティブな思考に拍車がかかってしまうといった悪循環を形成してしまう可能性があるといわれている。

 

そして、この悪循環を断ち切るためには、「良いこと」にも意識的に注意を向けていくことの習慣化が重要となってくる。