理学療法士・作業療法士にとって、体調管理は基本中の基本である。

 

どんなに優れた知識・技術を持っていても、どんなにクライアントとの信頼関係が構築されていても、体調管理が不十分では話にならない。

 

そして、インフルエンザは、理学療法士・作業療法士の職場では蔓延しがちな疾患の一つであり、セラピストもインフルエンザに感染してしまう可能性は否めない。

 

今回は、そんなインフルエンザの基礎知識について記載していく。

 

※予防接種は当たり前すぎるので、今回は割愛する。

 

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目次

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インフルエンザとは

 

インフルエンザとは、インフルエンザウィルスによる感染症である。

 

症状は、分かり易く言えば「風邪」の症状を重くしたようなイメージである。

 

すなわち、咽頭痛や38℃以上の高熱、悪寒、寒気、関節痛、下痢、嘔吐などが挙げられる。

 

 

インフルエンザが発症する季節は?

 

インフルエンザは冬季に発症することがほとんどで「季節病」として分類されることがある。

 

そして、例年11月上旬から散発的に発生が始まる。

※したがって予防接種も10月頃から開始される。

 

1月に入ると爆発的に患者が増加し、1月下旬から2月にかけてピークとなり、その後急速に減少し、4月上旬ごろまでには終焉を迎える。

 

なぜ冬にインフルエンザウィルスが増殖するのだろうか?

 

それは、ウィルスは低温かつ乾燥の状態で最も繁殖するからだと言われている。

 

つまり、インフルエンザもウィルスであることから、冬に最も増殖し易いと言える。

 

主な感染ルートは、咳やくしゃみによる飛沫感染(空気感染)である。

 

人間の鼻や口からウィルスが侵入して咽頭壁に一度付着すると、急速に増殖し、通常1~3日後にはインフルエンザを発症してしまう。

 

 

インフルエンザのタイプ

 

主にA型とB型の2タイプがあり(C型もある)、A型のほうが症状が重く、流行が人が理安いという特徴がある。

 

いわゆる新型インフルエンザはA型に属する。

 

 

インフルエンザの予防

 

インフルエンザにかかる人、かからない人の差は何だろう?

 

予防ワクチンを接種したかどうかの違いはあるだろう。

 

ただし、ワクチンを打ってもかかってしまう人はいるし、一度もワクチンを打ったことがないにもかかわらずインフルエンザにかかったことが無い人も存在する。

 

従って、体質の違いも影響しているのかもしれない。

 

予防ワクチン接種・体質以外の違いとしては、自分自身で積極的に予防を心がけているかも影響しているかもしれない。

 

厚生労働省のウェブサイトによれば以下を予防法として推奨されている。

 

①予防接種をする

②マスクをする

③手を洗う

④適度な湿度(50~60%)に保つ

⑤十分な睡眠をとり、適切な栄養管理をする

⑥人込みを避ける

 

 

「うがい」はインフルエンザの予防に効果なし?

 

厚生労働省が推奨しているインフルエンザ予防方法には「うがい」の記述がない。

 

そして実際、「うがい」はインフルエンザの予防に効果がないとされている。

 

その理由としては、インフルエンザウィルスの増殖能力が強力なことが指摘されている。

 

具体的には、ウィルスが咽頭粘膜などに付着すると、わずか20分程度で体細胞内に侵入して増殖を開始するので、それを防ぐためには、1日にわずか数回程度のうがいでは効果が期待できないという理屈である。

 

上記の理屈から「うがい」をインフルエンザ予防に役立てようと考えると、「うがい」を20分毎に実施なければならないということになり、非現実的という事になる。

 

そうなってくると、むしろインフルエンザウィルスの咽頭粘膜への付着を未然に防ぐマスクなどの方が有効となってくるのかもしれない。

 

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マスクは有効なのか?

 

マスクの着用は厚生労働省も推奨しており、ウィルスが咽頭粘膜に付着するのを防ぐという理屈からも理にかなっていると思われる。

 

 

一方で、実際にはウィルスの大きさは、一般的なマスク(織布マスク・.不織布マスク)の網目よりも小さいことが指摘されており、インフルエンザの様な『飛沫感染』を予防するには医療用マスクである『サージカルマスク』の着用が推奨される。

 

 

マスクによる予防効果は以下の点にある。

 

  1. 飛沫感染(咳やくしゃみなどでウィスルが飛び散ることによる感染)の予防

    咳やくしゃみは5mもウィルスを飛沫させる可能性も言われており、飛沫感染を予防するという利点がある。

     

  2. 乾燥を予防する

    前述したように、ウィスルが感染する条件の一つとして挙げられている「(口腔内の)乾燥」を予防できるという利点はある(この利点はうがいには当てはまらないのか????)。

 

これらの点から、マクス(特に医療用マスクであるサージカルマスク)の着用は推奨されている。

 

※ちなみに、マスクは何度も繰り返し使うのではなく、使い捨てが望ましい。

 

 

最強のマスクは『微粒子用(N95)マスク』

 

ここからは余談であるが、インフルエンザの様な「飛沫感染」はもちろんのこと、結核などの「空気感染」の予防にも推奨されるマスクが『微粒子用(N95)マスク』であり、(値段は高いが)これが「最強のマスク」ということになる。

 

 

感染症の分類である『飛沫感染』や『空気感染』などの解説や予防方法については以下の記事で詳しく解説しているので、医療・介護従事者の感染予防知識として合わせて観覧することをお勧めする。

 

⇒『医療介護従事者が知っておくべき感染症の基礎知識まとめ

 

 

余談:「うがい」は風邪には有効なので、積極的に取り入れよう!

 

ちなみに、風邪の予防に関し「うがい」は予防効果があることが医学的に実証されている。

 

これは、風邪に関与するウィルスの増殖能力が、インフルエンザウィルスより低いことも影響しているのかもしれない。

 

京都大学からの報告によれば、うがいを行わなかった群、水道水によるうがいを行った群、ヨードを含んだ液体によるうがいを行った群の3つの群に分けて、風邪の発症を追跡したところ、水道水によるうがいを行った群は、うがいを行わなかった群と比較すると、風邪の発症が40%減少したと発表している。

 

また、私たちの口腔内は通用、食べ物のカスなどのタンパク質が歯間や歯周ポケットなどにこびりついており、それらを栄養源あるいは吸着のきっかけにするなどして、細菌やウィルスにとっては絶好の繁殖環境となる。

 

これを逆説的に考えると、「うがい」を実施することで、口腔内から有害な雑菌を少しでも多く取り除き、さらには口腔内を適度な湿度に保つことでウィルスの増殖を抑えることが、感染予防には重要と考えることもできる。

 

口腔内のうがいとバイオフィルムに関してはこちらも参照

⇒『バイオフィルムにフォーカスして口腔ケアを解説!

 

 

関連記事

 

(先ほども紹介したが)以下の記事では、感染に関する基礎知識や、感染に注意すべき疾患をまとめているので合わせて観覧してみてほしい。

 

⇒『危険!これだけは知っておくべき「感染症予防の基礎知識」まとめ