海外の学際的痛みセンターにおける認知行動療法の流れについて、一例を記載する。

※ただし、必ずしもこの限りではない。

 

手順1:『認知のひずみ』と『行動のひずみ』の分析

 

①認知のひずみの分析

痛み行動等の不適応行動の成因や持続・悪化因子となり得る思考・想像・価値観のようなひずんだ認知を抽出し分析する。

 

②行動のひずみの分析
痛み行動またはADL制限につながる身体機能を検査し、実際の身体機能レベルと患者のとっている問題行動との因果関係を明らかにする。

 

 

手順2:『認知の修正』と『行動の修正と再学習』

 

①認知の修正

「不適応行動の成因や持続・悪化因子」と「身体機能との因果関係」について患者に説明し、思考の修正転換を図る。

 

②行動を修正し、再学習させる
不適応行動の無視・消去・遮断を行うとともに、適応行動や健康行動の形成・強化・学習を行う。

 

その際、慢性痛患者に良くみられる非自発的・受動的・依存的な思考や行動を介さないために、患者自身の「自己決定」に基づく治療計画、プログラム、ゴール設定とそのプログラムの実行が必須であり、患者の納得と理解のもとに行われる治療が奏功しやすい。

 

これらのアプローチにより、患者自身の痛みに対する効果的な『対処能力(coping skill)』と『自己効力感(self efficacy)』の強化・向上、身体活動量の増加、全身体力の向上・改善がもたらされる。