この記事では、高齢者のADL把握に用いられる指標の一つである『障害高齢者の日常生活自立度判定基準』について記載していく。
2種類の日常生活自立度判定基準
厚生労働省は以下の2つの日常生活自立度判定基準を発表している。
①障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
②認知症高齢者の日常生活自立度基準
どちらの判定基準も医療・介護保険分野における高齢者のADL把握に(他の基準と併用されながら)よく用いられる。
なので、看護・介護・リハビリに携わるものであれば、一度は見かけたことのあるのではないだろうか?
障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準
この判定基準は、文字通り「障害老人の日常生活自立度」を評価するための指標となる。
実生活での実行状況(出来るADL)を調査し、障害老人の日常生活の大まかな自立度を判定するものとなる。
以下の判定基準に沿って「J―2」や「C―1」などと表記し、ランクA・B・Cに該当するものについては、いつからそのような状態に至ったかを「期間」として付記する。
生活自立 |
ランクJ |
何らかの障害などを有するが、日常生活はほぼ自立しており、独力で外出する。 1.交通機関などを利用して外出する 2.隣近所へなら外出する |
準寝たきり |
ランクA |
屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない。 1.介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する。 2.外出の頻度少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている。 |
寝たきり |
ランクB |
屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ。 1.車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う 2.介助により車椅子に移乗する |
ランクC |
一日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する。 1.自力で寝返りをうつ 2.自力では寝返りもうたない |
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
この判定基準は、文字通り「認知症高齢者の日常生活自立度」を判定するための指標となる。
認知症と診断された高齢者を対象に、日常生活の大まかな自立度を判断するもので、前述した『障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準』と併用されることが多い。
以下の判定基準に沿って「Ⅱ-b」「Ⅳ」などと表記する。
ランクⅠ |
何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 |
ランクⅡ |
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる。 a.家庭外で上記Ⅱの状態が見られる。 b.家庭内でも上記Ⅱの状態が見られる。 |
ランクⅢ |
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが時々見られ、介護を必要とする。 a.日中を中心として上記Ⅱの状態が見られる。 b.夜間を中心として上記Ⅱの状態が見られる。 |
ランクⅣ |
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、常に介護を必要とする。 |
ランクM |
著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。 |