皆さんは理学療法士協会(あるいは作業療法士協会)へ入会しているだろうか?

 

他の医療従事者(看護師など)に比べて、理学療法士協会・作業療法士の入会率は高いらしい。

 

なので「入会したくない」「入らない」と思っている新人は多い。

 

あるいはベテラン理学療法士・作業療法士の中には「なにも考えずに入会したけど、この年になって、メリットがない事に気づいた(なので退会した)」って話してくれる人も多い。

 

今回は、そんな理学療法士協会(あるいは作業療法士協会)に入会すること(+継続的に会員になり続けること)のメリット・デメリットについて考えてみる。

 

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目次

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理学・作業療法士協会の会員であることのメリットとは?

 

皆さんは理学・作業療法士へ入会するメリットを挙げろと言われて、即答できるだろうか?

 

私自身は、就職したての頃に、何も考えずに理学療法士協会へ入会し、毎年2万円の会員費を払い続けて現在に至る。

 

そんな、何も考えずに入会してしまった私が、パッと思いつく一般的なメリットは以下の通りである。

 

  • 新人教育プログラム⇒認定・専門療法士へとスキルアップが図れる
  • 理学・作業療法士協会が主催する研修会へ参加できる(オンラインセミナーも含む)
  • 理学・作業療法士協会が主催する研修会の受講料が安くなる
  • 専門誌(理学療法士であれば「雑誌:理学療法士」)が送られてくる
  • 賠償責任保険に加入できる

 

 

新人教育プログラム→認定療法士・専門療法士へとスキルアップが図れる

 

理学・作業療法士協会が敷いたレールの上でのスキルアップが、メリットと呼べるかどうかは意見の分かれるところではあるかもしれない。

 

まず、新人教育プログラム自体の内容に関しては、(個人的には)正直言ってお世辞にも魅力的とは言えない内容であった。

 

そのため、一度参加して以降興味を失い、二度目に参加したのは5年後であった。

 

しかし、認定療法士・専門療法士という資格にメリットを感じるのであれば、苦痛であっても新人教育プログラムを修了することはメリット(というか必須)となる。

 

関連記事⇒『理学・作業療法士協会の新人教育プログラムを修了するメリットとは!

 

 

理学・作業療法士協会が主催する研修会へ参加できる(オンラインセミナーも含む)

 

理学・作業療法士協会の会員になっていないと参加できない研修会は少ないものの、存在はする。

 

また、最近になってオンラインセミナーなるものも出始めた。

 

オンラインセミナーは「トランスファー」を受講したが非常に有意義に感じた。

 

これは一人職場で上司に指導が仰げなかったり、研修日と休日が合わなかったり、過疎地に住んでおり研修に通えなかったりな理学・作業療法士にも学びの機会が提供されるという上でも非常に便利だと感じた。

 

自己研鑽では大きく分けて以下の三つが存在するのではと考える。

 

  1. 書籍で事足りるもの
  2. 書籍ではこと足りず動画なども含まれていた方が学習し易いが、わざわざセミナー会場に出向くまでもないもの
  3. 書籍・動画では不十分で実際に実技練習をしないと身に付きにくいもの

 

 

実は「2」というのは最近まで存在しなかったものの非常に需要があったのではないかと感じる。

 

そして、私自身も実際に受講して会員限定のオンラインセミナーを有意義に感じたし、そのセミナーの資料はPDFとしてダウンロードも可能なことが多い(少なくとも私が受講したものは全てPDFとしてダウンロードできた)と、非常に親切である。

 

一方で、動画の視聴は期間限定であり、(期間は半年などと比較的長期に設けられているものの)それは不親切だと感じた。

 

なぜ、動画の視聴に制限を設けるのだろうか?
動画を真似て独自にセミナーを開催されることを恐れているのであろうか?

 

ただ、そんな事を考える輩であれば、半年という期間の間に、何とでも工夫出来そうである。

 

なので、期間限定などにせず、理学・作業療法士の会員である間は、永続して視聴できるようにして欲しいものである。

 

ちなみに「なぜ半年と期限が設けられているのか」に関して疑問に思い、以下のように問い合わせたことがある。

 

「期間を設けられたら不便だし、ボイスレコーダーやビデオレコーダーで録画しても良いか?」

 

すると、以下の様な類のコメントが返ってきた。

 

「そんなことをするのは止めてくれ」

 

※ただ、「止めてくれ」と言われても「やろうと思えば出来る行為」だし、だからこそ期間限定にする意味が分からないという点を、私の問い合わせを通して気づいて欲しいと思う。

 

 

理学・作業療法士協会が主催する研修会の受講料が安くなる

 

例えば学術集会に参加したり、各種研修会に参加しようと急に思い立った場合は、安い受講料で受講できる。

 

また、(新人教育を修了しているのであれば)ポイントが「永久不滅ポイント」として貯まっていくので、急に思い立って前述した「認定療法士」や「専門療法士」を目指そうと思った場合に、それらに必要なポイントとして回せる可能性もある。

 

「理学・作業療法士協会が主催する研修会」と「それ以外の研修会」の内容の違い(質の違い)は一概に言えないが、自身にとって非常に魅力的な講習会が急に現れたりする事もある。

 

また、料金にしても良心的なものが多い印象を受ける。

 

※数万円の講習会も多いが、少なくとも十万以上な講習会はほとんど無い。

 

 

「理学療法士」という専門雑誌が送られてくる

 

「理学療法士」という学術誌が年に数回送られてくる。

 

全く臨床とはかけ離れたどーでも良い内容が多く記載されている場合もあるが、臨床に生かせる内容が満載な場合もある。

 

個人的には、この雑誌が届くのは待ち遠しい。

 

 

理学療法士賠償責任保険に加入できる

 

理学療法士協会のHPには以下の様に記載されている。

 

この保険制度は、会員の皆様が業務中の事故により賠償責任を負った場合に、賠償金、弁護士費用、訴訟費用等をカバーするものです。

 

近年、医療事故により医 師・看護師・理学療法士等の医療従事者の個人責任を問われるケースが多発しており、病院側の保険にて賠償金等を支払った後、当該保険会社から医療従事者個 人に責任分の支払を求められるケースもあります。

 

このような事態に備えて、賠償責任保険の加入をお勧め致します。

 

私自身は加入していないし、どの程度魅力的な保険なのかは不明だが、新人の頃は思わぬ事故を起こしてしまうこともあると思うので、就職して数年は加入しておくのも一つの選択肢としてアリなのではと感じる。

 

※ちなみに、平成28年 5 月1日 から1年間の保険料は3,670 円となっている。

 

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理学・作業療法士協会への入会はデメリットが多い?

 

皆さんは、私が前述した項目に関してメリットを感じたであろうか?

 

もし上記にあげた項目についてメリットを感じなかったとすると、年に2万円前後と高額な会費が必要な時点で、「理学・作業療法士協会に入会するのはお金が必要な時点でデメリットが多い」ということになるかもしれない。

 

ちなみに、会費に関しては、日本理学療法士協のHPによると、会費は11,000円 + 都道府県理学療法士会費という内訳であり、所属している都道府県によって異なるとのこと。

 

また、「育児休業割引」「シニア割引」「海外会員割引」なるものが存在し、適合者は会費3000円+都道府県理学療法士会費のみの支払いで良いらしい。

 

※まぁ、私にはどれも関係のない割引だが・・・

 

私個人としては、メリットよりも、金銭的なデメリットの方を強く感じるようになってきている。

 

無料なら「デメリット」とまでは表現されることは無いのだが、2万円というのは、専門書籍が何冊も変えるし、理学・作業療法のみならず様々な自己研鑽に使えてしまう額だからだ。

 

昔はもっとメリットを感じていた気がする。

 

例えば以下の様な点は、私にとっては会員であるメリットであった。

 

  • ログインしなければ観覧出来ない情報が現在よりも多かった
  • 理学療法士の会員名簿なるものも存在していた

 

 

ログインしなければ観覧出来ない情報が現在よりも多かった

 

例えば、今は無料で観覧可能なエビデンスなんかも、以前はログインしなければ観れなかった。

 

ログインなしで誰でも観覧可能とした理由として、恐らくこれは「理学療法士はこんな風にエビデンスのことも考えながら理学療法してますよ」「呪い(まじない)めいていたり、宗教めいた民間療法とは違うのですよ」という情報を(パスワードを入力しなければ観覧出来ないといった閉鎖的な情報としてではなく)外へ発信していく意味もあるのではと感じる。

 

もちろん、これでアピールできることなどたかが知れているが、こういうのを積み重ねていくことも大切だという思いがあるのかもしれない。

 

 

理学療法士の会員名簿なるものも存在していた

 

県士会の名簿は年に1回か2回(忘れた)、全国の名簿は数年に1度もらえていた。

 

私は、この名簿を見ることで、「同期はまだこの病院で頑張っているんだな」とか「(面識のある理学療法士さんが)転職したんだな」とか「この病院は理学療法士がメチャクチャ多いな(あるいは一人職場なのかぁ※厳密には会員でない人・あるいは自宅会員として働いている可能性もあるが)」とか「この病院は若いセラピストが多いんだな(※会員番号も掲載されるので大体の経験年数が分かる」とか勝手に想像して楽しんだりしていた。

 

ただし、上記のような詮索をしてほしくない人は当然いるだろうし、個人情報保護法の観点からも不適切だと判断されたのか、数年前から廃止されてしまった。

 

そもそも、この数年で理学療法士の数が莫大に増えてきていることを考えても、名簿などを作る労力が以前に比べて多いのも関係しているのかもしれない。

 

この様に考えると、益々「理学療法士協会に所属しているからこそ得られる情報(メリット)」は少なく、会費というデメリットを強く感じてしまうのかもしれない。

 

 

なぜ私は理学療法士協会の会員になり続けているのか?

 

こんなことをダラダラと記載していると、「なんでお前は理学療法士協会の入会にメリットを感じていないのに、会員になり続けているんだ?」と言われそうだが、確かにその通りで、反論の仕様がない。

 

ただ「何となく」といった漠然とした気持ちで会員になっているだけであり、今までは明確な理由があるわけではなかった。

 

なので、この記事を書くに当たって考えてみると、今現在も残っている(私の個人的な)メリットは以下の2つだと思うに至った。

 

  • お金を払っているという意味で、理学療法士協会が発信する情報に真剣に耳を傾ける動機になっている

 

  • 何かがあった際の保険の意味合いがある

 

 

お金を払っているという意味で、理学療法士協会が発信する情報に真剣に耳を傾ける動機になっている

 

定期的に理学療法士協会のサイトにアクセスしている。それによって、前述してきたメリットも含めて、自身の役立ちそうなものがあれば積極的に活用するよう心掛けている。

 

 

何かがあった際の保険の意味合いがある

 

これは、理学療法士協会で何らかの自己研鑽をしたという証(例えば、認定理学療法など)が、将来的に何らかの影響を及ぼす可能性がゼロではないからだ。

 

従って、「何かあった時の保険」と自分が解釈しているのではと考える。

 

上記の予想が外れる可能性は非常に高いものの、万が一の可能性として「理学療法士協会に入って自己研鑽の証を積んでおいてよかった」と思える日が来るとも限らない。

 

※理学療法士協会が主催する研修会(例外もある)であれば、自己研鑽した内容がデータとして残り、このデータを基に専門・認定療法士などのスキルアップにも繋がる。

 

また、「一般的な保険」は掛け捨て(期間内に病気や事故が起こらなければ、何のメリットもない)も存在するが、理学・作業療法士協会は、前述したとおり(理学療法士雑誌が届くなどなどといった微々たるものかもしれないが)メリットも存在するので、掛け捨てではない。

 

 

終わりに

 

理学・作業療法士協会への入会に対するメリット・デメリットには、多様な意見が存在する。

 

皆さんも後悔しないように、それらに多くの情報に触れながら、自分でも思考してみてほしい。

 

 

理学・作業療法士のメリットデメリットの関連記事

 

理学・作業療法士に関連する記事を以下のリンク先にまとめている。

 

※リハビリテーション業界全体に関するニュースなどの雑感も含めてまとめている。

 

このテーマに関しては、多種多様な意見が存在するため、それら多様な意見の中の一つとして記事を楽しんでいただければと思う。

 

特にまとめページを通じて、新人の理学療法士・作業療法士さんに「この業界について考えるきっかけ」として何かしら響くものがあれば幸いだ。

 

⇒『理学・作業療法士のメリットデメリットまとめ