20018年10月、第34回東海北陸学術大会に参加してきた。

 

色々と有益な情報を得ることが出来たが、特別講演で半田会長のお話が「私の今後のビジョンに役立てるため」にも有益だった。

 

この手の話は、臨床の治療成績に直結する情報ではないためか、若手の方々の中には退屈そうにアクビをしている人、居眠りしている人も散見されたが、その反面真剣に話を聞き入っている人も多かった気がする。

 

半田会長の話は、立場上お堅い話題になってしまいがちだが、分かり易いエピソードも交えながら話してるからか、なぜか難しく感じず、個人的には聞き入ってしまうので相性が良いのだと思う。

 

※一方で、副会長の内山先生の話は、何故か(個人的には)眠くなってしまいまう(この違いは何なのだろうか?)。

 

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話しが少しそれたが、今回の半田会長特別講演のテーマは以下だった。

 

理学療法士の希望と可能性

~平成30年医療・介護同時改定から見える未来~

 

理学療法士の「これまで」と「これから」を半田会長が語ってくれた。

 

1時間の講演でメモを取りながら聞き入っていたが、うる覚えな部分も多々あるので、個人的に印象に残ったポイントのみ、複数回にわたって記事にしていきたいと思う。

 

 

目次

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厚生労働省は理学療法士のいい加減な評価に怒っている

 

数年前(平成26年だったか?)から、回復期病棟に「入院時⇔退院時におけるFIMの改善度」や「在院日数(病院にいる期間)」が評価されるようになった。

 

※回復期病棟で働いていないのだが、これで合ってるかな?(特にに在院日数に関しては短ければそれだけ評価されるのか、一定期間以内に退位させしてもらえばOKなのかは、自分自身も良く分かってないが)。

 

で、診療報酬・介護報酬が改訂された1年後に、「今回の改定により生じた影響(患者・病院経営・医療従事者などに生じた影響など)」について、次の改定の土台とすべく話し合われるらしい。

 

そして厚生労働省は、前述した改訂が行われた1年後におけるフィードバック時に発覚した「リハ職種のいい加減な評価に激怒した」らしい。

 

※半田会長は「カンカンになっていた」といった表現を用いていた。

 

具体的には分析の結果、改訂された年からから急に以下が生じていたことが分かったからだ。

 

  1. 回復期病棟へ入ってくる患者のFIM点数を全国で平均すると、過去最低水準だった。
  2. 回復期病棟を退院する 患者のFIM点数を全国で平均すると、過去最高水準だった。
  3. 回復期病棟の在院日数(入院して退院するまでの期間)が、過去最高に短縮されていた。

 

特に①と②に関して、急に「入院してくる患者が重症化」し「退院するときは今まで以上に元気になっている」なんてことが起こり得るのか?

たった1年で!

 

「病院の評価(報酬)を上げるために、いい加減な評価が行われているのではないか」と疑われても仕方がない分析結果だったとのこと。

 

他の職種では考えられないくらい、評価がいい加減なのではないか?ってな感じで怒っていたようだ。

 

※ちなみにFIMとは『ADL(日常生活活動)』の評価スケールであり、以下で記事の記事でまとめている。

⇒『FIMとは?FIMの評価項目・点数もガッツリ網羅!

 

 

目先の利益ばかり追ってると、長期的には自身の首を絞めることに

 

もし仮に、理学療法士がこの様な評価に加担していたとしよう。

 

ただ、フォローするとすると、それは「上層部からの圧力」であり、セラピストの「FIM点数における変化のほかにも大切なものに時間をさくため煩わしいノルマ?はさっさと最低限クリアした体にしておきたい」といった思いが無意識に反映されているのかもしれない。

 

ただ、ここに述べた様に、「FIMや在院日数などの客観的な数字」は全て政府に把握され、それによって良くも悪くも、自分たちの将来の報酬に関わってしまうことは覚えておいて損は無いと思う。

 

政府が「やはり専門家が実施するリハビリは素晴らしい」と思ってもらえるか、「専門家とは名ばかりないい加減な集団だ。こいつらは評価するに値しない」と思われるかの判断材料に使われているのだけは知っておこう。

 

 

回復期病棟以外も、他人ごとではない

 

診療報酬・介護報酬の改訂が行われると「その制度の網の目をいかにかいくぐって利益を最大化させるか」に上の人達は目が行きがちだ。

 

個人的にも、診療報酬・介護報酬の改悪があると、どうすれば収益を維持できるか考えるよう強く言われることがある。

 

※介護保険の場合、リハビリ出来る人数のキャパは決まっているので、それ以外の工夫が求められ、頭を抱えてしまうことがあるかもしれない。

 

ただ、そこで妙な方向に考えが向いてしまったり、「他の事業所がやってるなら別に構わないだろう」といった『赤信号、皆で渡れば怖くない』的な発想が、全国で積みあがって、自分達の将来を悪い方向へ進ませてしまわないよう注意すべきだと思う。

 

⇒『モラルハザードのツケを払うとき!

 

 

関連記事

 

以下は「第34回東海北陸学術大会」における半田会長の講演で、気になった項目をまとめた記事になる。

 

⇒『①厚労省は激怒している | 半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)』

 

⇒『②医療保険分野における今後のビジョン(「急性期病棟の理学療法を拡充」を中心に) |半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)

 

⇒『③介護保険分野における今後のビジョン(「看護師協会とのパワーバランスで敗北」を中心に) | 半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)

 

⇒『④理学療法士の給料は上がるのか? | 半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)

 

⇒『⑤理学療法士の開業権 | 半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)