この記事では『頭部外傷』という用語について解説していく。
頭部外傷(外傷性脳損傷)とは
頭部(まれには頭部以外の身体)に外からの力が加わって脳の機能障害が起こることを、『頭部外傷(外傷性脳損傷)』と呼ぶ
外力の原因としては以下などが挙げられる。
- 転倒
- 交通事故
- スポーツ外傷
- 災害
- 暴力
・・・・・・など
頭部外傷(外傷性脳損傷)の症状
ご存じのとおり、脳には以下の様に様々な機能が備わっている。
- 生命維持の働き(心拍・呼吸・体温、血圧・・など)
- 意識を保つ働き
- 規則的な睡眠を保つ働き
- 運動・知覚・資格・嗅覚・聴覚の働き
- 言語機能
- 感情・情動の働き
- 学習・記憶・計算・思考の機能
- 判断・決断など
従って、頭部外傷によって脳が部分的あるいは全般的に損傷を受けると、これらの働きのどれかが、あるいは複数が組み合わさって、色々な機能障害が起こる(つまり、脳外傷によて生じる症状は一概に言えない)。
例えば、運動機能が低下すると麻痺が障害したり、知覚機能が障害を受けると痺れが残ったりするのだが、最重症の場合は、脳の生命維持の働きが保てなくなることもある。
高次脳機能障害とは
様々な後遺症の中でも、高次脳機能障害と呼ばれる症状は、脳外傷で特に多いことが知られている。
ただし、この「高次脳機能障害」という用語は医学的な定義づけが存在しない。
でもって、医療・介護の現場では、厳密な意味付けは別にして以下の様なザックリとしたニュアンスで用いられている。
高次脳機能障害とは:
麻痺や痺れ、視力障害などの身体機能以外の、主として精神・思考・行動・情緒的諸症状であり、それが存在すると社会生活や日常生活に支障をもたらすもの
あるいは厚生労働省の診断基準の一つである「主要症状など」について、以下の様に定義づけている。
現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である
高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害の具体的な症状(障害)は以下の通り。
※高次脳機能障害が生じると、上記の諸症状に伴って人格の急速な変化を生じることも多く、その人の豹変ぶりに家族が戸惑う事も多い。
知的障害
認知機能障害:
記憶、学習能力、思考能力、言語能力、判断力、注意力などの障害
遂行機能障害:
問題解決能力、並行作業能力、組織化能力、意思決定力などの障害
コミュニケーション障害
認知機能障害:
言語理解力、言語表出力、書字能力、思考統合力・会話継続能力などの障害
社会性障害:
話題変換能力、変調(感情を示すための声の調子)、会話の際の態度、非言語信号の感知などの障害
行動様式の変化・障害
自制力の低下、自己能力の把握困難、危険行動、自己イメージの不正確性、社交性の困難性、突発言語、突発行動など
感情の変化・障害
うつ状態、不安感、感情の動揺、焦燥感、他者への思いやりの欠如、怒り易さ、不眠、自尊心の欠如など
高次脳機能障害と認知症(+違い)
高次脳機能障害に関しては、以下の記事でも解説しているので合わせて観覧してみてほしい。