この記事では、ギランバレー症候群について解説している。

 

ギランバレー症候群とは

 

ギランバレー症候群は以下を指す。

 

四肢遠位優位の弛緩性運動麻痺と軽度の感覚障害を呈する脱髄疾患

 

病理学的には神経根を含め、多巣性に末梢神経に脱髄所見がみられる。

※つまり、運動麻痺や感覚障害は末梢神経の髄鞘の脱落に起因する。

 

ギランバレー症候群の特徴

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  • 一般に急性の先行感染(上気道感染が多い)から1~3週間して、急性の四肢・体幹の弛緩性麻痺を生じる。

 

  • 運動麻痺は両下肢の左右対称性に始まり上行するのが一般的であるが、脳神経や上肢から下行する場合もある。

 

  • 麻痺が出現してから1~2週後に麻痺の極期を迎える。極期には呼吸筋を含めた全身の弛緩性麻痺となり、不整脈・起立性低血圧あるいは高血圧などの自律神経症状を呈することもある。この時期には全身管理が重要となる。特に呼吸筋がマヒした場合には、人工呼吸が必要となる。極期から麻痺は徐々に回復し、ギランバレー症候群の約80%が完全に近い状態に回復すると言われている。

 

弛緩性麻痺の時期には自発的な体動が困難なため、その状態を放置すれば関節可動域制限や筋萎縮など廃用性症候群が出現する。したがって、リハビリテーションは重要となる。

 

 

ギランバレー症候群の臨床所見

 

  • 末梢神経の障害であるため、腱反射および筋トーヌスは低下する。
  • 感覚検査の所見では手袋靴下様の感覚障害を呈することが多い。
  • 筋トーヌスの低下や足部の感覚障害は、運動失調様の動作障害を呈する原因となりえる。

 

 

ギランバレー症候群に対するリハビリ(理学療法)

 

  1. ギランバレー症候群の経過は以下の通り。
  2. 感冒症状などが前駆症状として出現し、2~3週間後に神経症状が出現する。
  3. 急性に進行し2~3週間で極期(発病期)に達する(極期症状は、弛緩性四肢麻痺、呼吸筋麻痺、脳神経障害である)。
  4. その後数カ月かけて回復に向かう。

 

ギランバレー症候群のリハビリ(理学療法・作業療法)は炎症症状の活発な時期と、安定した時期でその内容が異なる。

 

でもって、ギランバレー症候群の経過に合わせたリハビリ(理学療法・作業療法)をザックリとまとめた一覧表が以下になる。

 

極期

・良肢位(拘縮の予防)

・体位変換(褥瘡の予防)

・呼吸訓練(深呼吸訓練・口すぼめ呼吸訓練)

・嚥下訓練

他動的(愛護的)関節可動域訓練

温熱療法(筋と関節に対する鎮痛作用)

回復期

・持久力訓練(低負荷から開始する)

・呼吸訓練

・ADL訓練(基本動作訓練・床上動作訓練)

※過剰な負担は過用性筋力低下を起こすので注意が必要。

 

治療にあたっては軽い運動から始め体息を入れて、低負荷と反復を原則とする。

疲労感や痛みが翌日まで残らないようにすることが必要である。

 

ギランバレー症候群は運動麻痺を主症状として感覚障害・呼吸障害・脳神経障害・自律神経障害など多彩な症状を呈する疾患であり、また易疲労性でもあるため、症状の進行に注意しながら評価・リハビリを進める。
筋力低下が著しい場合は、負荷を少なくし休息を入れながら行い、過用性筋力低下overuse weakness、過用性損傷overuse damageに注意を要する。
自律神経調節が不十分な場合、起立性低血圧への対応や運動療法中の心電図モニター等リスク管理を十分行って展開することが必要になる。

 

 

関連記事

 

ギランバレー症候群も含めた「末梢神経障害」は、以下の原因で生じるとされている。

 

  • 中毒性(金属、有機物、薬物など)
  • 物理的原因(外傷・圧迫、絞扼性、火傷、放射線など)
  • 欠乏状態や代謝異常(慢性アルコール中毒、脚気、糖尿病など)
  • 非特異的炎症および感染(ギラン・バレー症候群、多発神経炎、ハンセン病など)
  • 血管性疾忠(結節性多発血管炎など)
  • 家族性多発性ニューロパチー(シヤルコー・マリー・トゥース病など)

 

そんな多種多様な「末梢神経障害」に関しては以下の記事も併せて観覧してもらうと理解が深まると思う。

 

⇒『末梢神経障害とは?「外傷性末梢神経障害」を中心に解説

 

⇒『高齢者のニューロパチー(末梢神経障害)を知っておこう

 

⇒『糖尿病性ニューロパチ―(糖尿病3大合併症の一つ)を解説!