マッサージの効果を検証した文献の一部を記載しておく。

 

これらは日本理学療法士学会(JSP)というHPにて観覧できるので、参照してみてほしい。

 

日本理学療法士学会:診療ガイドライン

 

 

文献①:

 

Pope MH, Phillips RB, Haugh LD, et al.: A prospective randomized three-week trial of spinal manipulation, transcutaneous muscle stimulation, massage and corset in the treatment of subacute low back pain. Spine 19: 2571-2577, 1994.

 

推奨グレードA・エビデンスレベル2・研究デザインRCT

 

対象・評価・介入:

亜急性腰痛患者164 名を対象とし,マニピュレーション,マッサージ,コルセットの装着,TMS を3 週間行い,それぞれの効果を比較した。

 

評価は,満足度,疼痛強度,腰椎ROM,EMG による体幹伸展筋のMax Voluntary Extension Effort , SLR ,Biering-Sorensen fatigue testを用い,治療開始前,1,2,3週後に行った。

 

成果:

マニピュレーションは,コルセットの装着やTMS と比較し,常に満足度が有意に高く,マニピュレーションにおいてのみ,屈曲ROM の改善がみられた。

疼痛強度と伸展ROM は,マニピュレーション,マッサージ,TMS で改善がみられた。また,マニピュレーションとマッサージでは,Sorensen fatigue test の有意な延長がみられた。

マッサージは,1 週から3 週後において,コルセットより満足度が有意に高かった。

 

 

文献: ②

 

Hsieh CY, Phillips RB, Adams AH, et al.: Functional outcomes of low back pain:comparison of four treatment groups in a randomized controlled trial. J Manipulative Physiol Ther 15: 4-9, 1992.

 

推奨グレードA・エビデンスレベル2・研究デザインRCT

 

対象・評価・介入:

腰痛患者63 名に対して,マッサージ,マニピュレーション,TMS,コルセット装着を3 週間行い,それぞれの効果を比較した。

評価は,疼痛強度,身体機能について,初回治療前と最終治療後に行った。

 

成果:

3 週後,マニピュレーションはマッサージとTMSより疼痛強度が有意に改善した。また,身体機能がマッサージより有意な改善を示した。

 

 

文献:③

 

Cherkin DC, Eisenberg D, Sherman KJ, et al.: Randomized trial comparing traditional Chinese medical acupuncture, therapeutic massage, and self-care education for chronic low back pain. Arch Intern Med 161: 1081-1088, 2001.

 

推奨グレードA・エビデンスレベル2・研究デザインRCT

 

対象・評価・介入:

慢性腰痛患者262 名に対象に,マッサージ,鍼治療,自己療法教育を10 週間行い,それぞれの効果を比較した。

 

評価は,疼痛強度,RDQ を用い,治療開始から4,10,52週後に電話質問にて行った。

 

成果:

10 週後において,マッサージは自己療法教育より有意な疼痛改善,鍼治療と自己療法教育より有意な身体機能改善を示した。また,52 週後には鍼治療より有意な疼痛改善と身体機能改善を示した。

 

 

文献:④

 

Furlan AD, Imamura M, Dryden T, et al.: Massage for low back pain (review).Cochrane Database Syst Rev 8: CD001929, 2008.

 

推奨グレードA・エビデンスレベル1・ 研究デザインmetaanalysis

 

対象・評価・介入:

 

非特異的な腰痛に対してマッサージと他の治療との比較をした。マッサージはスウェーデン式マッサージ,タイ式マッサージ,指圧マッサージを含む。他の治療はモビライゼーション,リラクゼーション,理学療法,腰痛の自己管理のための教育,鍼治療であった。

 

成果:

亜急性(4~12 週),慢性(12週以上)の腰痛治療においてマッサージはモビライゼーション,リラクゼーション,理学療法,自己管理教育,鍼治療より疼痛軽減,能力低下回復に有効であり,特にエクササイズと教育を組み合わせると更に有効である。

 

 

文献: ⑤

 

Cherkin DC, Sherman KJ, Deyo RA, et al.: A review of the evidence for the effectiveness, safety, and cost of acupuncture, massage therapy, and spinal manipulation for back pain. Ann Intern Med 138: 898-906, 2003.

 

推奨グレードA・エビデンスレベル1・研究デザインSR

 

対象・評価・介入:

腰痛への鍼治療( 20 個のRCT),マッサージ(3 個のRCT),マニピュレーション(26 個のRCT)の比較を行った。

 

成果:

マッサージは亜急性期,慢性期の腰痛には効果が認められた。

鍼,マッサージ,マニピュレーションは安全な治療であるがマッサージのみコスト面で軽減が示唆される。

 

 

文献:⑥

 

Hernandez-Reif M, Field T, Krasnegor J, et al.: Lower back pain is reduced and range of motion increased after massage therapy. Int J Neurosci 106: 131-145,2001.

 

推奨グレードA・エビデンスレベル2・研究デザインRCT

 

対象・評価・介入:

慢性腰痛患者24 名を対象とし,マッサージまたはリラクセーション療法を5 週間行った。

評価は,不安,抑うつ状態,睡眠障害,疼痛や不安によるホルモン変化,体幹ROM について,初回治療前後および最終治療前後に行い,それぞれの治療前後比較による短期比較と,初回と最終回を比較した長期比較とした。

 

成果:

即時的効果として,マッサージはリラクセーションよりも体幹屈曲無痛ROM と疼痛の有意な改善を示した。また,マッサージでは,不安,抑うつ症状,睡眠障害, 体幹屈曲無痛ROM,全ROM に長期的改善がみられた。いずれの介入においても,尿中セロトニンとドーパミン量の長期的改善がみられた。

 

 

 

また、ヤフーブログにて、『慢性腰痛に対するマッサージの効果をRCTで検証』なる記事も見つけたので興味のある方はアクセスしてみて欲しい。

http://blogs.yahoo.co.jp/koredeiino345/36956213.html

 

 

エビデンス関連記事

 

エビデンスに対する私見

 

上記はマニュアルセラピーを含めたリハビリ(理学・作業療法)エビデンスに対する私見を含めた記事一覧である。

これらの記事を観覧して頂ければ、私のエビデンスに対するスタンスが何となく理解して頂けると思う。

※そして、エビデンスに対するスタンスは療法士によって大きく異なるため、多様な考えに触れて、自身のスタンスを確立してみてほしい(どれが正しくて、どれが間違っているといった絶対的なものはない)。

 

また、以下の記事でもエビデンス(+臨床推論)について触れているので、こちらもリンクしておく。