この記事では、神経線維に関する「構成」や、種類(伝導速度や閾値などによる分類)を解説していく。
神経線維とは
神経線維とは以下を指す。
でもって神経線維には、以下の種類がある。
- 有鞘・有髄 神経線維
- 有鞘・無髄 神経線維
- 無鞘・有髄 神経線維
- 無鞘・無髄 神経線維
関連記事⇒『「有髄線維」と「無髄線維」を解説するよ』
神経線維の「興奮伝導の特性」 国試にも出るよ
神経線維の「興奮伝導の特性」は国家試験にも出るほど有名だ。
そんな興奮伝導の特性は以下の通り。
①両側性伝導
②絶縁性伝導
③不滅衰伝導
詳しくは以下の記事も参照してみてほしい
神経の構成(神経線維⇒神経束⇒神経幹)
神経の構成は以下の通り
↓
「神経線維束(神経周膜が包む)」となり、
↓
それが数本集まっていわゆる「神経(神経上膜が包む)」となる。
上記の様に、神経線維は、神経内膜・神経周膜・神経上膜から成る結合組織に包まれ外力から保護されている。
神経線維について:
神経線維の内部には「神経細管・神経細線維:などが存在し、先端はシナプスとして他の神経要素や、筋終板として筋細胞膜と接する。
関連記事⇒『神経線維の各名称を解説』
個々の神経線維の最外層は『神経内膜』と呼ばれる薄い結合組織によって覆われている。
神経束について:
(神経内膜に覆われた)神経線維は、数十~数百本ごとに『神経周膜』と呼ばれる結合組織で覆わる。でもって、この神経周膜に覆われた束を『神経束』と呼ぶ。
神経(幹)とは:
神経束の集合体は神経上膜と呼ばれる結合組織によって覆わる。この集合体が『神経幹』である。この形で末梢神経は生体内を走行している。
重複するが、
「(神経内膜に包まれた)神経線維」が集まって
「神経線維束(神経周膜が包む)」となり、
それが数本集まっていわゆる「神経(神経上膜が包む)」となる。
でもって、解剖学的に「○○神経」と名づけられている肉眼的に見える神経は、実際には極細(数10μmとかの)経線維が何千本も集まった集合体である。
何となくイメージ出来るだろうか。
神経線維の分類
神経線維を、「有髄or無髄」「直径」「伝達速度」「役割」別に分類した一覧表が以下になる。
線維 |
有髄/無髄 |
直径μm |
伝導速度m/sec |
役割 |
|
Aα |
|
有髄 |
15~20 |
70~120 |
運動(骨格筋) |
Aα |
Ⅰa |
有髄 |
15~21 |
70~121 |
知覚(筋紡錘) |
Aα |
Ⅰb |
有髄 |
15~22 |
70~122 |
知覚(腱紡錘) |
Aβ |
Ⅱ |
有髄 |
5~10 |
30~70 |
知覚(触覚・圧覚) |
Aγ |
|
有髄 |
3~6 |
15~30 |
運動(錘内筋) |
Aδ |
Ⅲ |
有髄 |
2~5 |
12~30 |
知覚(疼痛・温覚) |
B |
|
有髄 |
3 |
3~5 |
自律神経 (交感神経節前線維) |
C |
|
無髄 |
0.5~1 |
0.5~2 |
自律神経 (交感神経節後線維) |
C |
Ⅵ |
無髄 |
0.5~1 |
0.5~2 |
知覚(疼痛) |
神経線維の伝導速度
神経線維における「伝導速度の条件」をまとめた一覧表は以下になる。
|
速度大 |
速度小 |
髄鞘 |
有 |
無 |
神経の直径 |
大 |
小 |
線維内液、外液の 比抵抗 |
小 |
大 |
外部の電気抵抗 |
小 |
大 |
膜容量 |
小 |
大 |
線維の閾値 |
低い |
高い |
皮膚温 |
高い |
低い |
検査室温 |
高い |
低い |
特に、「有髄 or 無髄」「神経の直径」「線維の閾値」「温度が伝導速度に与える影響」なんかは国試の選択肢として出やすい。