理学療法士では一度は観覧したことがるであろう『理学療法診療ガイドライン』について(念のため)記載していく。

 

 

目次

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理学療法診療ガイドラインの一覧表

 

この『理学療法診療ガイドライン』は理学療法士学会のHPより観覧することが出来る。

 

理学療法診療ガイドライン第一版

 

 

項目は以下のように構成されています。

 

①推奨グレードの決定およびエビデンスレベルの分類

 

②各疾患・領域の理学療法診療ガイドライン

1.背部痛

2.腰椎椎間板ヘルニア

3.膝前十字靭帯損傷

4.肩関節周囲炎

5.変形性膝関節症

6.脳卒中

7.脊髄損傷

8.パーキンソン病

9.脳性麻痺

10.糖尿病

11.心大血管疾患

12.慢性閉塞性肺疾患(COPD)

13.身体的虚弱(高齢者)

14.下肢切断

15.地域理学療法

16.徒手的理学療法

 

 

興味のあるガイドラインから読んでみよう

 

資料は約1200ページにもわたるため、全て読破しようと意気むと重い腰が上がらないので、まずは自分の興味のある部分から少しずつ読んでみてはどうだろう?

 

例えば、筋骨格系理学療法に興味がある方であれば、関連するものとして

 

1.背部痛

2.腰椎椎間板ヘルニア

3.膝前十字靭帯損傷

4.肩関節周囲炎

5.変形性膝関節症

16.徒手的理学療法

 

といった項目からであれば読みやすいかもしれない。

 

一度重い腰を上げて読み進めてみると、興味深い内容が沢山書かれてあるので、あっという間に読めると思う(流し読みで十分な内容も多いので)。

 

 

この資料は、上記の各疾患に対する評価・介入方法がどの程度有用であるかを、以下の表現を用いて記載している。

 

①評価法の推奨グレード(信頼性や妥当性がどの程度あるか)

 

②介入方法の推奨グレード(科学的根拠がどの程度あるか)、エビデンスレベルがどの程度か(どの程度良質な方法を用いて、結論を導き出したか)

 

 

具体的な内容としては、例えば『背部痛』の章では

 

・単純X線の推奨グレードは?

・脊柱可動性評価の推奨グレードは?

・疼痛誘発テストは推奨グレードは?

・ストレッチングに関する推奨グレードは?

・筋力増強・筋持久力強化の推奨グレード・エビデンスレベルは?

・エアロビクス・フィットネルの推奨グレード・エビデンスレベルは?

・水中運動の推奨グレード・エビデンスレベルは?

・マッサージの推奨グレード・エビデンスレベルは?

・教育的アプローチの推奨グレード・エビデンスレベルは?

・安静の推奨グレード・エビデンスレベルは?

・靴インソールに対する推奨グレード・エビデンスレベルは?

・牽引療法の推奨グレード・エビデンスレベルは?

 

などなど、多面的な内容が盛り沢山だ。

 

そして、これらの結論の後に、その詳細であったりの補足的な文章が記載されている。

 

例えば、腰痛に対するマッケンジー法の有用性に関しては、

『推奨グレードB エビデンスレベル2』

であり、

 

補足の文章として
マッケンジー療法は、1 週間以内の急性腰痛に対しては、教育・安静・アイスパック・マッサージなどの治療に比べ疼痛や機能障害の改善に有効である。
また、急性・慢性・再発性の腰痛に対するマッケンジー療法は、教育指導のみを行った場合と比べ6 か月後に疼痛と機能障害の有意な改善を示し、1 年後も機能障害の有意な改善を示す。
一方で、発症から12 週後の腰痛では、マッケンジー療法よりも活動性を維持するように指導する方が機能障害を有意に改善する。
また,亜急性から慢性の腰痛に対するマッケンジー療法は、筋力トレーニングや徒手療法と比べ疼痛や機能障害の改善効果に差はなく、その効果について明確なエビデンスは得られていない。

 

といった『複数の文献から総合的に解釈した結論』が掲載されている。

 

 

また、各章の後半には、

 

①この章の分野に関する今後の展望

②この章に用いられた用語解説

③これらの推奨グレード・エビデンスレベル・補足的説明のために用いられた文献の概要(文献名、研究デザイン、対象・評価・介入に関して、成果結論)

 

が記載されているのだが、特に③に関しては私にとって貴重な資料にもなっている。

 

っというのも、色々な講習に参加する中で講師から口頭で紹介され、「その文献読んでみたいな」と思ってそのままになってしまった海外文献も、③の中に多く存在していたりするからだ。

 

 

一方で、具体的な介入方法が記されていると思っていた人も周囲にいて、そういう人は肩すかしに感じることもあるかもしれない。

 

確かに、効果的な介入方法と分かっても、内容が抽象的すぎるものもある。

 

例えば、『腰痛に対す脊椎安定化運動が効果的』という事が分かっても、どの様な脊椎安定化運動が特に効果的かについては書かれていない。

 

もちろん、どの脊椎安定化運動が効果的かは評価によって決まるもので『これが必ず効く』というものは存在しないし、

それ以前に病態によっては他の介入方法が適切な場合もあるため一概には言えないわけだが、

『腰痛に対する脊椎安定化運動が効果的』だけではあまりにも味気無いと感じてしまう様である。。

 

 

また、一部の治療体系に関して記されている場合も、その治療体系自体を知らない人にとっては参考にならず、肩すかしに感じるようだ。

 

※例えば、『腰痛におけるマッケンジー法の効果』『頚椎性頭痛に対するSNAGS・上腕骨外側上顆炎に対するMWMsの効果』など。

 

これらの事から、

ガイドライン単独で学べることも多くあるが、

今まで自分たちが学んできたこと、あるいはこれから学ぼうとしていることに対する裏付けとして用いるの事が、

一番の活用方法だと思われる。

 

 

もう一度、理学療法ガイドラインを紹介

 

最後に、もう一度理学療法ガイドラインを紹介して終わりにする。

 

理学療法診療ガイドライン第一版

 

また、最近は上記URLに『ガイドラインのダイジェスト版』なるものも掲載されている。

 

こちらは、Q&A方式の記載がなされていたりして、単なるガイドラインより読みやすくなっているので、まずはダイジェスト版から観覧してみても良いかもしれない。

 

 

当ブログにおいては、『理学療法学』に掲載されていた「背部痛ガイドラインの活用法」の紹介記事を作成しているので、こちらも合わせて観覧してみてほしい。

 

『理学療法学』に載っていた「背部痛に対する理学療法診療ガイドライン活用法」