「マニュアルセラピー臨床現場における臨床実践」という書籍を紹介する。

 

マニュアルセラピー 臨床現場における実践

ヨヘン・ショーマッハー ガイアブックス 2014-08-27
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by ヨメレバ

 

 

目次

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マニュアルセラピー 臨床現場における実践

 

本書はドイツで絶大な信頼を得ている四肢と脊柱のマニュアル・セラピー書籍の訳本で、

OMT(ノルディックコンセプト)コースのインストラクターによって書かれている。

 

理論編と実践編に分かれており、

理論編ではマニュアルセラピーの歴史から、疼痛生理学、バイオメカニクス、ニューロダイナミクスといったマニュアルセラピーの基礎的知識について解説されている。

 

また、生物心理社会モデルについても言及されており、痛みに対して包括的な視点で解説されている点も特徴となる。

 

ただし、重要な要素を網羅しているものの、(当然のことながら)深堀している訳ではないので、興味持ったなら各要素に関する詳しい書籍にもあたる必要がある。

※理論編についての目次は記事の最後に記載しているので参考にしてみてほしい

 

実践編では、問診や6つの治療カテゴリーの分類を通してより明確に構成し、詳細に解説されている。

 

また、検査の手順に加え、運動の質の評価、治療目標の設定、徒手による関節モビリゼーションの適応と禁忌のほか、臨床における患者の症例も収録されている。

 

関節モビライゼーションの部位としては、四肢のみならず、体幹(骨盤・腰椎・胸椎・肋骨・頸椎)も含まれて充実しており、カラー写真なため視覚的にも理解しやすいと思う。

 

関節モビリゼーションはノルディックコンセプトを主軸にした内容になっていますが、ノルディックコンセプトを発展させたカルテンボーンはドイツ徒手医学会にも所属していたこともあり、ドイツ徒手医学の内容と類似している。

関連記事⇒『徒手医学(マニュアルメディシンとは

 

そのため、初学者やノルディックコンセプトに興味がある方はもちろんのこと、ドイツ徒手医学を学んでいる人にとっても参考になる内容だと思う。

 

 

裏表紙に書かれている書籍紹介

 

裏表紙でも書籍紹介がされているため以下に引用しておく。

 

・マニュアルセラピーの大御所であるフレディーカルテンボーン氏が推薦する、マニュアルセラピーの理論と実践が学べる質の高い専門書

 

・第5版の新たなポイントとして、マニュアルセラピーの効用過程と実践措置に対するより詳細な背景知識を掲載している。

 

・生物心理社会モデルを取り上げ、疼痛生理学、バイオメカニクス、ニューロダイナミクスの分野にも言及している。

 

・注意すべき「動かし感知することの習得」が新たなカラー写真表現によって明確に具体的になった。

 

・500を超えるカラー写真、多くの患者の症例、チェックリスト、総括は、職業訓練、専門教育、そして再びマニュアルセラピーを学ぶ際における学習をも容易にする。

 

 

目次(理論編のみ)

 

目次について、理論編のみ以下に記載しておく。

 

1 マニュアル・セラピーの歴史と定義

1.1 マニュアル・セラピーとは何か/1.2 歴史/1.3 理学療法的マニュアル・セラピーの歴史/1.4 世界のマニュアル・セラピー/1.5 マニュアル・セラピーの定義

 

2 生物心理社会モデルを背景としたマニュアル・セラピー

2.1 基礎としての生物心理社会モデル/2.2 生物医学的思考モデル[病理メカニズム的思考モデル/疼痛生理学/バイオメカニクス─負荷とストレス]

 

3 マニュアル・セラピーにおける関節メカニズム

3.1 骨運動学[回旋/並進/骨運動学の一覧表]/3.2 関節運動学[回転滑り/関節の遊び/関節運動学に関する一覧表]/3.3 関節解剖学[関節面、関節タイプ、運動軸の形態/関節運動を方向づける軸と面/関節肢位/関節運動の制限]

 

4 マニュアル・セラピーの体系

4.1 仮説演繹法/4.2 パターン認識/4.3 フローチャートを用いた体系的検査の構築

 

5 整形マニュアル・セラピーの概要

5.1 方向性を定める検査/5.2 個別検査/5.3 医師による追加検査/5.4 統括的評価

 

6 運動検査の視点

6.1 なぜ回旋・並進検査なのか/6.2 運動の量/6.3 エンドフィールを用いた運動の質/6.4 症状

 

7 マニュアル・セラピーの臨床思考モデル

7.1 症状としての疼痛の治療[末梢性疼痛の治療/疼痛治療と治癒/中枢性疼痛の治療]/7.2 機能障害の治療

 

8 マニュアル・セラピーの効果

8.1 症状、特に疼痛への効果/8.2 機構レベルへの効果[短縮した組織構造の伸張モビリゼーション/運動制限、運動制御、安定化]/8.3 神経レベルへの効果/8.4 心理社会文化および経済レベルへの効果/8.5 治療テクニックの個別性/8.6 まとめ

 

9 6つの治療カテゴリー

9.1 症状緩和措置/9.2 可動性を促進させる措置[関節による運動可動域制限の治療/筋肉による運動可動域制限の治療/神経による運動可動域制限の治療]/9.3 可動性を持続させる措置/9.4 可動性を減少させる措置[受動的安定性/能動的安定性]/9.5 PTの組織に影響を与える措置/9.6 情報、指導、トレーニング

 

10 関節治療の観点