パリスアプローチの『評価と適応 腰・骨盤編』と『実践編 徒手理学療法の試み』を紹介する。

 

 

目次

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書籍の特徴

 

この書籍は、アメリカの徒手療法である『パリスコンセプト』について紹介した書籍となる。

 

また、パリスコンセプトの紹介のみならず、徒手療法全般における評価や治療の根拠や限界などについても、豊富な研究論文などを提示しながら解説されている。

 

そのため、パリスコンセプトのみならず脊柱に対する徒手理学療法を学んでいる人にとって、基礎的な部分を深めていくために有意義な本だと思う。

 

徒手療法を学ぶ上で優秀な書籍は沢山あるが、その中でも(個人的に)かなり読み込んだ書籍に分類される。

 

また、パリス的というのか佐藤先生的というか、徒手療法の本ではあるものの過度に徒手療法へ肩入れすることなく、「文献的に意見が分かれていて結論が出ていない」であったり「徒手療法の限界」であったりも含めて客観的な立場?を心がけながら、「現時点での徒手療法の事実」を教えてもらえる内容であると思う。

 

一方で、他の書籍と比べてテクニックではなく考える基となる情報を提示してくれるといった内容が主なので、初心者でテクニックを学びたいと思われている方には拍子抜けというか、「でっ?」って感じになるかもしれない。

 

少し話はそれるが、興味深く読んだ内容の一つに「ポップ」がある。

関節を動かしたときに鳴る「ポキッ」ってのは何なのか?ということが書かれているのですが皆さんはご存知だろうか?

基礎講習の際にも説明を受けて、興味深かったので必死に補足をメモッた記憶があったのだが、本を読むと普通に載っていたのでショックでだった・・・(こういう講習で「へ~」っと思ってメモったことが普通に載ってるということが、この本には結構多かった・・・

 

個人的に書籍をいくら読んでも、技術的なものを大きく飛躍させようと思った場合、講習会に参加するのが理想である。

一方で、これら書籍に記載されているものの中には、「知っているだけで役に立つ情報」が多く含まれていため、是非手に取って観覧してみてほしい。

 

 

パリスアプローチ腰・骨盤編―評価と適応

 

 

以下は文光堂HPより引用

 

パリス・アプローチは,Stanley Paris博士により設立された徒手療法で,
解剖学,運動学を重視し,そこから可能であれば病態を推測し,手技自体より解剖学・運動学を基礎とした評価,病態推測を重視する.

 

結果,徒手療法を特殊な手技として強引に患者にあてはめることなく,必要な治療手技を選択できる.

 

障害の改善だけでなく管理することもおこなう.

パリスは弟子である著者・佐藤に次のように説いている.

 

「解剖・運動学を基礎として患者の機能不全(異常)を治療することを強調しているのが私の考えです.」

「病気・機能不全(異常)の原因を治療することが,病気・疼痛を治療するより重要なことです.それが私の考えです.徒手療法は単独で使用するよりも,運動・患者教育と組み合わせることで効果が出るものです.その結果,患者の生活の質を再獲得・維持・向上させることができると考えています.」

(Stanley Paris博士より本書刊行に際しての著者,佐藤友紀へのメッセージより.本書に収載)

 

本書は,全3編からなる『パリス・アプローチ』の第1弾となる「腰,骨盤編」.

パリスの徒手療法を,著者であるパリスの愛弟子が解説した本邦初のテキスト.

手技を中心にするパリスの徒手療法は本邦にも紹介されているが,本書では,パリス・アプローチは運動学,解剖学を基礎とした評価があり,それに基づく手技の適応があることを説いた実践書.

理学療法士必読の1冊.

 

※ちなみに、上記には全3編で構成されるとしているが、未だに2編しか出版されていない。

 

 

パリス・アプローチ 実践編

 

以下は文光堂HPより引用

最初に徒手理学療法に対する考え方,機能解剖に触れ,腰椎,骨盤にさらに頸椎,肩の病態に加え各病態の病歴,症状,所見などについて解説し,最後に検査,そして治療の詳細の流れの順にパリスならではの科学的,合理的,基本的アプローチの実践を詳述

 

臨床編と銘打つだけあって、『腰・骨盤編』よりも具体的なアプローチ方法に言及されている。

 

また、頸椎に関する情報が豊富なのも、こちらの書籍の特徴となる。

 

徒手理学療法の学派は色々あるよ

 

パリスコンセプトは数ある徒手理学療法学派の一つであるが、それら様々な徒手理学療法の研修会についてまとめた記事が以下になる。

 

理学療法士の講習会(研修会・勉強会)を紹介します(モビライゼーション)