早速だが、質問をしてみる。
以下のうち、誤っているのはどれだろう?
1.興奮は両方向に伝わる。
2.興奮は太い線維ほど速く伝わる。
3.有髄線維では跳蹴伝導が起こる。
4.興奮は隣接する別の線維に伝わる。
5.興奮の大きさは変わらずに伝わる。
答えは
↓
↓
↓
4番。
この問題は理学療法士国家試験に出題された内容であり、「興奮伝導の三原則」+αの知識を問われる問題になる。
ではでは「興奮伝導の三原則」を整理していこう。
興奮伝導の三原則とは
「興奮伝導の三原則」とは以下の三つを指す。
- 絶縁伝導
- 不滅衰伝導
- 両側性伝導
絶縁伝導とは
絶縁伝導とは以下を指す。
1本の神経線維が興奮しても隣接する他の神経線維は 興奮しない
冒頭で紹介した質問を思い出してほしい。
4番は「興奮は隣接する別の線維に伝わる」と記載されているため、
絶縁性伝導の観点から誤っている。
※隣接する別の線維には伝わらない。
そもそも、興奮が別の線維にまで伝わったら、
ドミノ倒しのように全ての神経線維に興奮が伝わってしまい、
大変なことになる。
不減衰伝導
不滅衰伝導とは以下を指す。
(軸索の直径が一定ならば)興奮の大きさは減衰せず一定の大きさで伝導する
興奮の大きさは、途中で弱まったり、消えたりはせず、
そのままの興奮が伝導されるということ。
両側性伝導とは
両側性伝導とは以下を指す。
以下のイラストは、
1点の興奮は(一方向ではなく)両方向に伝導する
というのを、がイメージしてもらいやすいのではないだろうか?
※電流が両側性に伝導しているのがイメージしやすい
まとめ
補足:シナプスの興奮伝達について
補足として「シナプスの興奮伝達」についても解説しておく。
1つの神経細胞の興奮が、他の細胞に伝えられること。
シナプスの興奮伝導と異なり、シナプスの興奮伝達では「一方向性伝達」である。
でもって、その他の特徴も含めた特徴をまとめると以下になる。
一方向性伝達 | 興奮伝達は一方向性(神経終末⇒シナプス後細胞) |
シナプス遅延 | シナプスを通過するのに約0.2ミリ秒かかる |
易疲労 | 繰り返し伝達を続けると疲労しやすい |
酸素・薬物 | 酸素不足や薬物の影響を受けやすい |
※シナプス可塑性として「反復刺激後増強」「長期増強・長期抑圧」なども挙げられる。
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神経線維には、以下の様に「有髄線維」と「無髄線維」がある。
でもって以下の記事では、これらの違いを解説している。
合わせて観覧してもらうと理解が深まると思う。