この記事では、寒冷療法の具体的な方法として、『アイスパック(アイスバック)』と『アイスマッサージ(クリッカーを使用)』について記載していく。
※寒冷療法の包括的な内容を知りたい方は、記事の最後のリンク先も合わせて観覧してみてほしい。
アイスパック(アイスバック)とは
アイスパック(アイスバック)とは以下を指す。
『氷嚢・ポリ袋などにクラッシュアイス(+水)を詰めたもの』
アイスパック(アイスバッグ)を用いた寒冷療法の適応
アイスバックを用いた寒冷療法の適応としては以下が挙げられる。
- 急性外傷後の炎症のコントロール
- 中枢性神経疾患の痙性抑制
アイスパック(アイスバッグ)の使用方法
アイスバック使用法の一例は以下の通り。
①患者体位:臥位 患部は主に上向き
②氷:袋の2/3程度詰める(患部に均等に当たるよう)
※空気は抜いておく
③患部を露出し、濡れタオル、アイスパックの順にのせる(必要に応じ弾包固定)
④治療時間:5〜20分くらい(感覚がなくなるまで行う)
※患肢を安定させる枕を準備するとよい
※治療後は皮膚の状態の確認すること
RICEとしてアイスバック活用
RICEとは、急性外傷時の応急処置法であり、以下の4つで構成される。
- R=Rest(安静)
- I=Ice(冷却)
- C=Compression(圧迫)
- E=Elevation(挙上)
※RICEに関しては『RICE(安静・冷却・圧迫・挙上)を分かりやすく解説!』も参照。
アイスマッサージとは
アイスマッサージとは以下を指す。
『氷・クリッカーを局所に当てながらマッサージする方法。』
アイスマッサージの適用
アイスマッサージの適用は以下などが挙げられる。
- 筋・靱帯の挫傷
- 筋スパズム・筋硬結
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・など。
※比較的限局された患部によい
氷(アイスキューブ)を用いたアイスマッサージの方法
アイスマッサージで用いる氷は『アイスキューブ(ビニールなどに納めてもOK・塩も加える)』を使用する。
※アイスキューブが小さいと感じる場合は、紙コップで製氷し、コップの先を切り取りながら(破りながら)使用すると使いやすい。
アイスマッサージの動画は以下を参照。
※アイスマッサージの速度は「10cm/秒」で一カ所に集中させない。
※治療部位は直径15cm位までで、範囲が広い場合は数カ所に分ける。
※治療時間:5〜10分くらいで、感覚がなくなるまで行う。
※アイスマッサージは(部位によっては)患者本人による治療も可能
疼痛に関する使用方法の一例としては、圧痛点(トリガーポイント)を中心に軽く圧しながら筋線維と並行になるようマッサージ行う
※圧痛点へのアイスマッサージはあくまで例え。
※圧痛点に関しては以下も参照
⇒『トリガーポイント圧迫&リリース法(マイオセラピー:Myotherapy)』
テニス肘(外側上顆炎)に対するアイスマッサージ動画は以下を参照。
⇒『テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するマッサージ/テーピング/アイスマッサージ』
アイスキューブを用いたアイスマッサージの注意点は以下などが挙げられる。
- 患部の水分を随時ふき取る(タオルを準備)
- 患部以外の部位の保温(シーツ・毛布などを準備)
- 治療後は皮膚の状態の確認すること
- 骨隆起部には行わない
- 治療者は冷たさから自分の手を守ること
クリッカーを用いたアイスマッサージの方法
クリッカーとは、円筒の両端に大小のジェラルミンのヘッドがついたものを指す。
クリッカーはアイスマッサージを施行するために考案されたもので、患部や衣服の濡れや汚れを防ぐことが出来る。
使用方法は以下の通り。
① クリッカーに「氷:塩=3:1」で封入し、よく振って混ぜる。
※すると、ヘッド温が-15〜-21℃まで低下する(ヘッド部分に霜がつく)
②前もって患部に軟膏を塗っておく(これにより凍傷が防止出来る)
③ 軟膏をもみ込むように軽く圧しながらアイスマッサージを行う
④マッサージの速度は「10cm/秒」で、一カ所に集中させない
⑤疼痛に対する治療時間は4〜5分くらいで、感覚がなくなるまで行う
※疼痛治療の一例は、アイスキューブと同様にトリガーポイントなど。
※クリッカーやアイスキューブを用いた寒冷療法は、筋緊張の抑制目的で使用されることもあるが、その場合は一般論として20~30分繰り返すとされている。
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