この記事では、リハビリ(理学療法・作業療法)で使用する『プーリー(pulle)』について記載していく。
プーリー(pulley)とは
プーリー(pulley)とは、「滑車を用いた運動機器」を指す。
リハビリで使用するプーリーは、オーバーヘッドフレームにて天井にぶら下がっていたり、以下の様な「プーリーが付属された機器」を使用することが多い。
※ちなみに以下の器具は、(プーリー機能以外も備わっている)多機能型のリハビリ器具になる。
例えば右手でプーリーの一側を床側へ引くことで、
(反対側を握っている)左手を天井側へ持ち上げる運動(左上肢の挙上運動)をアシストすることが出来る。
従って、上肢の筋力低下や片麻痺がある場合においても、重力を除いた姿勢や負荷を調節した状態で随意運動が実施できる。
また、五十肩など肩関節に疼痛が生じている場合においても、自身で肩関節の動きを調節できるので、疼痛を誘発せずに『関節可動域エクササイズ』が実施可能な場合もある。
※必ずしもプーリー体操が無痛で可能とは限らず、疼痛が生じるようであれば非適用なので誤解なきよう。
上記の様にプーリーは「介助・自動介助による関節可動域エクササイズに活用できる機器」ということになる。
プーリー体操を動画で紹介
以下は、実際にプーリーを用いた運動(プーリーエクササイズ)になる。
以下の順にプーリーエクササイズを実施している。
- 肩関節の屈曲運動
肩甲帯の挙上を伴わないよう注意。代償を伴いながら肩関節の「自動運動」を実施している人に対して、プーリーを使用した運動「自動介助運動」にレベルを下げることで、代償を伴わない肩関節の運動を学習出来る(+自分で介助量の調節も出来る)。これもプーリーエクササイズのメリットとなる。
- 肩関節の外転運動
- (肘関節の屈曲を伴う)肩関節の内旋(結滞動作に必要な可動域の獲得)
※結滞動作とは帯を結ぶ(現代ではエプロンの紐を結ぶなどのほうがイメージしやすいか)といった動作
- タオルを用いて③の動作を練習することも可能という補足的映像
- 機能的な上肢挙上運動である『肩甲骨面挙上』運動を解説した映像
ただし、冒頭で示した『プーリーが付属された機器』では、この動画で示した運動全ては、(窮屈だったり、フレームにぶつかったりで)実施出来ない可能性もある。
理想は、オーバーヘッドフレームを天井に取り付けて、以下のようなプーリー器具をつるして実施するのが良いだろう(既にそのような設備を備えた施設・病院もあるだろう)。
ただし、上記商品は紐の長さ調整が出来ないので、あくまでもプーリーがイメージできるよう添付してるだけなので注意してほしい。
また、動画の様に立位で実施したほうが、端坐位よりも骨盤が後傾しにくいため、脊柱の生理的な彎曲も形成されやすく、正常な肩甲上腕リズムが機能しやすいといったメリットもある。
なので、このような『運動連鎖』の観点からも、立位でのプーリーエクササイズが(座位よりも)オススメできるる。
リハビリ器具に関する質問
最後にリハビリ器具に関する質問を『リハビリテーション医学Q&A』から引用して終わにする。
質問:脳卒中による片麻痺上肢に対する作業療法で正しいのは、以下のうちどれか。
②サンディングは手指の巧緻性向上に有効である。
③プーリーは協調性運動に適している。
④バイオフィードバックは筋再教育練習に有効である。
⑤利き手交換では、書字の練習はひらがなより開始する。
で、回答は④になる。
ちなみに、プーリーの目的は「関節可動域訓練」とのこと。
他の項目に関する誤りは、分かるだろうか?
これらの器具に関しては以下の記事で解説しているので、興味がある方は観覧してみてほし。
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