マニピュレーションは明確な思考と批判的思考に依存するものである。
そして、このことについては、特に詳細な方法で指導を受ける必要がある。
このような思考法を容易に習得できるのは、卒後の医療従事者よりも在学中の学生の方である。
というのも、医療従事者の場合は別の思考法が既に身についており、習慣を改めることが困難だからである。
系統的かつ批判的な思考を行ってレンガを積み重ねる作業は非常に重要である。
初心者は、経験者と比べて、成果は少なく、かかる時間が長いことを認識しなければならない。
また、初心者は、近道を試そうとしたり、安易な方法をとろうとしたりしないように注意しなければならない。
患者から入手した断片的な臨床知識は、それが何を表現し、どのような結果をもたらすかを正確に把握した場合に限り、これらすべての断片的な臨床知識が積み上げられて確固たる知識の集積物となることを初心者は明確に理解する必要がある。
このようにして、当該患者ばかりでなく対応が求められている他の患者にとっても有用な事実を把握することが出来るのである。
例えば、経験のある理学療法士が無謀でも未熟でもないが直感的な方法で、予想されるチャンスにチャレンジしようとする場合、治療開始時に特定の手技を実施し、左回旋をⅤで行い、迅速に結果を得ることが可能であったとする。
しかし、この方法を支持する他の理学療法士(初心者)の場合、最終的にⅤが必要であるという結論に達するまで6-7回の治療経験が必要である。
初心者の場合は、結論に達するまで6-7回の治療を試み、回旋が正確な選択であり、正しい処方であることを時間をかけて確認する方がはるかに望ましいことである。
将来、初心者がマニピュレーション全般を上手に管理しなければならないことを考えた場合、推測により結果に到達することは初心者には有益なことではない。
時間をかけて正しい結果に到達し、結果に至る各行程の正当性を確実に証明することは、将来において必ず役立つものである。
初心者は、自己の知識を明確な実証済みの事実レベルまで細分類しなければならない。
それが出来ていない場合、価値のない知識の混沌に過ぎず、将来、多様な状況に遭遇しても知識が役に立つことは無い。
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