この記事では、リハビリ職種(理学療法士・作業療法士)がカルテを記載する際の要点を解説している。

 

ありきたりな内容ではあるが、新人の理学・作業療法士さんの参考になれば幸いである。

 

目次

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この記事に記載している「リハビリカルテ」について

 

理学・作業療法士が「実際に行ったリハビリ(評価なども含む)」や「リハビリを実施した時間帯」などを記載したものは「理学療法診療記録」や「作業療法診療記録」などと呼ばれる(臨床では「リハビリ診療録」「リハカルテ」「リハ記録」と呼称していることが多い)。

 

でもって、この記事で解説しているのも、上記の意味での「カルテ」になる。

 

単純に診療記録に関しする記事なため、『POSに準じたPOMR(問題志向型診療記録)』にフォーカスを当てた記事ではない点には注意してもらいたい。

 

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リハビリ(理学療法・作業療法)カルテの目的

 

理学療法士・作業療法士がが対象者に対してリハビリを実施した場合、必ずその診療経過などを診療記録(カルテ)を記載する必要がある。

 

でもって、診療記録(カルテ)を作成する主な目的は以下になる。

 

  • 適切な理学療法を実施するため
  • 対象者、家族、他部門の医療従事者、他の関係機関へ情報提供するため
  • 医療行為としての法的根拠を確保するため
  • 医療機関の運営のため
  • 医療従事者の教育および研究のため

 

・・・・などなど。

 

また、SOAP形式でカルテを作成する(あるいは、それに類似した形式で作成する)習慣を身につけると、クリニカルリーズニング(臨床推論)の能力の向上も期待できるという意味でも「(前述したカルテ記載の目的の一つである)適切な理学療法を実施すること」に繋がる。

 

ちなみに、診療記録(カルテ)は、対象者がこれ以降のリハビリ(理学療法・作業療法)の必要がないと判断された最後の診療日から少なくとも5年間保管し、その間必要な場合にはただちに参照できるように管理する必要がある。

 

 

カルテを記載する際の『原則』と『留意事項』

 

ここから先は、診療記録(カルテ)を記載する際の注意点を以下に紹介していく。

 

カルテ記載の原則

 

臨床記録に記載のないものは、理学療法を実施していないものとみなされてしまう。

 

なので、必ず毎日の理学療法実施後は、記載を怠らないことにする必要がある。

 

でもって、診療記録(カルテ)を記載する際の原則は以下の通り。

 

具体的な記載の原則:

 

①入院外来を問わず毎日記載すること。

 

②記戦は黒または青のインク又はボールペンを使用し、鉛錐など消去できるものは使わない。ただし、図示などのための色鉛縦やゴム印などの使用は可能である。

 

③実施日時、開始時間と終了時間、実施内容、実施者名は忘れずに正確に記職する(日付は年/月/日の順に記載する)。

 

④行間を空けたり、行の末尾に文字に詰めこんだりしない。

 

⑤第三肴にも判読しやすいように丁寧に記較する。外国語はできる限り使用せずに、人名や病名に限定する。ざらに暖昧な言葉は避け、意味の通じる正しい日本語で書き、簡潔に要点を得た文章を心がける。

 

⑥医学用語は学会用語集に、略語は医学辞典に準拠して用いる。不正確な略語、意味不明な造語、仲間内だけの隠語は、使用しない。

1)大峯三郎:記録・報告書の番き方,理学療法学概論(第3版).千住秀明(監修),神陵文庫,福岡,2010,pp205-207

 

 

カルテ記載の留意事項

 

前述した『カルテ記載の原則』と重複する部分もあるが、診療記録の記載上の留意事項は以下の通り。

 

記載上の留意事項:

 

①診療記録は私的なメモではなく公的な記録であり、事実を正確かつ客観的に記載する。

診療に不必要な覚え書きなど、医療に必要でない記載は極力避ける。

 

②症状・所見・治療計画などは簡潔明瞭な記載を行う。記載者以外の者が見ても実施内容が妥当であると納得できるよう心がける。課題志向型システムPOSなどを用いるとよい。

 

③対象者や家族に対する説明内容は正確に記載する。特に説明者・説明日時・相手方および同職者・説明内容・質問や回答などは必ず記職する。また電話での対応についても同様である。

 

④診療記録は、開示請求の対象となるので対象者のプライバシーに関することで臨床的に不必要なものは記載しない。

臨床的に必要でない対象者の性格や態度についての意見・また他の医療スタッフとのトラブルや他のスタッフに対する非難や批判についても記載しない。

また、前医の医療についての無用なコメントあるいは他の医療従事者の意見は、相手の了解なしに記載してはならない。ただし、評価の他部門からの情報を記載する場合はこの限りではない。

 

⑤事故発生時には、対象者の状態や実施した処置の内容などの記録が重要となるために、推測や自己弁護ではなく、正確な事実を時系列で記載する。

1)大峯三郎:記録・報告書の番き方,理学療法学概論(第3版).千住秀明(監修),神陵文庫,福岡,2010,pp205-207

 

 

署名又は捺印と記載を訂正する場合等

 

診療記録に記載した場合は、記載の末尾に必ずそのつど署名又は捺印をする(追加又は修正した場合も同様)。

 

また、記載の訂正は、二重線を引き、もとの記載が見えるようにし、訂正印をする。

 

※記載を塗りつぶしたり、修正液を使用したりするなど、元の記載がわからなくなるような訂正は行わない。

 

追加記載が必要なときは、日付を明記の上、「追記」と書いて署名する。

 

追記の場所は、該当する記載箇所の行間ではなく末尾に行い、末尾に記載できない場合は用紙を追加して記載する。

 

 

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