慢性疼痛にみられる不幸な特徴は、体調が良い時に運動や活動を過剰にしてしまう人がいるということである。
体力の限界まで活動を続け、その結果、疲労や痛みが再燃し、長期の休養期間を要することとなる。
再燃が収まると、人はいくぶんかは良くなっていると感じ、疼痛によって失った時間を埋めようと再び無理をする傾向がある。
そうすることによって次の再燃の可能性が高まる。
この典型的な過活動と不活動の循環が有害であるのは、自然経過が長期間にわたる不活動の方向へ向かうためである。
ペース配分は、過活動と不活動の過剰な波をなだらかにさせ、疼痛再燃のない管理状態を維持できる活動レベルを発見させる手助けとなる。
ペース配分の基本的概念は、本人の許容範囲と動機付けで決まる活動量を、あらかじめ定められた活動量に置き換えることである。
それゆえペース配分の技能とは、耐久性を決定すること、すなわち問題となる活動量を決定することである。
その目的は、十分に耐久性限度内であるように活動のベースラインを設定すること、またそのベースライン活動量の途中に休憩を割り当てることである。
治療の開始時点で、座位・立位・歩行の耐久性ベースラインを見つけることは有用であり、日常生活にも反映できるだろう。
もちろん人によって他にもいろいろな活動が多様な重要度で存在する。
ベースラインを考慮した指導の目的は、課題を達成し易くすることにある。