この記事では医療用マスクとして『外科用マスク(サージカルマスク)』と『微粒子マスク(N95マスク)』について記載していく。
医療用マスクについて
医療現場で使用するマスクは以下の2つに分類することが出来る。
- 通常マスク(サージカルマスクも含む)
- 微粒子マスク(N95マスク)
通常のマスクの使用目的は以下の2つである。
- 口腔並びに鼻腔の粘膜の保護
- 血液・体液等の飛沫防止
一方で、微粒子(N95)マスクの使用目的は以下になる。
マスクを効率よく使用するには、使用目的別に使い分けるのが妥当と考えられる。
通常マスクには、さらに機密性が高いもの、耐久性があるもの、セーフティーガードがついたもの等がある。
飛沫感染予防の際には、通常マスクを使用し、血液・体液などが飛散する可能性がある場合には、耐久性のある通常マスクを使用する。
空気感染のうち、結核に関しては、医療従事者と排菌患者で使用するマスクが異なる。
医療従事者は微粒子(N95)マスクを使用し、排菌患者は結核菌の飛沫核の発生を防止するために通常のマスクなどを使用する。
マスクの使用基準は以下の通り。
マスクの種類 | 特徴 |
---|---|
通常マスク ・外科用(サージカルマスク) ・ガーゼマスク ・紙マスク ・・・など |
「本体のみ」や「セーフティーガード付き」、耐久性の違いなど、様々な特徴を持ったマスクが存在する。 |
微粒子(N95)マスク | 結核菌など飛沫核の吸入防止が可能なマスク |
米国ではAORN(米国手術看護協会)やCDC(疾病管理予防センター)等からマスクに関する推奨基準が出されている。
一方で日本では、結核対策としてマスクに関する推奨基準が出されているだけで、それ以外に明確な使用基準を示したものはない。
日本結核病学会予防委員会や「厚生労働省国立病院・療養所・結核院内感染防止のための指針」より、医療従事者による微粒子(N95)マスクの着用が推奨されている。
ここから先は、外科用マスク(サージカルマスク)と微粒子(N95)マスクについて記載していく。
外科用マスク(サージカルマスク)の特徴・装着法・使用例
外科用マスク(サージカルマスク)の特徴は以下の通り。
- 外科用マスクは、口元にフィットし、飛沫を透過させない構造になっている。
- 着用時に正しくフィットさせれば、飛沫を完全に防御することができる。
サージカルマスクは、手術中に術者が喋っても、また、血液・体液が飛散しても水分を透過させないように複層構造になっており、水を入れても透過しない。
また、表面が蛇腹になっていて顎の下まで覆うことができ、口元には少しの空間が存在し長時間の装着にも苦しくないように設計されている。
紙マスクやガーゼマスクは、これらの機能がないのですぐに湿潤してしまったり、マスクと顔の間に空間ができてしまうこともある(マスクなら何でもよいというわけではない)。
以下がサージカルマスクになる。
サージカルマスクの正しい装着法
サージカルマスクの正しい装着法は以下になる。
- 裏と表を間違えないように装着する。蛇腹の位置が下向きになるようにする。
- マスクの上部に金具が装着してある。この金具を自分の鼻の形に合わせて曲げる。
- マスクは蛇腹になっていて、下部を引くと広がる。
- 下部を引き、十分に鼻・口に密着させて覆う。
- 湿潤した場合は交換する。再使用はしない。
①鼻に当たる部分のワイヤーが少しフィットするように形を付ける。
②耳に紐をかける
③鼻と顎を覆うようにフィットさせる。
サージカルマスクの使用例
サージカルマスクの使用例は以下になる。
- 手術室等での無菌操作時に装着
- 院内等で咳の出る患者及び職員に装着
- 咳の出る患者の1m以内に入る場合に装着
- 結核患者の輸送時、患者に装着(飛沫が漏れないので、飛沫核の発生を阻止できる)
誰も咳をしていない室内や、外気中ではマスクは必要ない。
マスクは、必要時に正しく着用することによって、多くの感染症を予防することができる。
微粒子マスク(N95マスク)の特徴・使用例など
微粒子マスク(N95マスク)は、空気感染が起こり得る呼吸器感染(結核・水痘・麻疹など)の予防を目的として設計・開発された着用者(医療従事者)保護用のマスクである。
間違いやすい点として「医療従事者が感染しないためのマスク」なので、例えば隔離された患者が着用すべきマスクの目的は「口元からしぶきが飛び散らないようにするなどが目的」なので微粒子マスクを着用する必要はない(飛沫感染予防を目的とした一般のマスクで十分である)。
ちなみに以下が微粒子マスク(N95マスク)になる。
微粒子マスク(N95マスク)の特徴
微粒子マスク(N95マスク)の特徴は以下などが挙げる。
- 0.3㎛(マイクロメートル)以上の粒子を95%カットする。
- 苦しくなるので長時間の着用には不向き
※微粒子マスクの大きさが、自身の顔の大きさにフィットしていないと十分な感染予防効果が得られない場合がある。
微粒子マスク(N95マスク)の使用例
微粒子マスク(N95マスク)は、医療従事者や面会者が空気感染源(結核・水痘・あるいは麻疹に罹患し、感染性が高い患者、あるいはその感染症の疑いが濃厚な患者など)に接触する以下のような場合に装着することが推奨されている。
- 患者が隔離されている部屋に入る。
- 患者が咳嗽やエアロゾルを誘発・産生する行為を行っている場所に立ち会う。
- 患者を救急車で搬送する。
- 患者の気管支鏡検査や剖検を行う。
微粒子マスク(N95マスク)の使用期間
微粒子マスクは(N95マスク)の試用期間は、メーカーによって違いはあるが、破損や汚染が無ければ、1日から数日間使用が可能である。
※1人1個の使用が適当である。
※文献によっては使い捨てしなけばいけないとしているものもある。
微粒子マスク(N95マスク)のフィットチェック
微粒子マスク(N95マスク)の使用する際は、マスクの辺縁から空気が流入しないように使用直前に必ずフィットチェックをしておこう。
具体的には以下の通り。
もし空気漏れがある場合、密閉が適切になされるまで調整を繰り返す。
正しいフィットが得られ、空気漏れが消失したら装着する。
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