この記事では、『足関節・足部のMMT(徒手筋力テスト)』を記載している。
簡潔に記載しているので、MMT(徒手筋力テスト)を忘れてしまったリハビリ職種(理学療法士・作業療法士)、看護師、学生さんなどは、是非活用してみてほしい。
また、「MMTの基礎」や「足関節・足部以外のMMT」に関しては記事最後のリンク先『MMT(徒手筋力検査)のやり方』でまとめているので、こちらも併せて観覧してもらうと知識が整理できると思う。
目次
足関節底屈のMMT
足関節底屈の主動筋
・腓腹筋(内側頭・外側頭)⇒脛骨神経
・ヒラメ筋⇒腓骨神経
足関節底屈MMTの方法(全ての底屈筋に対するテスト)
段階5,4,3の足関節底屈MMT:
患者体位と方法:
・片側立位
・壁などに触れてバランスを保つ
・膝関節は伸展位とし、最大限のつま先立ちを連続して繰り返す
念のため、以下が爪先立ちの動画となる(後半が片脚での爪先立ちになる)。
MMTの判定基準:
段階5:
完全なつま先立ちを休みなく、疲れもなしに20 回以上繰り返せる
段階4:
つま先立ちを正しく10~19 回までなら休み・疲れもなしに繰り返せる
段階3:
つま先立ちを正しく9~1 回までなら休み・疲れもなしに繰り返せる
段階2+:
踵がわずかに床から離れるが、完全なつま先立ちには至らない
段階2の足関節底屈MMT:
患者体位:
・腹臥位
・下肢は伸展位とし、足部は台の端からはみ出させる
MMTの方法:
検者は、一方の手で足首を保持し、他方の手で中頭列の位置から抵抗を加える
MMTの判定基準:
段階2+:
最大の抵抗に抗して運動範囲を完全に運動でき、最大到達位を保てるもの
(段階2+は立位・臥位の2パターンあるということ)
段階2:
運動範囲を完全に運動できるが、抵抗には耐えられないもの
段階2-:
運動範囲の一部だけを動かしうるもの
段階1,0の足関節底屈MMT:
患者体位:
腹臥位
下肢は伸展位とし、足部は台の端からはみ出させる
段階1:
アキレス腱の動きを触れるが、関節運動は起こらない
腓腹筋・ヒラメ筋それぞれを個別に触診する方法もよい
段階0:
全く収縮が認められない
足関節底屈MMTの方法(ヒラメ筋単独のテスト)
段階5,4,3の足関節底屈MMT:
患者体位と方法:
・片側立位 壁などをさわりバランスを保つ
・膝関節は軽度屈曲位とし、最大限のつま先立ちを連続して繰り返す
MMTの判定基準:
段階5:
完全なつま先立ちを休みなく、疲れもなしに20 回以上繰り返せる
段階4:
つま先立ちを正しく10~19 回までなら休み・疲れもなしに繰り返せる
段階3:
つま先立ちを正しく9~1 回までなら休み・疲れもなしに繰り返せる
段階2,1,0の足関節底屈MMT:
患者体位:
・腹臥位
・膝関節を90°屈曲位とする
MMTの方法:
検者は、一方の手で足首を保持し、他方の手で中足骨頭列の位置から抵抗を加える
MMTの判定基準:
段階2+:
ある程度の抵抗を加えられても運動範囲を完全に運動できる
段階2:
抵抗がなければ運動範囲を完全に運動できる
段階2-:
運動範囲の一部だけを動かしうるもの
段階1:
アキレス腱の動きを触れるが、関節運動は起こらない
段階0:
全く収縮が認められない
足関節背屈ならびに内返しMMT
足関節背屈ならびに内返しの主動筋
・前脛骨筋(深腓骨神経)
足関節背屈ならびに内返しMMTの方法
段階5~0の足関節底屈MMT:
患者体位:
・端坐位または仰臥位
MMTの方法:
・検者は、患者の踵を大腿の上に置く
・一方の手で下腿下端後面を保持し、他方で足背内側面に抵抗を加える
・足関節は内側を手に背屈させ、足指については力を抜かせる
MMTの判定基準:
段階5:
最大の抵抗に抗して全ての可動域で運動でき、最終到達位置を保持できる
段階4:
強力~中等度の抵抗に抗し全可動域で運動ができる
段階3:
抵抗がなければ全ての可動域を運動でき、かつ最終到達位置を保持できる
段階2:
運動範囲の一部だけが可能なもの
段階1:
向こう脛(脛骨前面)の筋腹、または足関節の第一中足骨線上に腱の動きを触れる
段階0:
収縮を触れることができない
代償運動:
足指の伸展を伴う背屈→足趾伸筋・長母趾伸筋
足部の内返しMMT
足部の内返しの主動筋
・後脛骨筋⇒脛骨神経(内側膝窩神経)
足部の内返しMMTの方法
段階5~2の足関節底屈MMT:
患者体位:
・端坐位
・足関節軽度底屈位
MMTの方法:
・検者は、一方の手で踵の直上を保持する
・他方を中足骨頭のレベルで足背・足内側面にあてがい、外返し・軽度背屈方向に抵抗を加える
MMTの判定基準:
段階5:
最大の抵抗に抗して全ての可動域で運動でき、最終到達位置を保持できる
段階4:
強力~中等度の抵抗に抗し全可動域で運動ができる
段階3:
抵抗がなければ全ての可動域を運動できる
段階2:
運動範囲の一部だけが可能なもの
段階1~0の足部内返しMMT:
患者体位:
・端坐位または仰臥位
・足関節軽度底屈位
MMTの判定基準:
段階1:
内果と舟状骨粗面との間に腱の動きを見るまたは触れることが出来る。
※内果の後方で触診するのもアリ⇒触診方法は『後脛骨筋の重要性』も参照
段階0:
収縮を触れることができない
代償運動:
足指の底屈を伴う内返し→足趾屈筋・足母趾屈筋
足関節の底屈を伴う外返しMMT
「足の底屈を伴う外返し」の主動筋
・長腓骨筋(浅腓骨神経)
・短腓骨筋(浅腓骨神経)
足の底屈を伴う外返しMMTの方法
段階5~2のMMT:
患者体位:
・端坐位
・足関節中間位(軽度底屈)
MMTの方法:
・検者は、一方の手で踵の直上を保持する
・他方を前足部の背側から外側縁に回るようあてがい、内返し・軽度背屈方向に抵抗を加える
MMTの判定基準:
段階5:
最大の抵抗に抗して全ての可動域で運動でき、最終到達位置を保持できる
段階4:
強力~中等度の抵抗に抗し全可動域で運動ができる
段階3:
抵抗がなければ全ての可動域を運動できる
段階2:
運動範囲の一部だけが可能なもの
段階1~0のMMT:
患者体位:
・端坐位または仰臥位
・足関節軽度底屈位
MMTの判定基準:
段階1:
短腓骨筋:腓骨外果後面から第5中足骨底に向かう線上
長腓骨筋:腓骨外果の直下、短腓骨筋の後ろ
段階0:
収縮を触れることができない
※長腓骨筋:
・主に第1中足骨頭を底屈させる
→第1中足骨頭の底面から内返し・背屈の抵抗=長腓骨筋の単独テスト
※短腓骨筋:
・足底屈を伴う外返し
・一般的には短腓骨筋の分離テストは不可能
※背屈を伴う外返し:
・趾伸筋(第三腓骨筋)が主動作筋
母趾と足趾の中足趾節関節の屈曲
母趾と足趾の中足趾節関節の屈曲の主動筋
・母趾
⇒短母趾屈筋(内側足底神経)
・足趾
⇒第1虫様筋(内側足底神経)
⇒第2~4虫様筋(外側足底神経)
まずは、「母趾」を記載したのちに「足趾」の中足趾節関節の屈曲について記載していく。
母趾中足趾節関節の屈曲
段階5~0のMMT:
患者体位:
・端坐位または仰臥位
・足関節中間位
MMTの方法:
・検者は、テストする足を膝上にのせる
・一方の手で足背を保持、他方の手の示指で母趾基節底面から抵抗を加える
・IP 関節は中立位を保つ
MMTの判定基準:
段階5:
最大の抵抗に抗して全ての可動域で運動でき、最終到達位置を保持できる
段階4:
強力~中等度の抵抗に抗し全可動域で運動ができる
段階3:
抵抗がなければ全ての可動域を運動できる
段階2:
運動範囲の一部だけが可能なもの
段階1:
短母趾屈筋は筋・腱とも触知できない
わずかな動きを見れる・触れる
段階0:
収縮を触れることができない
足趾中足趾節関節の屈曲
段階5~0のMMT:
患者体位:
・端坐位または仰臥位
・足関節中間位
MMTの方法:
・検者は、テストする足を膝上にのせる
・一方の手で足背を保持、他方の手の示指で外側4趾の基節底面から抵抗を加える
・IP 関節は中立位を保つ
MMTの判定基準:
母趾の場合と同じ
※各虫様筋の個別的なテストは困難
母趾と足趾の遠位・近位趾節間関節の屈曲のMMT
「母趾と足趾の遠位・近位趾節間関節の屈曲」の主動筋
・母趾IP ⇒長母趾屈筋(L5-S2)
・足趾DIP⇒長趾屈筋(L5-S1)
・足趾PIP⇒短趾屈筋(内側足底神経)
「母趾と足趾の遠位・近位趾節間関節の屈曲」MMTの方法
段階5~0のMMT:
患者体位:
・端坐位または仰臥位
・足関節中間位
MMTの方法:
・検者は、テストする足を両膝の間にのせる
・両手の手指を足背に、母指を趾節部にあてがい抵抗を加える
・IP 関節テストの場合は中節の底面、DIP 関節テストの場合は末節の底面より抵抗を加える
MMTの判定基準:
段階5,4:
屈曲運動を全可動域で運動ができるもの
抵抗は軽いものでよい
段階3:
抵抗を加えられなければ全可動域で運動ができるもの
段階2:
運動範囲の一部だけが可能なもの
段階1:
基節の底面で腱の動きを触れる
段階0:
収縮を触れることができない
※各趾の個別的なテスト、MP、IP 関節の分離したテストは不可能
※それぞれをまとめた形でのテストとなる
「母趾と足趾の遠位・近位趾節間関節の伸展」のMMT
「母趾と足趾の遠位・近位趾節間関節の伸展」の主動筋
・長母趾伸筋(深腓骨筋)
・長趾伸筋(深腓骨筋)
・短趾伸筋(深腓骨筋)
「母趾と足趾の遠位・近位趾節間関節の伸展」MMTの方法
段階5~0のMMT:
患者体位:
・端坐位または仰臥位
・足関節中間位
MMTの方法:
・検者は、テストする足を両膝の間にのせる
2—5 趾のテスト
・一方の手でテストする足の中足骨を固定する
・他方の手の1指で2—5 趾の基節の背面に抵抗を加える
母趾のテスト
・一方の手でテストする足の踵部をつかみ固定する
・他方の手の指を足底にあてがいながら母指で基節部(短趾伸筋)、または末節(長母趾伸筋)に加える
MMTの判定基準:
段階5,4:
屈曲運動を全可動域で運動ができるもの
抵抗は軽いものでよい
段階3:
抵抗を加えられなければ全可動域で運動ができるもの
段階2:
運動範囲の一部だけが可能なもの
段階1:
長趾伸筋腱⇒中足骨の背面で観察・触知可能
短趾伸筋⇒外果の全面に筋腹を確認できる
段階0:
収縮を触れることができない
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