この記事は、リハビリ(理学療法)の対象となりやすい「椎体の圧迫骨折」について記載していく。

 

この記事は、書籍『カパンジーの機能解剖学』をベースに記載しており、書籍に関しては以下の記事も参考にしてみて欲しい。

⇒『「カパンジー機能解剖学」で読み解く脊柱の機能解剖

 

 

圧迫骨折が起こる『椎骨』の構造

 

圧迫骨折は『椎骨』に起こる。

 

この『椎骨』は硬くて丈夫な緻密骨である皮質が、海綿骨を取り囲むという殻状な構造をしており、「椎体の海面骨梁が複雑に入り組んでいる部分ほど強固」と言える。

 

そして、通常の椎体であれば、海綿骨の骨梁が密に連結してぎっしり詰まっているが、骨粗鬆症などにより骨梁が徐々に消失し連結が絶たれて構造が粗くなったり、更に進行して海綿骨がスカスカな状態になったりもする。

 

カパンジーではこの骨梁の線が縦・横・斜めと複雑に入り組んでいる様子が視覚的に分かりやすく示されているのだが、その中で縦線だけでしか存在しない部位があり
 それが「椎体前縁の前方(を底辺とする三角形部分)」となる。

 

つまり、椎体前縁の前方は、椎体の中で一番脆い部分ということになり、
この点に関してカパンジーでは、以下の様に記載されている。

 

『椎体全体を圧壊させるには800㎏の軸圧が必要なのに対して、
椎体前方部分だけの圧壊は600㎏の軸圧で起こる』

 

もし、前方部分のみの圧迫骨折(楔状骨折)であった場合、どんな動作で痛みが増強されると予測できるだろうか?

 

椎体の前方の圧迫を助長させるような動作・・・・・

すなわち『体幹前屈動作』によって痛みが増強する可能性が考えられる。

 

※(痛みの程度にもよるが)何とか立ち上がることが出来る人であれば、その立ち上がりを観察してみるのも良いかもしれない。

 

※ 正常な立ち上がりパターンと異なり、体幹前屈させないまま立ち上がろうとするのであれば、上記の理由から『椎体前方のみが圧壊されてしまった状態かも』と推察しても良いかもしれない。

 

※もちろん、同様に(痛みの程度にもよるが起き上がりなど様々な動作パターンからも推察できる。