最近、俳優の「坂口 憲二さん」が特発性大腿骨頭壊死であることを発表した。

 

ドラマ「医龍」でも主演していた俳優さんで、原因不明な股関節の痛みによって(ナレーションなど身体に負担のかからない仕事以外は)休業状態だったので心配していたし、受傷機転に関してや病名に関しても様々な憶測がこの数年飛び交っていたので心配していたが、そういうことであったらしい。

 

で、このニュースをきっかけに、芸能人では「堀 ちえみ さん」や「美空 ひばり さん」も大腿骨頭壊死症であったと報道されている。

 

この記事は、そんな『大腿骨頭壊死症avascular necrosis of the femoral head ; ANF』についての症状・治療対象・治療方法などを解説していく。

 

大腿骨頭壊死とは

 

大腿骨頭壊死症は以下の2種類に分類される。

  • 症候性大腿骨頭壊死症(原因の明らかな大腿骨頭壊死)
  • 特発性大腿骨頭壊死症(明らかな原因のない特発性大腿骨頭壊死)

 

 

でもって症候性大腿骨頭壊死症の原因としては以下などがあげられる。

  • 外傷性(大腿骨頚部骨折後・外傷性股関節脱臼後など)
  • 減圧性(潜函病やGaucher(ゴーシェ病)など)
  • 放射線治療後に生じるもの

 

※外傷性の大腿骨頭壊死では、大腿骨頭靭帯が引きちぎられて血流が断たれ、骨頭が壊死する。

 

一方で、坂口 憲二さんのように特発性大腿骨頭壊死(原因不明に発症する人)な人は、非常に多いと言われている。

 

 

ステロイド性・アルコール性の大腿骨頭壊死症

 

特発性大腿骨頭壊死症を広義にとらえた場合は、前述した「特発性・突発性大腿骨頭壊死症」に加えて以下も加わる。

  • ステロイド性大腿骨頭壊死症
  • アルコール性大腿骨頭壊死症

 

上記も含めて、「突発性大腿骨頭壊死症」と紹介される場合もある。

突発性大腿骨頭壊死症は、約50%が両側性に発症すると言われており。その大半は一年以内に発症する。

※ステロイド性では約70%が両側性に発症すると言われている。

 

発症年齢・頻度としては、以下などが言われている。

  • ステロイド性の発症頻度:20代女性、SLE(短期間での大量投与)
  • アルコール性:40代男性(1日日本酒3合以上で15年以上の飲酒歴のある人)

 

 

~ステロイド性大腿骨頭壊死症について~

 

ステロイド性大腿骨頭壊死症の基礎疾患としては、以下などがある。

  • 全身性エリテマトーデス(SLE)
  • ネフローゼ症候群
  • 腎臓移植

 

ステロイドの量は、少量(1日5~10mg)を長期間投与されるよりも、パルス療法のような短期間に大量投与された例で発症することが多いとされている。

しかし、これらの病因には様々な説(脂肪塞栓説、血管圧迫説・静脈還流障害説・血液凝固異常説など)があるものの、壊死発生機序は明らかではない。

 

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大腿骨頭壊死症の症状・治療対象

 

ここから先は、大腿骨頭症の症状や治療対象について記載していく。

 

大腿骨頭壊死の臨床症状

 

壊死の存在のみでは無症状であり、骨頭圧潰が起こると有症状(痛み)となり、治療の対象となる。

 

治療対象となった時点における骨頭壊死の臨床症状は以下の通り。

 

  • 股関節痛で発症することが多い。
  • 2~3週間に軽快する。
  • 外展制限と内旋制限が特徴

 

 

大腿骨頭壊死の病型・病期別分類

 

厚生労働省特発性大腿骨頭壊死症調査研究班により2001年改訂された診断基準および病型・病期分類が用いられている。

 

臼蓋荷重部に対する壊死範囲と骨頭圧潰の程度関節症性変化の有無により以下の分類を決定する。

 

・Type分類(特発性大腿骨頭壊死症の壊死局在による病期別分類)

・Stage分類(大腿骨頭壊死の病期別分類)

 

 

  • 特発性大腿骨頭壊死症の壊死域局在による病型分類:

    TypeA:壊死域が臼蓋荷重面の内側1/3未満に存在するもの、または壊死域が非荷重部のみに存在するもの。

    TypeB:壊死域が臼蓋荷重面の内側1/3以上/3未満の範囲に存在するもの

    TypeC:壊死域が臼蓋荷面の内側2/3以上におよぶもの

    ・TypeC-1⇒壊死域の外側端が臼蓋縁内にあるもの

    ・TypeC-2⇒壊死域の外側端が臼蓋縁をこえるもの

     

    Type分類では、TypeAおよびBは経過観察でよいが、TypeC(C1およびC2)は骨頭圧潰を生じ変形性関節症へ進展する可能性が高いので、痛みが出た時点で治療対象となる。

 

 

  • 大腿骨頭壊死の病期分類(stage分類):

    stageⅠ:単純X線像では、顕著な変化はなく、壊死の診断は出来ない。MRI・骨シンチグラム・または病理組織像で特異的異常所見がある

    stageⅡ:骨頭に帯状硬化像が存在する。骨頭の圧潰は認められない。「Stage3A=圧潰が3mm未満の時期」で「Stage3B=圧潰が3mm以上の時期」とされる。

    stageⅢ:骨頭に明らかな圧潰が存在する。関節症変化はない。

    stageⅣ:骨頭の圧潰が顕著で、関節裂隙が狭くなり、亜脱臼し二次性股関節賞となる

     

    Stage分類では、術後の予後を考える上で大切であり、できるだけ骨頭圧演が軽微な時期に骨切り術を行うことが重要である。

    つまり、骨頭圧潰が高度なStage3B以降では、術後関節症性変化が進行する危険性が高いため、Stage3Aまでが骨切り術の良い適応であり、これ以上になると人工股関節全置換術を行うこととなる。

 

壊死域が荷重部にない場合には、自然経過が良い症例も存在する。

 

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大腿骨頭壊死の治療

 

大腿骨頭壊死の治療は『保存的治療(手術しない治療)』と『手術的治療』に分類される。

 

 

保存療法

 

保存療法は、「壊死範囲の狭い症例」や「壊死が非荷重部に存在する症例」に適応される場合がある。

 

保存療法が適応となる症例における治療のポイントは以下の通り。

 

  • 壊死は荷重がかからなければ、2~3年で修復し、正常の骨組織に戻る。
  • 日常生活で壊死骨頭には荷重が加わるため、荷重部への壊死が広いものほど圧潰をきたす。
  • 圧潰の進行防止・関節症の進行防止(日常活動で免荷目的に歩行自助具を使用するなど)

 

 

手術的治療

 

大腿骨頭壊死の手術としては以下が適応となる。

 

・大腿骨内反骨切術

・大腿前方骨切術

・人工骨頭置換術人工関節置換術(骨破壊が広範に起こってしまっている場合に適応)

 

  • 大腿骨内反骨切術:

    壊死巣が骨頭の比較的内側に存在し、骨頭をない方へ移動させることにより、外側の健常部が荷重部へ回ってくることを目的とする。

    大腿骨頭壊死に対する大腿骨内反骨切り術

 

 

  • 大腿骨前方骨切り術:

    大腿骨頭壊死症に対する大腿骨前方回転骨切り術

 

  • 人工骨頭置換術・人工股関節置換術:

    人工骨頭置換術や人工関節置換術に関しては割愛するが、「堀 ちえみ さん」なんかは人工股関節置換術によって痛みが取れたことを報告している。これらの手術は耐用年数があり以前は20年程度と言われていたが、最近は30年、あるいはそれ以上長持ちするようである。脱臼肢位に注意しなければならないなど、リスクもきちんと把握しておくことも大切になる。

関連記事⇒『人工股関節置換術を紹介するよ

 

 

参考文献

 

主な参考文献は以下になる。

 

・プライマリケアのための整形外科疼痛マニュアル

・厚生労働省 特発性大腿骨頭壊死症

 

 

関連記事

 

大腿骨頭壊死症の原因の一つに外傷性股関節脱臼がある。

※例えば後方衝突によるダッシュボードインジュリーなど。

※脱臼により大腿骨に血液供給する大腿骨頭靭帯が損傷するなどで壊死が起こる。

そんな『外傷性股関節脱臼』に関しては以下の記事も参照してみてほしい。

 

⇒『外傷性股関節脱臼とは(整復動画も紹介するよ)