この記事では、私が取得している「福祉住環境コーディネーター2級」について解説している。
新人の理学療法士・作業療法士であれば、就職直後から「福祉用具・住環境の知識」を身に着ける必要性に駆られて勉強をすると思う。
であれば、「勉強のついで」に福祉住環境コーディネーター2級を取得できるので、新人さんには特におススメな資格ではないだろうか?
ではでは、記載していく。
福祉住環境コーディネーター2級とは?3級じゃダメなの?
福祉住環境コーディネーターには1級・2級・3級があり、ザックリ表現するなら以下になる。
3級:
- 合格率56.0%(2018年)
- 出題範囲がメチャクチャ狭い。
- リハビリ職であれば学生レベルでも既に備わっている知識多々あり。
- 合格するのは(リハビリ職であれば)比較的簡単。
- リハビリ職で保有資格に「福祉住環境コーディネーター」と記載している人でも3級の人は少ない。
2級:
- 合格率28.6%(2018年)
- 出題範囲がソコソコ広い。
- リハビリ職であれば「少し勉強すれば合格できるレベル」なので丁度良いと思う。
- リハビリ職で保有資格に「福祉住環境コーディネーター」と記載している人では、大体が2級保有者。
1級:
- 合格率11.8%(2018年)
- 出題範囲がメチャクチャ広い。
- リハビリで活用できる範疇を超えている内容も多々ある。
- リハビリ職で保有資格に「福祉住環境コーディネーター」と記載している人で1級の人は(個人的には)見たことがない。
- 2級試験に合格しなければ1級試験を受けれない。
- 2級・3級が「マークシートのみ」なのに対し、1級は「記述(実務能力などの実践力・応用力・総合判断力を問われる課題)も問われる。
2級を取得した時点で、(1級を取得しなくても)臨床で活用するならこれで十分と思う人が多いと思う(時間が余っているなら、他へ投入したほうが有益だと思う人が多いと感じる)。
1級は記述問題の対策もしなくてはいけないのもネックになるかもしれない(制限時間が2時間も設けられているので、かなり凝ったお題が出題される可能性もある)。
前述したように、私が取得しているのも(1級ではなく)2級だ。
ちなみに、合格したら証明証として以下の様な名刺サイズなカードが送られてくる。
1級・2級・3級の出題範囲
ちなみに、以下が福祉住環境コーディネーターの出題内容(勉強内容)となる。
どの級に挑戦するかの目安にしてみてほしい。
- 3級は赤色のみが出題範囲。
- 2級は赤色・青色が出題範囲
- 1級は赤色・青色・緑色の全てが出題範囲
① 少子高齢社会と共生社会への道
② 福祉住環境整備の重要性・必要性
③ 在宅生活の維持とケアサービス
④ 健康と自立
⑤ 障害者が生活の不自由を克服する道
⑥ バリアフリーとユニバーサルデザインを考える
⑦ 生活を支えるさまざまな用具
⑧ 住まいの整備のための基本技術
⑨ 生活行為別に見る安全・安心・快適な住まい
⑩ ライフスタイルの多様化と住まい
⑪ 安心できる住生活
⑫ 安心して暮らせるまちづくり
① 高齢者・障害者を取り巻く社会状況と住環境
② 福祉住環境コーディネーターの役割と機能
③ 障害のとらえ方
④ リハビリテーションと自立支援
⑤ 高齢者・障害者の心身の特性
⑥ 在宅介護での自立支援のあり方
⑦ 高齢者に多い疾患別にみた福祉住環境整備
⑧ 障害別にみた福祉住環境整備
⑨ 福祉住環境整備とケアマネジメント
⑩ 福祉住環境整備の進め方
⑪ 福祉住環境整備関連職への理解と連携
⑫ 相談援助の実践的な進め方
⑬ 福祉住環境整備の共通基本技術
⑭ 生活行為別福祉住環境整備の手法
⑮ 建築図面の読み方と建築関係法規の基礎
⑯ 福祉用具の意味と適用
⑰ 生活行為別にみた福祉用具の活用
① これからの社会に求められる福祉住環境整備
② 福祉住環境コーディネーター1級の目標と役割
③ 地域で支える高齢者ケア
④ 地域で支える障害者ケア
⑤ 地域福祉の推進と福祉コミュニティ
⑥ 福祉コミュニティづくり
⑦ ユニバーサルデザインの概念および沿革
⑧ ユニバーサルデザイン環境の整備手法
⑨ 高齢者・要介護者向け住宅・施設の流れ
⑩ 高齢者住宅・施設の種類と機能
⑪ 障害者向け住宅および施設の種類と機能
⑫ 福祉住環境のコーディネートの実際
福祉住環境コーディネーター2級を取得しているメリットは
福祉住環境コーディネーター2級を取得しているから「資格手当がもらえる」とか「給料が上がりやすい」というのは無いと思う。
ただ、リハビリ分野での「転職」や「アルバイト」をする際に、「採用するかどうかの一つの目安」として機能する可能性はある。
「メリットはそれだけか?」と思うかもしれないが、冒頭でも記載したように福祉住環境の知識はリハビリで必須で新人の頃は勉強すると思うので、「ついでに、気軽に資格取得し易い」と考えれば、このメリットだけで十分かなと。
三学会合同呼吸療法認定士と比べてみよう
余談として「三学会合同呼吸療法認定士」の資格取得と比べてみる。
この資格は「実務経験2年以上」「一定回数以上の講習会参加」などが受験資格となっており、合格難易度も高い。
でもって、理学療法士・作業療法士で資格取得を目指している人も多い。
ただ勉強する内容(出題内容)は、良く言えば「専門的」・悪く言えば「マニアック」であり、勉強で得た知識が臨床で活かせない人は意外と多い。
あるいは「転職」「アルバイト」などで資格をアピールしても、(凄いとは思ってもらるかもしれませんが)それが職場で役立つスキルかで判断された場合、福祉住環境コーディネーターの方が凡庸性が高くイメージもしてもらいやすいのではないだろうか?
また、「三学会合同呼吸認定療法士」や「理学療法認定療法士」など一部の資格は「更新性」である一方で、福祉住環境コーディネーターは更新性ではないのもメリットだ。
※一度取得したら更新のために労力やお金を割く必要が無い。
おススメ書籍
私は東京商工会議所が出版している「公式テキスト」を使って勉強した。
もちろん、以下の様に「過去問」「一問一答」なども合わせて勉強すると合格率がアップするとは思う。
ただ、「試験に合格するため」ではなく「実際ん臨床で活用する知識を得るため」という意識で参考書を読んでいると、普通に知識が入ってきて合格すると感じる。
まぁ、合格率を上げて確実に合格するために、参考書と併用する分には問題ない。「問題を解きながらの学習」というのは「参考書をひたすら読む」よりも効率の良い学習方法だというエビデンスもある。
参考書は、合格した後も「臨床で困った際の参考書」としても役立つのでおススメだ(問題集は、合格後はゴミ箱行きだと思う)。
おわりに
いかがだっただろうか?
福祉住環境コーディネーターはケアマネさんでも取得している人がおり、知名度は比較的高いので名刺交換時などでもアピールしやすい資格ではないかと思う。
勉強した知識は余すことなく臨床で活用できるし、一度取得してしまえば「資格の更新費」なども一切不要だ。
転職やアルバイトの面接時に、この資格が評価されることも有り得る。
例えば「週3以上の働ける人しかアルバイトで雇わない予定だったけど、この資格持ってて経験もあるようだし、だったら週1でも雇おうかな」なんてことが訪問看護ステーションで起こるかも?
リハビリ職は心身機能のみならず「住環境に関する知識」まで広く知っていた方がリハビリを展開しやすいし、多職種への的確なアドバイスもしやすい。
新卒者は「病院などでは退院を見据えた際」や「介護保険分野」では必要な知識なため「せっかく勉強するなら、ついでに資格も取ってしまう」というノリで取得してみてはどうだろう?(笑)