先日、理学療法士の冊子で頭蓋仙骨療法のセミナーが載っているのを発見して驚きしたのですが、今回はそれらセミナーの概要を紹介します。

 

理学療法士を対象とした頭蓋仙骨療法

 

理学療法士協会からJPTA Newsという冊子が届いたので読んでいると、講習会案内の項目に「理学療法士を対象とした頭蓋仙骨療法」というタイトルのセミナーが載っていました。

 

理学療法の冊子に頭蓋仙骨療法のセミナーが載るとは思っていなかったので、かなり驚きでした。

 

2つのセミナー共に、開催地場所が遠方なため参加できませんが、その中の講師の一人は理学療法士の徒手療法分野ではとても有名な方で、DVDや書籍や学会や講習会でも名前を良く聞きます。

 

頭蓋仙骨療法セミナーの概要

 

セミナーの概要として、以下の様な紹介がなされています。

 

 

頭蓋仙骨系は、脳膜、縫合、結合組織、脳脊髄液の流れに関係し、神経系・筋骨格系・血管系・リンパ系・内分泌系・呼吸系にも関連する。

 

頭蓋仙骨療法はこれらの系あるいは機能の改善を目的とした主に中枢神経系に対する治療法であり、脳脊髄液のリズムを頭蓋骨・仙骨・四肢で感じながら、正常なリズムに戻し、頭蓋骨を出てくるときの脳神経の機能を改善する治療法である。

 

このリズムの異常のために生じる筋膜や筋肉の緊張などに対する筋膜リリーステクニックや痛みに対するテクニックも含まれる。

 

これらの方法はセラピストの非常に繊細な手の感覚が要求される。

 

ゴールは、リラクセーション、脳脊髄液と血液の頭蓋内の循環促進、交感神経系のリラックスを通して,バランスのとれた膜系の緊張バランスを回復させることにある。

 

ただし,頭蓋仙骨療法については未だ科学的根拠に乏しい点も否定できない。

 

脳脊髄液は、脳実質との物質交換など神経系に対し何らかの働きをしていると思われるが、その役割については,まだはっきりとは解明されていない。

 

頭蓋の動きの源がどこかということも,脳自体が巻き込むような動きをするからとか、脳脊髄液が呼吸のときの空気のように脈絡叢や静脈洞を出入りするとか、血液の流れによって脳が律動的にその体積を増減させたりしているなどの説があるが、このこともまだ十分には解明されていない。

 

しかしながら、脳脊髄液が循環しているクモ膜下腔は脳や脊髄全体を覆っており,クモ膜の外側にある硬膜や大脳鎌などには静脈洞が多く存在することを考えると、硬膜の異常な緊張や脳脊髄液の循環の異常が、全身の神経系や循環系に影響している可能性は否定できない。

 

本ワークショップの頭蓋仙骨療法に関しては、科学的根拠の乏しい点があることをご承知の上でお申し込み下さい。

 

 

・・・・とのことでした。

 

 

一つの引き出しとして学んでみるのもアリかもよ??

 

随分と慎重な言い回しを用いながら紹介されています。

 

上記の紹介分からも分かるように、『科学的根拠が乏しい点も否定できない→証明はされていない』ということなのだと、知りたいことが分かってすっきりしました。

 

こういう事実を伝えた上で受講生を募るという姿勢に凄く好感を持てました(>_<)

 

行けなくて残念・・・

 

自分の臨床では、このアプローチによりリラクゼーション効果はあると感じています。アプローチ中に寝てしまう方もおられます。「頭がスッキリして目が冴えてきた」などと表現される方もおられます。まぁ、それが「膜系の緊張バランスを回復させる」ことになっているのかがやっている本人にもよく分かっていないことが多いのがダメなところですが・・・(本来ならこれらの症状が改善されたうんぬんではなく、脳脊髄リズムが正常になったのかをしっかり評価できなければいません)。

 

非常にソフトな手技で、アプローチ中に痛みを訴えられることはまずないので、頸椎疾患の急性期でも二次的に起こる筋の過緊張の改善や自然治癒力を高めるといったことは可能なのではと思います(もちろん禁忌はあります)。

 

科学的根拠は乏しいとのことで、その点は残念ですが、適応の見極めによっては「結果」の出せる手技だとは思うので、一つの引き出しとして持っておくには良いのではと思っています。

 

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