この記事では整形外科的テストの一つである『パトリックテスト(Patrick test)』について解説していく。

 

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パトリックテスト

 

パトリックテストの方法・陽性所見・解釈は以下になる

 

方法

  1. 患者を背臥位にし、検者はその側方に立つ。
  2. 検者は患者の骨盤がテスト側(患側)へ倒れないよう固定しつつ、股関節の屈曲・外転・外旋(FABER:flexion-abduction-external rotation)位にする。
  3. このポジションにて、さらにで膝関節に背側方向への圧を加える。

    ※骨盤に対してブックオープンストレス(book open stress)と表現されることがある。

 

陽性所見

圧迫した時に鼡径部(股関節部)に痛みがある。

圧迫した時に仙腸関節に痛みがある。

 

解釈

鼡径部の痛み⇒股関節の変形性疾患や炎症反応な可能性

仙腸関節の痛み⇒仙腸関節の機能障害や炎症反応な可能性

 

 

パトリックテストは股関節評価?仙腸関節評価?

 

パトリックテストは、仙腸関節機能障害の検査だと言われることがある。

 

確かに、股関節へオープンブックストレスを加えることにより、股関節を介して、仙腸関節に機械的ストレス(仙腸関節前部へ離解ストレス、後部へ圧迫ストレス)を加えることが出来るので、間違いではない。

 

しかし、パトリックテストが仙腸関節機能障害のテストとなり得るには「股関節機能障害がないこと」が前提となる。

 

前述したようにパトリックテストは、骨盤を直接動かすのではなく、股関節運動を介してストレスを加えている。

 

なので股関節周辺に何らかの病変を持ったら評価が出来ない。

※股関節病変でも関連痛・筋スパズムなどにより仙腸関節周囲へ症状を訴える場合もある。

 

もちろん、以下の「イラスト右」ように股関節の変形により十分な股関節屈曲・外転・外旋位が保持できない場合も、適切な刺激が仙腸関節へ加わらないため、テストにならない。

 

仙腸関節の整形外科的テストは、パトリックテスト以外にも「股関節を介して仙腸関節へ刺激を加える方法」としてゲンスレンテストも存在する。

 

しかしゲンスレンテストもパトリックテスト同様に、仙腸関節評価となり得るのは「股関節病変が無い場合」と言えそうだ。

 

 

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