この記事では頸部疾患検査として有名な『ジャクソンテスト(Jackson compresson test)』と『スパーリングテスト(Spurling test)』について解説していく。

 

目次

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ジャクソンテスト

 

ジャクソンテストの方法・陽性所見・解釈は以下になる

 

方法

  1. 被験者を腰掛け坐位にし、 検者は後方に立つ。
  2. 被験者の頚部を非検査側へ側屈して、伸展させる(伸展のみとする文献もある)。
  3. その状態で、検者は被験者の頭部に両手を置き、その手で頚部軸圧方向へ垂直に圧迫する。

 

陽性所見

検査側の後頭部・頚部・上肢への放散痛。

痛み・異常感覚が誘発、増強すれば陽性。

 

解釈

検査側の神経根症状、 頚部に限局すれば頸椎障害、上肢に放散すれば神経根の圧迫障害。

 

通常は、スパーリングテストと一緒に実施される。

 

肩押し下げテスト(もう一つのジャクソンテスト)

 

先ほどジャクソンテストについて記載したが、じつはジャクソンテストには以下の2種類がある。

  • Head compression test
  • Shoulder depression test

 

前述したテストは上記の「Head compression test」に該当するため、も一つのShoulder depression test(肩押し下げテスト)について、ここで補足しておく。

 

一般的に「ジャクソンテスト」は「ヘッドコンプレッションテスト」を指すことが多い。また、「肩押し下げテスト」をジャクソンテストとは別なテストとして解説している教本も多い。

 

 

肩押し下げテスト( Shoulder depression test)

 

肩押し下げテストの方法・陽性所見・解釈は以下の通り。

 

方法

  1. 被験者を腰掛け坐位にし、 検者は後方に立つ。
  2. 検者は被験者の一側の肩(非検査側)を、尾側へ押し下げながら、他方の手を側頭部に当て頭部を反対側(検査側)に側屈させる。
  3. 検者は手を頭頂部に置き、頚部軸圧方向へ圧迫する。

 

陽性所見

検査側の上肢に放散痛。

痛み・異常感覚が誘発、増強すれば陽性。

 

解釈

神経血管束に(伸張されることで)圧迫な可能性。

また硬膜の癒着、筋の拘縮、癒着、筋の攣縮な可能性。

 

Jackson testとは:
頚部を過伸展させ、頭部を介し圧迫する頭部圧迫テストと、頚部を健側に側屈し、患側の肩を押し下げる肩引き下げテストの2種類がある。どちらも頚椎の神経根の病変を検索するのが目的である。
理学療法学事典より引用~

 

以下は、肩押し下げテストの動画になる。

 

 

 

スパーリングテスト

 

スパーリングテストの方法・陽性所見・解釈は以下になる。

 

方法

  1. 被験者を腰掛け坐位にし、検者は後方に立つ。
  2. 被験者の頚部を側屈させ、検者は両手を頭頂部に置き、頚部軸圧方向へ圧迫する。
  3. 左右とも実施する(左右差も比較)

側屈により、一側の椎間孔を狭めることで神経の絞扼を強調させ、症状を誘発しやすくする。

 

陽性所見

側屈した側の神経根の圧迫により、同神経に沿う疼痛・異常感覚が生じる。

疼痛・異常感覚が誘発、増強すれば陽性。

 

解釈

側屈した側の神経根症状や頚椎椎間関節の異常。

 

通常は、ジャクソンテストと一緒に実施される。

 

スパーリングテストの動画

 

以下はスパーリングテストの動画となる。

 

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リスク管理の観点からは、最初に注意深く側屈した後に、注意深く伸展していき、それでも症状が誘発されていないのを確かめつつ、注意深く圧迫を加えていくといった方法が望ましい。

 

脊髄神経の支配領域

 

「頸部の神経根症状」のヒントには、以下も参考にしてみてほしい。

 

神経障害高位に一致して、上肢の筋力低下や筋萎縮、感覚障害、腱反射の減弱などの神経症状が出現する場合がある。

 

ちなみにジャクソンテスト・スパーリングテストにおける疼痛誘発の解釈としては、上記以外も含めて以下のように解釈する方が臨床に合っているので、こちらも参考にしてみてほしい。

 

症状 示唆
デルマトームに沿った放散痛 神経根症状
デルマトームに沿っていない全体的な放散痛 鉤椎(ルシュカ)関節、関節包の痛み
局所的な痛み 椎間関節の機能障害

 

関連記事

 

「伸展・側屈を評価に取り入れ、側屈側の神経根障害を評価する」という意味では、ケンプテストと同じなので、合わせて覚えることをオススメする。

⇒『ケンプテストを解説(腰部疾患に対する評価)

 

 

以下にジャクソンテスト・スパーリングテストの対象となりやすい疾患を挙げてみたので、合わせて観覧してみてほしい。

 

⇒『変形性頸椎症(頸髄症・神経根症)の上肢痛に対するエビデンス

 

⇒『頸肩腕症候群って何だ?

 

⇒『頸椎椎間板ヘルニアの治療まとめ

 

⇒『頸椎椎間板ヘルニアの治療まとめ