この記事は、『汗疹(かんしん)』『ただれ』の2つの皮膚症状にフォーカスして解説していく。

 

汗疹(かんしん)とは

 

汗疹とは、いわゆる「あせも」の専門用語である。

 

汗疹は、汗をかきやすい夏に多い疾患である。

 

発症機序としては以下の取り。

 

汗の通り道である汗管がつまり、細かい水ぶくれやブツブツが現れる。

 

汗疹になりやすいのは衣類や肌同士で擦れたり蒸れたりする部位で、具体的には以下などが挙げられる。

  • 肘の内側
  • 膝窩(膝の裏)
  • 腋窩(脇の下)

・・・・など

 

汗疹(あせも)の種類

 

汗疹(あせも)は汗管の詰まっている部分の深さにより3種類に分類される。

・水晶様汗疹

・紅色汗疹

・深在性汗疹

 

水晶様汗疹:

透明な膜でおおわれた水疱。

かゆみや痛みはない。

 

紅色汗疹:

かゆみとを伴う赤いブツブツ。

あせものおおくはこれである。

 

深在性汗疹:

扁平に隆起したブツブツ。

日本ではあまり発症しない。

 

 

汗疹(あせも)に対するケアと予防のポイント

 

水晶様汗疹は特別な治療を行わなくても2~3日で改善する。

 

紅色汗疹にはステロイド外用剤を使用する。

※細菌感染が併発している場合は抗生剤を用いることもある。

 

また、以下も大切なケアであると同時に、予防としても大切となる。

 

①皮膚を清潔に保つ

汗をかいたらこまめにシャワーで流したり、濡れタオルで拭いたりする。

入浴後に汗をかき過ぎないように、浴槽の湯温にも気を配るのも大切

 

②温度や湿度の管理

 

③汗を吸い取る服装

綿100%など汗を吸いやすい素材で袖のある服の着用。

就寝時はより汗をかくので、眼覚めた時に汗を拭き、服を着替える。

 

 

ただれ とは

 

夏場に多い高齢者の皮膚疾患として「ただれ」が挙げられる。

ただし、「ただれ」は皮膚の軽い炎症や水ぶくれや壊れた後など広い範囲で使われる言葉である。

皮膚のバリア機能が低下すると、少しの刺激でもかゆみを起こすことがあり、かゆみを感じてかきむしると、皮膚に炎症を起こし、ただれを引き起こす。

 

 

「ただれ」に対するケアと予防のポイント

 

ただれに対するケア・予防のポイントとしては以下などが挙げられる。

 

①なるべく掻かない工夫

体が温まるとかゆみが強くなるため、皮膚を冷やす工夫をするのが効果的。

 

②皮膚に刺激を与えない

夏でも長袖や長ズボンの着用が有効。

介助の際には、皮膚への局所刺激を少なくする。

腕を強く引くだけでも裂創や皮膚剥離を起こしてしまうことがある。

 

 

また、その他の工夫としては以下などが挙げられる。

 

  • 高齢者がどうしても皮膚をかいてしまう場合には、手袋の着用を検討する。
  • 上着の袖をめくり中に手を入れて皮膚に傷をつけてしまう場合には袖の中に手を入れられないように袖口を工夫する。
  • 爪の長さに注意し、爪の角を残さないようにヤスリで丸く整えることも有効。