この記事では、リハビリ(理学療法・作業療法)で馴染み深い『テノデーシスアクション腱固定作用』について解説していく。

 

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テノデーシスアクションとは

 

テノデーシス(tenodesis)あるいはテノデーシスアクション(tenodesis action)とは以下を指す。

 

「手関節を背屈すると指が屈曲し、掌屈すると指が伸展する」といった腱固定作用または動作のこと。

 

例えば頚髄損傷で把持機能が失われている場合、長橈側手根伸筋が残存していればその機
能を用いて手関節を背屈すると、手指筋の緊張により母指と示指によりつまみ動作が可能となる。

 

従って、手関節の背屈機能が残存している場合は、手指屈曲の代償動作として活用出来たりする。

 

テノデーシスアクション

 
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余談

 

物を握る動作は手指屈筋群(深指屈筋、浅指屈筋など)が行っているが、その際に重要な役割を担うのが手根伸筋だ。

 

上記イラストのように、手根伸筋が手指屈筋と同時に働くことで「手関節を軽度背屈位に保ちつつ、手指屈筋群の張力効率を最適にしている」のだ。

 

※手関節掌屈位で強く握ろうとしても上手く力が働かないのはそのため。

 

 

テノデーシスアクションを動画で紹介

 

テノデーシスアクションを、ペットボトルを持ち上げたり、フォークを利用したりに活用している動画を添付しておく。

 

 

この動画を観覧するとテノデーシスアクションがどんなものか確実に理解できると思う。

 

※2分30秒からがテノデーシスアクションでペットボトルを持ち上げる場面

※3分40秒からがテノデーシスアクションでフォークを操作する場面

 

 

テノデーシスアクションは誰しも利用している

 

テノデーシスアクションに関して、脊髄損傷を例に解説してきたが、誰しもがテノデーシスアクション(固定筋腱作用)を利用している。

 

例えば、以下の2つでは、誰しも後者の方が手指を動かしやすいはずである。

 

  • ・手関節を掌屈した状態で手指を動かす。
  • ・手関節を背屈した状態で手指を動かす

 

でもって私たちは、タイピングや手先の動かす行為(裁縫や様々な家事活動)などにおいて私たちは機能的な「手関節背屈位での手指運動」を行っている。

 

つまり、橈側手根伸筋が深指屈筋よりも先に収縮し手関節背屈位で物を把持することが合理的な動作になる。

 

しかし、橈側手根伸筋の活動タイミングが遅れると物を把持して背屈するときに橈側手根伸筋には遠心性の収縮が生じることになり痛みなどの機能障害が起こる可能性がある。

 

この点に関しては以下の記事でも解説しているので興味がある方は観覧してみてほしい。

 

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