この記事では『反復性肩関節亜脱臼』について記載していく。

 

肩関節は亜脱臼しやすいよ

 

肩関節(肩甲上腕関節)は亜脱臼を容易に起こしやすい関節の一つである。

 

※これは、他の関節に比べ自由度が高く、関節を構成する肩甲骨関節窩と上腕骨頭の接触面積が少ないためと考えられている。

 

肩関節亜脱臼は若年者ではスポーツ活動中に、高齢者では店頭によって、また、片麻痺の患者さんにおいては軽微な外力によって発生する。

 

また、肩関節は一度脱臼をすると、反復性に脱臼を繰り返す例が少なくない。

でもって、頻回の脱臼は関節の不安定性を更に高める。

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反復性肩関節脱臼のタイプ

 

脱臼のタイプとしては以下の2つがある。

・前方脱臼

・後方脱臼

 

でもって大半(95%)が前方脱臼である。

 

でもて、一度脱臼した人に関する「反復性脱臼へ移行率」は以下の通り。

10歳代…90%

20歳代…80%

30歳代…50%

 

でもって、初回脱臼後2年以内に脱日の再発を起こす人が、70%以上を占めると言われている。

 

男女比は4:1である。

 

※ただし、これらの%・比率は文献によって異なる。

 

 

亜脱臼の『病態』と『症状・所見』

 

(反復性亜脱臼ではなく)亜脱臼の「病態」と「症状・所見」について記載してく。

 

 

亜脱臼の病態

 

脱臼の病態としては以下などが挙げられる。

 

Bankart(バンカート)病変:

「関節唇の剥離」・「前下関節上腕靭帯の断裂」・「関節縁の骨折」を伴う亜脱臼

 

Hill-Sachs(ヒールサックス)病変:

「骨頭後外側の陥没骨折」を伴う亜脱臼

 

 

亜脱臼の症状・所見・

 

亜脱臼しやすい肢位は『肩関節の外転・外旋位』である。

 

症状・所見は以下の通り。

・肩の痛みと腫脹

・運動障害(健側の手で脱臼した腕を支え、肩をまったく動かそうとしない)

 

脱臼と診断するにはレントゲン検査が不可欠である。

その際は、骨とう骨折・腋窩神経麻痺・腱板損傷の有無に注意を払うことが肝心となる。

 

 

肩関節脱臼に関する理学検査

 

亜脱臼の理学検査としては以下の2つがある。

 

・前方不安定テスト

・後方不安定テスト

 

 

前方不安定性テスト(anterior apprehension test)

 

前方不安定性を評価するテストである。

座位・肩関節90°外転・肘関節90°屈曲位・前腕回内外中間位で外転位を保ったまま、上腕骨頭を前方に押しながら肩を外旋させる。

・外旋時不安感や痛みを訴えれば陽性と判断

・肢位をとらせるだけで不安感を訴えることが多い注意しながら評価する

 

以下は、前方不安定テストの動画である。

 

 

 

後方不安定性テスト(posterior apprehension test)

 

後方不安定性を評価するテストである。

肩甲骨面で90°挙上・肘関節90~120°屈曲位で、前腕を把持し、肩関節を内旋させる。

内旋時、後方へ脱臼不安感を訴えるか本手技で後方脱臼亜脱臼が再現できれば陽性と判断。

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肩関節脱臼の治療

 

治療は出来るだけ早期に徒手整復術を行い、3~6週間、肩関節を内転・内旋位に外固定する(三角巾で吊るなど)。

 

※3~6週は脱臼に伴って損傷した軟部組織の修復に要する期間の目安

 

 

色々な整復方法

 

肩関節亜脱臼には様々な整復方法があるが、一番利用されているのが挙上整復法である。

 

 

挙上整復法(Milch’s technique)

 

 

上記は、挙上整復法(Milch’s technique)を座位にて実施しているが、その他の挙上整復法は以下の文献でも紹介されているので興味があるどうぞ。

⇒『(外部リンク)外傷性肩関節脱臼に対する挙上整復法の試み

 

 

スティムソン法(Stimson technique)

関節内に局所麻酔剤を投与しスティムソン法(Stimson technique)を試みる。

腹臥位になり患側上肢を下垂させ3kg程度の重しを持たせ、重しによる牽引力で整復させる方法で自然整復を試みる。

数十分、肩を脱力させたまま、この肢位を保持する。

 

 

もし、上肢の筋緊張が強く整復に困難を感じる様であれば、腕神経叢ブロックや静脈麻酔、全身麻酔にて緊張を取り除き、Kochr法やHippocrates法にて整復操作を行うこともある。

 

これらの保存的治療(手術しない方法)にて整復が出来ない症例や骨頭骨折を合併した症例では手術的に整復し、骨接合術などを行う。

 

ちなみに、脱臼整復後に数か月に及んで肩の挙上困難を認める省令では『腱板損傷』が疑われるため注意が必要となる。

 

肩関節の腱板損傷(+腱板断裂)の原因・症状・治療を解説!

 

 

肩関節亜脱臼の整復後のリハビリ(理学療法・作業療法) 

 

前述したように、肩関節亜脱臼は反復性亜脱臼へ移行する可能性があり、その移行率を下げるために、肩関節周囲筋の筋力強化訓練を行うことも大切となる。

 

でもって肩関節周囲筋の中でもインナーマッスル(ローテーターカフ)は重要で、例えば以下などの腱板トレーニングの方法がある。

 

Cuff Y exerciseとして『腱板トレーニングの基礎』を紹介

 

 

関連記事

 

脱臼については以下の記事も書いてある。

浅い内容ではあるが、合わせて観覧すると脱臼への理解が深まるかもしれない。

 

脱臼とは?反復性亜脱臼・先天性股関節脱臼を含めて解説