変形性膝関節症の治療の基本は、保存療法になる。
ある程度の期間は保存療法を行い、関節の状態が安定するかどうか様子を見る。
しかし、保存療法を行っても痛みが強く、日常生活を送るのも困難な場合には、手術を検討することになる。
変形性膝関節症の手術内容は色々あるよ
手術をする第一の目的は、痛みなどの不快な症状をとり、関節の機能を改善することだ。
でもって、手術を行う部位や関節の状態に応じて、以下の様にさまざまな方法がある。
特徴(どんな手術か) | どんな状態の時に行う? | |
---|---|---|
半月板切除術 | 半月板が損傷している場合に、その部分を切除する。 | 半月板由来の引っかかりやずれる感じ、それに伴う痛みが主体。適応は限られる。 |
半月板縫合術 | 半月板損傷のみ、あるいは膝の靭帯損傷と合併しているときに、その部分を縫合する。 | 半月板損傷の縫合が可能な損傷形態。 |
OCDに対する手術 | 軟骨面が剥離している。これを離断部に戻して固定する。 | ひざ痛があり、エックス線でOCDと判断。 |
関節症に対する関節鏡視下手術 | 痛みのある関節表面を関節鏡によって滑らかにする。断裂した半月板や、けばだった関節軟骨などを取り除く。 | 変形が比較的軽度で引っかかりなどがあり、関節痛が続くとき。ただし、効果は懐疑的。 |
高位脛骨骨切術 |
関節の内側に変性がある。半月板の変性や断裂、関節軟骨の変形、関節包にも問題あり。 |
比較的変形が軽度で、65歳以下の人が望ましい。 |
人工膝関節全置換術 | 関節の内側か外側、もしくは両側に問題がある。軟骨下骨にも変化が見られる。 | 膝が痛くて歩けない65歳以上の人。関節の変形が高度な人。 |
自分の病状ではどの手術がベストなのか、医師と相談して決めることが大切だ。
ここでは、関節鏡下手術について記載するが、『高位脛骨骨切術』や『人工膝関節置換術』に関しては後述するリンク先を参照してみてほしい。
変形性膝関節症に対する関節鏡下手術とは
様々に存在する変形性膝関節症の手術の中で、この記事では「関節鏡下手術」について記載してく。
体への負担が少ない関節鏡を用いた手術
内視鏡による手術は、変形性膝関節症の手術のなかで最も患者への負担が軽い手術である。
※ここで言う「関節鏡」とは、「膝関節専用の内視鏡」のこと。
この手術の最大のメリットは以下の通り。
で、この手術の対象となるのは、軽度〜中等度の変形性膝関節症となる。
※つまり重度は非適応(後述する人工膝関節全置換術が適応)
具体的には以下のようなケースで適応となる。
- 膝を可動域制限がほとんどなく、膝の痛みも(内側・外側のみなどと)限局している
- 痛みの原因が、半月板や関節軟骨のあきらかな引っかかりやはさみこみにある
・・・・など。
膝に孔を数カ所あけ、手術器具を入れる
変形性膝関節症に対する関節鏡の概要は以下の通り。
麻酔をしたあと、膝のお皿の周囲に1センチほどの小さな孔を2〜4か所あける。
で、孔の1つに内視鏡を挿入し、関節内をモニターで観察しながら、別の孔から器
具を入れて手術をする。
すり減ったり、けばだったりして変化を起こした半月板を切除、あるいは削り取って、関節内部をクリーニングする。
手術時間は1時間ほど。
術後は、翌朝までは安静にするが、その後は積極的に歩いたり、ひざの曲げ伸ばしを行っても良い(ただしケースバイケースなので、必ず医師の指示に従うこと)。
合併症がなければ、翌日には退院でき、長くても入院は1週間程度と言われている。
手術後は比較的早く日常の生活に戻れるが、ひざの違和感がなくなり、安定するまでには3〜6か月ほどは目安として考えておいた方が良い。
もちろん、歩き方・姿勢・体重など、変形性膝関節症を誘発させる素因を有したままであれば、痛みがぶり返すこともある。
例えとして安静にしすぎるのは良くない。
なので「安静にしすぎず、無理をしすぎず」といった点を目安に、活動を行うことは大切となる。
その他の手術療法
以下は、変形膝関節症の手術法である「人工膝関節全置換術」「高位脛骨骨切り術」について解説しているので興味があれば観覧してみてほしい。
⇒『人工膝関節全置換術(変形性膝関節症に対する手術療法)を紹介するよ』
⇒『高位脛骨骨切り術(変性系膝関節症に対する手術療法)を紹介するよ』
関連記事
⇒『「外反膝・内反膝(X脚とO脚)」・「スラスト現象」を解説!-変形性膝関節症の治療法』