この記事は、『足関節骨折』について記載している。

 

骨折後のリハビリ(理学療法)に関するクリニカルパスも掲載しているので、リハビリの参考にしてみてほしい。

※ただし、あくまで参考・目安であり、必ず医師の指示に従うこと。

 

目次

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足関節骨折って何だ?

 

足関節というのは一般的に以下で構成された関節を指す。

・遠位脛腓関節(⇒脛骨と腓骨を合わせると下腿と表現される)

・距腿関節(上記の下腿と距骨で構成された関節)

 

でもって足関節骨折とは、内果(脛骨)外果(腓骨)の骨折を指す。

※一方だけが骨折しているケース、両方が骨折しているケースなど、以下の様に複数のケースが存在する。

・外果骨折(腓骨果部骨折)

・内果骨折(脛骨果部骨折)

・両果骨折(内外果骨折)

・三果骨折(内外果骨折に後果骨折も伴うもの)

 

また、足関節の骨折には、足関節を構成する靭帯(内外側の靭帯、遠位脛腓靭帯)の損傷を伴うことが多い。

 

 

標準的な骨癒合期間とリハビリ期間の目安

 

標準的な骨癒合期間とリハビリ期間の目安は以下の通り。

 

標準的な骨癒合期間の目安:

・関節外果部骨折⇒6~10週

・関節内果部骨折⇒8~12週

 

 

標準的なリハビリ期間の目安:

・関節外果部骨折⇒12~16週

・関節内果部骨折⇒16~24週

 

 

合併症

 

矯正損失:

骨折部整復後の矯正損失は、不安定骨折に対して保存療法を行った場合に多いと言われている。

変形治癒を起こさないように大気的なX線撮影を行い、骨折部の確認を行うことが重要である。

転位が進行する場合は、手術療法への変更も考慮する。

 

コンパ―トメント症候群:

外傷後には筋区画内圧が上昇する可能性を念頭に置いて観察することが重要。

足趾の他動運動による疼痛増悪や感覚鈍麻はコンパ―トメント症候群を疑う所見であり、筋区画内圧の測定を行うべきである。筋膜切開の処置が必要になる場合もある。

コンパ―トメント症候群に関しては以下の記事でも解説しているので興味がある方は参考にしてみてほしい。

⇒『コンパ―トメント症候群って何だ?

 

 

受傷機転

 

足関節は空間的に余裕のない構造であり、強制外力により容易に構成体に破綻をきたす可能性が高い。

 

足関節の骨折をきたす基本的外力としては距骨の内転、外転、内旋、軸圧が挙げられる。

 

 

足関節骨折の治療方法と、治療ゴール

 

転位のない骨折の場合は、保存療法を主に治療方針を立てる。

転位のある骨折に対しては、ま徒手整復を試み、その上で保存療法か手術療法かの方針を決定する。

 

 

整形外科的治療ゴール

 

足関節骨折における整形外科的治療ゴールは以下の通り。

 

アライメント:

足関節を構成する脛骨天蓋および内果、腓骨遠位の外果を正しい位置に修復出来る。

荷重時の足関節の荷重軸が下肢長軸に対して健側同様の適切な角度になるよう徒手整復、あるいは観血的整復操作を行う。

特に関節面の整復不良は関節症性変化を促進し、疼痛を惹起する要因となるため、注意を要する。

 

安定性:

足関節の静的、動的安定性は日常の歩行生活を送るうえで不可欠である。

骨折のみならず、不安定性の要因となる靱帯損傷についてお注意を払い、必要があれば観血的修復を行う。

 

 

リハビリ(理学療法)の治療ゴール

 

足関節骨折におけるリハビリ(理学療法)治療ゴールは以下の通り。

 

関節可動域:

健側と同レベルの可動域を再獲得することを目標とする。

距腿関節の可動域制限は、その代償作用により距骨下関節や横足根関節への負担を増大させる。

 

筋力:

足関節機能に関わる筋の筋力訓練を行い、日常生活動作能を再獲得する。

①底屈運動:下腿三頭筋・後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋

②背屈運動:前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋

③外がえし:短腓骨筋・長腓骨筋

④内がえし :後脛骨筋・前脛骨筋

 

機能的ゴール:

受傷前の日常生活動作能力を取り戻す。

 

 

足関節骨折のクリニカルパス

 

足関節骨折のリハビリ(理学療法)を実施するにあたって、以下のクリニカルパスは一つの目安になる。

あくまでも一例であり、主治医の指示に従うこと。

~『理学療法ハンドブック改訂第4版 4巻セット』より引用~

 

  ~1W 2~4W 4~8W 8~12W 12W~
ROM運動 足趾自動運動 膝関節自動運動 安定性に応じて自動運動を開始 足関節複合運動 ----------
筋力トレーニング 足趾自動運動 大腿四頭筋トレーニング 底背屈、内外がえし等尺性運動開始→自動運動。 足関節抵抗運動開始 ----------
荷重 ---------- ---------- 骨癒合所見によって部分荷重開始。 部分荷重→荷重。 ----------
その他 浮腫・疼痛への対応。

免荷装具。

腓骨神経麻痺の予防。

CRPSの徴候に注意。 ---------- 応用動作練習

 

 

オススメ書籍

 

骨折のリハビリ(理学療法)をするにあたって、以下の書籍を一通りそろえておくと、非常に心強いと思う。

 

是非参考にしてみてほしい。

 

 

 

 

 

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以下の記事では、様々な部位の骨折をまとめているので、興味がある方は合わせて観覧してみてほしい。

 

⇒『【まとめ】色んな骨折を網羅したよ(骨折の分類 | 病的骨折も詳細に解説)