膝蓋骨骨折をクリニカルパスも含めて紹介

この記事では『膝蓋骨骨折』について解説している。

 

骨折後のリハビリ(理学療法)に関するクリニカルパスも掲載しているので、リハビリの参考にしてみてほしい。

※ただし、あくまで参考・目安であり、必ず医師の指示に従うこと。

 

膝蓋骨骨折とは?

 

膝蓋骨は大腿骨との間に大腿膝蓋関節を形成し、大腿四頭筋の効率を高めることにより膝の安定性に寄与し、立位姿勢の保持や各種動作遂行に重要な役割を担っている。

 

膝蓋骨の骨折は発生頻度からするとそう多くない骨折の一つであるが、荷重関節の構成体なので、骨折により発生する二次的なimpairment、disabilityは大きくなる可能性があるため無視できない。

 

膝蓋骨骨折は一般に骨折の形と転位の程度によって分類されている。

 

転位の無い骨折:

・横骨折

・星状骨折

・垂直骨折

 

転位のある骨折:

・横骨折

・星状骨折

・多骨片骨折

・上極骨折

・下極骨折

・骨軟骨骨折

 

横骨折が最も多く(50~80%)、通常中間と下1/3に発生する。

多骨片骨折・星状骨折が次に続き(30~35%)、縦骨折、辺縁骨折、軟骨骨折は一般に少ない。

 

 

標準的な骨癒合期間とリハビリ期間の目安

 

膝蓋骨骨折の標準的な骨癒合期間とリハビリ期間の目安は以下の通り。

 

標準的な骨癒合期間の目安:

・関節外果部骨折⇒8~12週

 

標準的なリハビリ期間の目安:

・関節外果部骨折⇒12~15週

 

 

受傷機転

 

膝蓋骨骨折は直達外力あるいは介達外力により起こる。

 

直達外力は通常、膝関節屈曲位で接地することにより粉砕化を伴うことがある。

 

介達外力は急激な膝関節の屈曲による大腿四頭筋の強力な収縮によって発生し、通常横骨折として認められる。

 

 

膝蓋骨骨折の治療方法と、治療ゴール

 

膝の完全な自動運動が可能で十分に膝伸展機術が保存され、骨折片の転位がない場合には保存療法がおこなわれるが、多くの膝蓋骨骨折では観血的固定法が選択される。

 

観血的固定法について:

関節滑動面を解剖学的に整復し、早期運動に耐えられるような強固な固定法として、多くの手術法が考案されている。

例えば、鋼線で膝蓋骨周囲から縛るように固定する、あるいは鋼線を膝蓋骨内に通しさらに鋼線で周囲から固定する方法などがある。

 

 

リハビリ(理学療法)の治療ゴール

 

膝蓋骨骨折におけるリハビリ(理学療法)の治療ゴールは以下の通り。

 

関節可動域:

膝関節の正常な関節可動域を獲得することを目指す(参考可動域:伸展0°・屈曲130°)。

※膝関節伸展支持機構の障害が残存する可能性があるので、伸展不全とならないよう全可動域の獲得を目指す。

 

筋力:

膝伸展である大腿四頭筋の筋力回復を図る。

大腿四頭筋は外傷による直達外力を受けることもあり、特に内側広筋は膝蓋骨支持機構の機能があり脱臼を防ぐので、その機能回復は重要となる。

膝屈筋であるハムストリングスの筋力も膝関節屈曲および股関節伸展補助に重要。

したがって、大腿四頭筋およびハムストリングスのバランスを向上させることを目指す。

 

機能的ゴール:

膝関節の十分な可動域を獲得し、特に立脚期での膝関節安定性の回復と歩行パターンの正常化を目指す。

 

 

膝蓋骨骨折のクリニカルパス

 

膝蓋骨骨折のリハビリ(理学療法)を実施するにあたって、以下のクリニカルパスは一つの目安になる。

あくまでも一例であり、主治医の指示に従うこと

~『理学療法ハンドブック改訂第4版 4巻セット』より引用~

 

  ~1W 1~2W 4~6W 8~12W
ROM運動 ———- (免荷でのactive ROM) 膝屈伸ともにactive ROM Active/passive ROM
筋力トレーニング 膝周囲筋以外の筋力強化。

膝周囲筋以外の筋力強化。

SLR。

大腿四頭筋・ハムストリングスの等尺性収縮。

6Wより自動伸展運動。

大腿四頭筋・ハムストリングスの抵抗運動。
荷重(保存療法) 膝伸展位での荷重許可。 ———- ギプスを除去後に全荷重 装具なしで歩行。
荷重(内固定療法) 装具装着下での荷重 ———- 装具除去後に全荷重 全荷重
注意点

他動運動を避ける。

ギプスまたは膝装具で固定。

ギプスまたは膝装具で固定。

圧痛がれば膝固定装具を継続する。

ギプスまたは装具抜去。

———-

 

 

膝蓋骨骨折に対するリハビリ(理学療法)の補足

 

膝蓋骨前面を強固に固定し大腿骨関節面は膝関節運動時に加わる圧迫力が整復方向に作用させることが治療原理である。なので、早期からROM訓練と筋力増強訓練を積極的に行う。

 

周囲への浮腫に伴い関節包や滑液嚢の癒着が発生するため、その剥離と膝蓋骨のモビライゼーションを行う。

※膝蓋骨の可動性が不足すると伸展不全となりやすい。

関連記事⇒『膝蓋骨(パテラ)の関節モビライゼーションを動画で理解

 

可動域獲得のために2関節筋である大腿直筋の短縮が起きないようにする(股関節伸展位での膝関節屈曲)。

関連記事⇒『大腿直筋は何で縮んでしまうんだ?(+ストレッチング)

 

 

(装具着用下での)全荷重が許可されたら、患側下肢荷重にて移動を行う。

※術直後は痛みのため、両松葉杖や歩行器などの歩行補助具を使用する。

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膝関節を屈曲できないのでトイレの便座を高くするなどの工夫をする(手すりも、トイレで坐位から立ち上がろうとする際に、バランスや安全性を高めるのに有用)。

 

 

神経-運動器協調運動としてDYJOCを実施する。

目的は、地面からの情報入力機能の改善、足指・足底の把持機能向上による身体制動能の改善、荷重下での下肢および上肢の多関節運動連鎖の促進、全身的な神経一巡動器協調性の改善、不意な外力への反応改善による予測制御の確立などがあげられる。

病期に合わせた難易度で、適切な内容を選択することが重要となる。

関連記事⇒『DYJOC(動的関節制動訓練)は高齢者のバランストレーニングとしても効果あり?

 

 

オススメ書籍

 

骨折のリハビリ(理学療法)をするにあたって、以下の書籍を一通りそろえておくと、非常に心強いと思う。

 

是非参考にしてみてほしい。

 

 

 

 

 

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