この記事では『病的骨折』について解説した記事になる。
また、記事の最後には様々な部位の骨折についてまとめてある。
気になる部位の骨折があれば、リンク先の記事を参照してみてほしい。
骨折には、どんな種類があるの
骨折には、原因別に(病的骨折も含めて)いくつかに分類され、具体的には以下になる。
外傷性骨折(traumatic fracture):
骨のもつ抵抗力以上の外力が加わったために折れる骨折を指す。
「骨折」と呼ばれるものは、圧倒的に外傷骨折を指している場合が多い。
直達骨折(外力が作用した部位に生じる骨折)と介達骨折(外力が作用した部位から離れた部位に起こる骨折)に分けられる。
病的骨折(pathological fracture):
骨に何らかの病的状態があって骨の抵抗力が減弱しているため、軽微な外力、あるいはほとんど外力無しでも生じる骨折を指す。
疲労骨折(fatigue fracture, stess fracture):
正常骨の同一部位に繰り返し小さな外力が加わり、その集積として骨折に至ったものを指す。
上記は「原因別の分類」だが、その他に「損傷の程度の分類」や「発生機序による分類」などがある。
損傷の程度の分類
完全骨折:
骨の全周の骨皮質および海綿質の連続性が完全に断たれたもの。
不完全骨折:
骨の連続性が部分的に保たれたもの。
発生機転による分類
裂離骨折:
筋・腱・靭帯などの牽引によって骨折するもの。
屈曲骨折:
骨の屈曲により骨折するもの。
長管骨骨幹部骨折(大腿骨骨幹部・上腕骨骨幹部骨折・脛骨骨幹部骨折)に多い。
軸圧骨折:
骨の長軸方向に両側から圧迫が加わった時に発生する。
圧迫骨折:
脊椎・踵骨などの短骨に軸圧が加わり、圧潰されるもの。
剪断骨折(せんだんこっせつ):
2つの力が平行に、互いに反対の方向に作用するときに起こる骨折。
大腿骨頸部内側骨折などにみられる。
捻転骨折:
長管骨の両端に骨を捻転するような相反する力が作用するときに起こる。
粉砕骨折:
大きな外力で骨が多数の小片に粉砕されるもの。
病的骨折の種類
ここから先は「原因別の骨折の種類」で紹介した『病的骨折(骨に何らかの病的状態があって骨の抵抗力が減弱しているため、軽微な外力、あるいはほとんど外力無しでも生じる骨折)』の原因となり易い疾患を、「全身疾患」と「局所疾患」に分けて列挙しておく。
全身疾患
・発育異常⇒骨形成不全症・軟骨発育不全症など
・ビタミンおよび栄養欠乏⇒くる病など
・骨粗鬆症
・ホルモン異常⇒クッシング症候群・副甲状腺機能亢進症など
・骨髄性疾患⇒多発性骨髄腫・骨髄性白血病など
・原発性または転移性骨腫瘍
・多発性線維性骨形成症
局所的疾患
・骨嚢腫
・原発性良性腫瘍⇒巨細胞腫・軟骨腫・血管腫など
・原発性悪性腫瘍⇒軟骨肉腫・骨肉腫・線維肉腫など
・転位性がん腫および転移性肉腫
・神経性異栄養症⇒脊髄癆・糖尿病など
・感染⇒可能性骨髄炎・結核性骨髄炎など
・放射線照射
各部位の骨折を紹介
以下から、興味のある部位の骨折があれば参考にしてみてほしい。
上肢の骨折
⇒『上腕骨近位端骨折を解説!』
⇒『上腕骨顆上骨折は、後遺症でヤバいことが起こるかも? 解説するよ!』
⇒『橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など)を解説!クリニカルパスや合併症も。。』
下肢の骨折
⇒『大腿骨近位部の骨折って何だ?原因・予防法・各手術方法も解説』
⇒『大腿骨骨幹部骨折 | クリニカルパスを含めて解説するよ』
⇒『大腿骨顆上骨折・大腿骨顆部骨折をクリニカルパスも含めて解説』
⇒『脛骨高原骨折(プラトー骨折・脛骨顆部骨折)をクリニカルパスも含めて紹介』
⇒『足関節骨折(腓骨外果骨折含む)を解説!クリニカルパスも紹介』
体幹の骨折
⇒『肋骨骨折を解説』
⇒『骨盤骨折を解説』