この記事では、スロートレーニングとクイックトレーニングについて、各々の違いを含めて記載していく。
スロートレーニングとは
スロートレーニングとは、文字通り「ゆっくりとした動作」で運動することを指す。
スロートレーニングをすると、筋肉を緊張させ続けることになる。
そして持続していくと、全身に酸素を運ぶ血流が自然と制限されていく。
例えば、ゆっくりとスクワットを行うと、「ジワジワ」と筋肉に痛みが響く感じを受けたことが無いだろうか?
これは筋肉への酸素供給が不足し、酸素が少ない状況で動く「速筋」が運動に使用されているからである。
速筋とは?
速筋とは、「白筋線維」、「typeⅠ線維」などとも呼ばれる。
直径が大きく、高密度の筋細線維や大量の貯蔵グリコーゲンを有し、ミトコンドリアは少ない。
この筋線維は刺激を受けると0.01秒以内に収縮することができるため、速筋線維と呼ばれる。
この筋線維には多くの筋節があるので強く収縮できるが、収縮時に大量のATPを消費するので、ミトコンドリアはATPの需要に応じきれない。
そのため、速筋線維の収縮は主に嫌気性解糖により維持されている。
この解糖経路では酸素が不要で、貯蔵グリコーゲンが乳酸に変わる。
貯蔵グリコーゲンが限られているので、乳酸が貯まって酸性になると収縮が妨げられるため、速筋線維は急速に疲労する。
スロートレーニングは、激しい運動をした時と同じくらいに乳酸を貯めることができる。
そして、乳酸は成長ホルモンの分泌を促すとされ、さらにホルモンは体脂肪を分解し、脂肪減少を促進しながら代謝を活発にする働きを持つ。
筋肉にたまった乳酸濃度を下げるため、周囲の水分を吸収し、「パンプアップした状態(張りのある状態)」に変化する。
これは筋肉を大きくさせるのに有効な化学的ストレスと言われている。
これが、スロートレーニングによる筋肥大のメカニズムである。
スロートレーニングの魅力は、こうしたトレーニングを「実践者自身の体重のみ」で達成できることと言える。
普段、身体を動かしていない状態から運動をスタートする人には適した運動となる。
クイックトレーニングとは?
クイックトレーニングとは、文字通り「速い」動作での運動を指す。
前述したスロートレーニングとは反対に、いかに素早く切り返し動作を瞬間的に行えるか、が重要なポイントとなる。
つまりは、瞬発性を有する「全力トレーニング」と表現できるかもしれない。
スロートレーニングの筋肥大へ貢献する要素が「化学的ストレス」であったのに対して、クイックトレーニングでは物理的ストレス、つまりは筋肉への微細な損傷をあえて起こさせるメカニズムが筋肥大へ貢献することとなる。
スロートレーニングとクイックトレーニングの併用
スロートレーニングとクイックトレーニングを併用すると、両方の恩恵を受けることができる。
ただし、実施する順番は重要だ。
結論から先に言うと、順番は「クイック→スロー」の順が良い。
筋肉が疲労していないときに、強い力の発揮で筋へダメージを与えて、次にスローで血流制限を起こし、速筋を刺激し、パンプアップさせるという考え方である。
スローを最後に行うことで、化学的ストレスを与え続けて乳酸を産出→成長ホルモン分泌を促しながら筋肉を追い込み、より大きく強い筋肉へとしあげるという方法論となる。
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