この記事では、『膝関節のMMT(ハムストリングス・大腿四頭筋のMMT)』を記載している。
簡潔に記載しているので、MMT(徒手筋力テスト)を忘れてしまったリハビリ職種(理学療法士・作業療法士)、看護師、学生さんなどは、是非活用してみてほしい。
また、「MMTの基礎」や「膝関節以外のMMT」に関しては記事最後のリンク先『MMT(徒手筋力検査)のやり方』でまとめているので、こちらも併せて観覧してもらうと知識が整理できると思う。
膝関節屈曲(ハムストリングス)のMMT
膝関節屈曲の主動筋(ハムストリングス)
膝関節屈曲の主動筋はハムストリングスであり、ハムストリングスの詳細は以下となる。
・大腿二頭筋長頭⇒脛骨神経
・大腿二頭筋短頭⇒総腓骨神経
・半腱様筋 ⇒脛骨神経
・半膜様筋 ⇒脛骨神経
膝関節屈曲MMTの方法
段階5,4,3の膝関節屈曲MMT:
患者体位:
・腹臥位
・下肢は伸展位とし、足部は台の端からはみ出させる
MMTの方法:
・検者は、テストする下肢の側に立ち一方の手を大腿後面にあてがう
・テストは膝屈曲45°から開始し、他方の手で抵抗を下腿遠位に加える
MMTの判定基準:
段階5:
最大の抵抗に抗して膝最終到達位(90°)を保持できる(抑止テスト)
段階4:
強力~中等度の抵抗に抗して膝最終到達位(90°)を保持できる
段階3:
抵抗がなければ膝最終到達位(90°)を保持できる
代償運動:
・殿部が持ち上がり体位がねじれてくる→股関節屈筋
・股関節屈曲・外転・外旋を伴う→縫工筋
・股関節内転を伴う→薄筋
・足関節の強い底屈を伴う→腓腹筋
段階2の膝関節屈曲MMT:
患者体位:
・テストする側の下肢を上に側臥位
・下側の下肢は屈曲位をとり体幹を安定させる
MMTの方法:
・検者は、患者の後方に立ち、テストする下肢を膝・足首の下からささえる
MMTの判定基準:
段階2:
運動範囲を完全に運動できる
段階1,0の膝関節屈曲MMT:
患者体位:
・腹臥位
・下肢は伸展位とし、足部は台の端からはみ出させる
MMTの方法:
・検者は、テストする下肢の側に立つ
・一方の手で膝を屈曲位にささえ、他方で内外膝屈筋腱を触診しする
MMTの判定基準:
段階1:
腱が浮き上がってくるが、目に見えた運動は起こらない
段階0:
全く収縮が認められない
※下腿内外旋中間位でテスト →全ハムストリングスに対するテスト
※内旋位・膝屈曲90°弱でテスト→内側ハムストリング(半腱様筋・半膜様筋)
※外旋位・膝屈曲90°弱でテスト→外側ハムストリング(大腿二頭筋)
膝関節伸展(大腿四頭筋)のMMT
股関節屈曲の主動筋(大腿四頭筋)
膝関節伸展の主動筋は『大腿四頭筋』であり、大腿四頭筋の詳細は以下となる。
・大腿直筋
・中間広筋
・外側広筋
・内側広筋
※全て大腿神経支配
膝関節伸展MMTの方法
段階5,4,3膝関節伸展MMT
患者体位:
・端坐位
・両手で台の縁をつかみ上体を安定させる
MMTの方法:
・検者は、テストする下肢の側に立つ
・一方の手を大腿下端と台の間に置き、他方で下腿部遠位の前面から抵抗を加える
MMTの判定基準:
段階5:
最大の抵抗に抗して膝最終到達位を保持できる(抑止テスト)
段階4:
強力~中等度の抵抗に抗して膝最終到達位を保持できる
段階3:
抵抗がなければ膝最終到達位を保持できる
段階2の膝関節伸展MMT:
患者体位:
・テストする側の下肢を上に側臥位
・下側の下肢は屈曲位をとり体幹を安定させる
MMTの方法:
・検者は、患者の後方に立ち、テストする下肢を膝・足首の下からささえる
・膝関節は90°屈曲位、股関節は伸展位におく
MMTの判定基準:
段階2:
運動範囲を完全に運動できる
代償運動:
股関節内旋・内転による代償
股関節伸展による代償
段階1,0膝関節伸展MMT:
患者体位:
・仰臥位
・下肢は伸展位(あるいは膝軽度屈曲位)からマッスルセッティングを行う
マッスルセッティングに関しては以下も参照
⇒『マッスルセッティング(クアドセッティング)は効果あるの?』
MMTの判定基準:
段階1:
大腿四頭筋腱あるいは膝蓋腱の動きを触れるが、関節運動はこらない
段階0:
全く収縮が認められない
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