この記事では、足関節捻挫について解説している。
足関節捻挫とは
足関節捻挫とは『足首に内反力や外反力が強制されて軟部組織や靭帯、骨が損傷される疾患』である。
※『足関節捻挫』と一言で表現されるものには、軽微な靭帯損傷から、剥離骨折を含むものまで含まれる。
足関節捻挫の分類
足関節捻挫は以下に分類される。
- 靭帯損傷のない症例(単なる捻挫)
- 靭帯損傷を認める症例(靭帯が伸びたり断裂した症例)
- 小さな骨片を認める症例(剥離骨折)
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足関節捻挫における損傷の部位
足関節捻挫で生じる『靭帯損傷』は、大きく分けて以下に部類される。
- 脛腓靭帯損傷
- 外側側副靭帯損傷
- 内側側副靭帯損傷
そんな靭帯損傷のなかでも多くは「内反が矯正されて起こる外側側副靭帯損傷(特に前距腓靭帯・踵腓靭帯)」の症例である。
また、剥離骨折を認める症例の大半は『足関節外果剥離骨折』である。
外反捻挫より内反捻挫が生じやすい理由
内反捻挫より外反捻挫が生じやすい理由は、以下の点にある。
- 外果と比べ内果が短い
- 付着している靭帯の強度が違う
上記により、内反性の安定性が弱いため、外反捻挫よりない反捻挫の方がどうしても生じやすくなる。
あなたも一度くらいは「足をくじいた経験」はあると思うが、外果と比べて内果が短いため、どうしても以下の様に内反しながら足をくじくことが多くなる。
でもって、外側を補強する靭帯の方が強度が弱いため、足をくじいた際に靭帯損傷も生じやすくなるというわけっだ。
足関節の底屈・内反が行われると、足関節の安定を保つ前距腓靭帯が損傷し、続いて踵腓靭帯が損傷するのが内反捻挫である。
一方、外反捻挫は足関節内側に強力な三角靭帯が存在し、外反制動が腓骨外果で損傷されるケースは稀である(ただし、大きな力が加われば当然外反捻挫も起こりえるし、その場合は靭帯断裂や骨折を伴うことも多い)。
足関節捻挫の症状・診断
足関節捻挫の症状は以下の通り。
- 足首の痛み
- 足首の腫れ
- 皮下出血
- 足部の不安定性
- 歩行障害
レントゲン検査
診断は間診や診察所見にて容易だが、確定診断にはレントゲン検査が不可欠。
受傷機転(ケガをした時の足首の状態)を再現するストレスレントゲン撮影を行い、靭帯損傷の有無や損傷の程度を把握する。
陽性の判断は以下の通り。
- 前方引き出し5㎜以上
- 内反ストレス10°以上
※前述したように、足関節捻挫の中には骨折も合併している可能性があるので、それも含めてをレントゲン検査で確認する。有無を確認する。
足関節捻挫の治療
足関節捻挫の治療に関して「保存療法」と「手術療法」に分けてまとめてく。
保存療法
- 治療は保存的治療(手術しない方法)が原則である。
- まず受傷直後にはRICEの処置を行う。
- 「単なる捻挫」では安静を指示し、短期間の非ステロイド系抗炎症剤や外用剤を処方し、サポーター固定で経過観察する。
- 靭帯損傷を認める症例ではギプス固定を行う(歩行やランニングが行いやすいソフトギプスを使用することも多い。足首の固定は軽度背屈位とする)。
- 固定期間は損傷の程度に応じて3~6週間程度が目安となる。
- ギプス除去後は足首のストレッチング、筋力強化訓練を行わせ再発防止に努める。
手術療法
手術的治療は、将来にわたって激しいスポーツ活動を継続される方で、靭帯損傷の程度が強い症例が対象となり、縫合術などが検討される。