この記事では、リハビリ(理学療法・作業療法)の対象にもなりやすい『筋萎縮(筋力低下)』について記載していく。

 

廃用症候群と絡めての記載なため、廃用症候群自体については後述するリンク先も合わせて観覧してみてほしい。

 

筋萎縮とは

 

筋萎縮(muscleatrophy)とは、以下の様に定義されている。

 

一度正常に発育した骨格筋の容積がなんらかの原因で縮小した状態

 

上記の定義通り、骨格筋は何らかの原因で萎縮してしまうのだが、特に廃用症候群(つまり不動化)は筋萎縮と密接に関係しており、不動化によって筋活動が制限されると、その環境適応として個々の筋線維サイズの縮小と筋線維数の減少によって筋容積が減少してしまう。

 

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不動と筋萎縮で言われていること

 

骨格筋は「使わなければ萎縮するし、使ってあげれば肥大する」といった様に環境適応する。

 

※環境適応は骨格筋に限った話ではないが、骨格筋が一番ピンときやすいのではないだろうか?

廃用症候群(不動)と筋萎縮の因果関係としては、その他に以下が言われている。

 

メカニカルストレスの少ない短縮位で不動化されるほうが、伸張位で不動化されるよりも筋萎縮の発生が著しい

 

このことはメカニカルストレスが筋萎縮の発生を左右する重要な因子であることを示唆する。

 

例えば、ストレッチングは他動運動ではあるもののメカニカルストレスを筋に加えていることになるため、筋萎縮の予防に(多少は)貢献できる可能性がある。

 

特に下腿三頭筋のストレッチングなどはベッドサイドで実施しやすいリハビリ(理学療法)の一つであるが、ストレッチングを「拘縮予防」としてだけでなく、「筋萎縮予防」としても有用な刺激だと考えることが出来るかもしれない(勿論、自動運動が重要なのは言うまでもないことだが)。

 

 

不活動による筋萎縮では、速筋線維に比べ遅筋線維のほうが筋萎縮の発生が顕著

 

骨格筋の不活動(ギプス固定など)による筋萎縮では、速筋線維に比べ遅筋線維のほうが筋萎縮の発生が顕著だと言われている。

 

その理由は、速筋線維と遅筋線維における以下の違いが関係している。

 

速筋線維:

大きな力を発揮する際や速い収縮を行う際に動員される

 

遅筋線維:

体重支持や姿勢維持などのために普段から動員されている

 

つまり、常日頃から活動しっぱなしの遅筋線維のほうが、(その活動を制限された際に生じる)影響を相対的に強く受けるという事になる。

 

廃用症候群からは脱線するかもしれないが、例えば急性腰痛症で過度な(不必要な)安静を強いた場合、体幹インナーマッスルにおける遅筋線維が著しく萎縮してしまい、それが腰痛の遅延をさらに招いてしまう可能性もある。

 

関連記事

⇒『急性腰痛症(ぎっくり腰)の激痛対処法とは?

⇒『インナーマッスル(コアマッスル)の段階的トレーニングとは

 

 

高齢者の加齢に伴う筋力低下

 

先ほど、「骨格筋の不活動(ギプス固定など)による筋萎縮では、速筋線維に比べ遅筋線維のほうが筋萎縮の発生が顕著だと言われている」と記載した。

 

しかし、これを高齢者にも絡めて考えると話がシンプルではなくなる。

 

なぜなら、高齢者の筋機能に関しては「遅筋線維に比べ、速筋線維のほうが選択的に萎縮しやすい」とされているからだ。

 

高齢者は若年者に比べて動作が緩慢(ゆっくり)だが、これも速筋線維の選択的筋萎縮と関係があるのかもしれない。

 

※緩慢だから速筋線維が萎縮するのか、速筋線維が萎縮するから緩慢になるのかは不明だが・・・(実際は、脳機能や関節機能の退行など色々からんでくるのでシンプルでは無い)。

 

つまり高齢者の生活不活発病としては「速筋線維・遅筋線維の両方が萎縮する」ということが起こる。

 

そして、廃用症候群として「遅筋線維の筋萎縮」にフォーカスしてリハビリを考えるのであれば、抗重力筋である以下などが筋力トレーニングの対象となる。

 

・脊柱起立筋群(多裂筋など)

・腹筋群(腹横筋など)

大殿筋

大腿四頭筋

下腿三頭筋

 

 

廃用症候群による「高齢者の筋力低下」を予防・改善しよう

 

医療・介護現場における廃用症候群の予防に重要なのは、何と言っても「(早期)離床」だろう。

 

要は「寝たきりにさせない」ということだ。

 

特別なリハビリ(理学療法)をしなくとも、不必要な臥床傾向を防止し、座っておく、移乗する、歩くといった事をするだけで、最低限の筋萎縮予防につながる。

 

逆を言えば、どんなにベッドサイドでリハビリ(理学療法)をしようとも、それ以外の時間でずーーーーーっと寝ていては、筋萎縮は予防出来ない。

 

※むしろ、この様な状態では積極的なリハビリはいつまでたっても行えず、むしろリハビリが過用症候群に繋がる可能性すらある。

 

 

筋萎縮予防関連記事

 

離床が重要な点を前提条件とした上で、リハビリ(理学療法)は重要となってくる。

 

そして、この記事では廃用症候群シリーズとして「筋萎縮(筋力低下)」にフォーカスを当て記載しているが、筋力を考えた場合は「筋萎縮(or筋量の減少)」だけでは語れない側面があり、それは『筋出力(神経筋の協調能)の低下』である。

 

つまり、どんなに大きな断面積を持った筋でもこの神経系の筋力の調節機構がうまく機能しないと強い力を発揮することはできないということになる。

 

関連記事

⇒『筋出力を調節する三つの要素(運動単位など)

⇒『筋力と筋出力の違いを解説!

 

 

そして、高齢者に対する適切な筋力トレーニングによって速筋・遅線維ともに筋力向上(筋肥大・筋出力向上)がみられることが分かっている。

 

以下の記事は、廃用症候群の筋萎縮を予防するにあたっては、以下の記事を参考にしてみてほしい。

 

高齢者の筋力トレーニングの効果や方法(強度/回数/注意点など)

 

生活不活発病の理解がリハビリに必須な件

 

 

廃用症候群まとめ記事

 

以下の記事は、拘縮も含めた『廃用症候群』のまとめ記事になる。

 

拘縮以外の廃用症候群についても言及しているので、こちらも参照すれば廃用症候群の理解が深まると思う。

 

廃用症候群の恐怖!{高齢者のリハビリ/看護/介護で必須の知識}