この記事では、肘関節における運搬角(キャリーアングル)をイラストで紹介している。
「正常値」や「肘角との違い」も解説しているので参考にしてみてほしい。
運搬角(キャリーアングル)とは
上肢における「上腕長軸」と「前腕長軸」は同一線上に存在せず、(前腕回外位において)若干外反している。
そして、「上腕長軸と前腕長軸のなす角度」を以下のように表現する。
- 運搬角(キャリーアングル)
- 肘角
「運搬角(キャリーアングル)」と「肘角」の違い + 正常値
運搬角と肘角は同義として扱われることもあるが、以下のイラストのように分けて考える場合もある。
でもって、運搬角・肘角を分けて考えた場合、正常値は以下の通り。
- 運搬角⇒160~170°
- 肘 角⇒10 ~20°
ただし、以下の点に注意。
- 正常値は文献によって(若干)異なる。
- 女性の方が外反角度(肘角)が大きい傾向にある。
また、肘角が大きいからといって必ずしも機能障害が生じるわけではない(異常ではない)。
例えば女性で「私、肘を伸ばした状態で、前腕がピッタリくっつくの(バレーボールでトスをする際のポーズに似ている)」と見せてくれる人がいたりする。
運搬角(キャリーアングル)の名称由来
「運搬角」や「キャリーアングル(Carry angle)」という名称は、この「肘関節の生理的外反」がモノを運ぶときに有利だからという点に由来している。
肘を伸ばした状態で「モノが入った手さげ袋」を持ちながら歩いている自分を想像してみてほしい。
生理的外反がなければ、歩くたびに「モノが入った手さげ袋」が降り出す足に当たって邪魔なのがイメージできないだろうか?
肘関節が外反していることにより、モノを運びやすいという意味で「運搬角(キャリーアングル)」という名称がついている(らいしい)。
生理的外反・外反肘・内反肘
運搬角・肘角の正常値(文献によって多少の違いあり)を基準にして、生理的外反より外反角度が大きいものを『外反肘』、小さいものを『内反肘』と呼ぶ。