この記事では、変形性股関節症の進行度分類(病期分類)を紹介している。
また、ザックリとではあるが、各進行度(病期)における症状についても解説しているので興味があれば観覧してみてほしい。
変形性股関節症の進行度分類(病期分類)
変形性股関節症の進行度は「病期」といわれ、「前関節症」「初期」「進行期」「末期」の4つに分けられる。
また、「ステージⅠ」「ステージⅡ」「ステージⅢ」「ステージⅣ」と呼ばれることもある。
以下のレントゲン写真は左から右に変形性股関節症が進行している。
変形性股関節症のX線像における病期別の特徴
関節面の不適合 | 関節裂劇の狭小化 | 軟骨下骨質の接触 | 荷重部関節裂隙の消失 | |
---|---|---|---|---|
前股関節症 | (±) | (-) | (-) | (-) |
初期 | (+) | (±)部分的 | (-) | (-) |
進行期 | (+) | (+) | (+)部分的 | (+) |
末期 | (++) | (++) | (++) | (++) |
ではでは、ここからは各病期(ステージ)について記載していく。
ステージⅠ(前関節症期)
前股関節期(ステージⅠ)の意味は以下の通り。
臼蓋形成不全など、形状の異常があったとしても、関節軟骨のすりへりは見られない。
レントゲン画像上は、寛骨臼と大腿骨頭の間の隙間の広さも正常に保たれていて、痛みもほとんど感じない状態(この時期に受診する人は少ない。
あるいは、違和感・クリック音・不安定感を感じて受診しても、レントゲン上問題ないと判断され、経過観察になることも多い段階(ただし関節唇損傷が生じている場合がもある)。
ステージⅡ(初期)
初期(ステージⅡ)の意味は以下の通り。
関節軟骨が少しすり減ってくる。レントゲン上は、関節の間隙が部分的に狭くなったり、(レントゲン上は写らないが)関節軟骨の凹凸が生じる、体重がかかっている部分が変性して硬くなるなどの変化がみられる。
この段階になると、個人差はあるが、対象の痛みを感じるようになる。
ステージⅢ(進行期)
進行期(ステージⅢ)の意味は以下の通り。
関節軟骨がさらにすり減るため、レントゲン上の寛骨臼と大腿骨頭の隙間もさらに狭くなり、関節軟骨の下にある骨の一部が、直接ぶつかり合うようになる。
そのような関節の移乗を補修しようとして寛骨臼や大腿骨頭に「骨棘」と呼ばれる棘状の骨が生じる。
更に、骨の一部が吸収されて空洞になる「骨嚢胞(こつのうほう)」が出現する。この場合、強い痛みを感じる。
ステージⅣ(末期)
末期(ステージⅣ)の意味は以下の通り。
関節軟骨がほとんど消失し、関節の隙間も無くなり、骨同士が直接ぶつかりあってしまう。
骨棘や骨嚢胞も顕著になる。この段階では強い痛みをかじるkとが多いが、変形が施行して関節が動かなくなると、骨が安定して、逆に痛みを感じにくくなることもある。
しかし、股関節の可動域は歩行も含めて日常生活には欠かせないので、その関節が「安定してしまう」ということは他の関節が可動性を補っている状態であり、別の部位に機能障害が派生してしまうこともある(これは末期だけでな、他の病期でもいえることだが)。
例えば腰部と股関節は特に関連しており『ヒップスパインシンドローム』と言われることもある。
関連記事⇒『股関節の特徴を網羅したよ』
変形性股関節症における症状の一例
変形性股関節症の症状に関して、病期の進行に当てはめつつ、あくまで一例として紹介しておく。
変形性股関節症の初期には、股関節付近の「鼠径部」の痛みや違和感が生じることが多い。
この部位の症状は、起立時や歩行開始時、方向転換時に感じることが多い。
ただし、痛みの起こり始めの時期は、数日間休めば痛みが治まる。
しかし、それを繰り返すうちに痛みが引くまでの期間が徐々に長くなってきたりする。
進行すると、安静にしていても痛んだり、就寝中、痛みのために目が覚めるという人もいたりする。
また、股関節の変形が進行してくると「脚長差」が生じる場合がある。
変形性股関節症のある側の脚が短くなり、左右の足の長さに差が出る場合がある(脚長差)。
脚長差があると、体を揺らすように歩くなど、歩き方にも変化が出る。
また、痛みのある短い側の脚を庇うため、反対側の脚にも大きな負担がかかり、痛みが起こることがある。
脚長差の評価に関しては以下の記事も参考になると思うので観覧してみてほしい。
⇒『形態測定って、どんな意味があるの?【BMI、上肢・下肢の長さ、周径など】』
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以下の記事でも、変形性股関節症の症状について解説しているので合わせて観覧すると理解が深まると思う。