この記事では『突き指』について解説していく。
突き指について
突き指はスポーツ活動や日常生活活動の中で良く起こる外傷(けが)の一つである。
一般的に、単なる指の捻挫と思われがちだが、中には腱の断裂や骨折、脱臼を伴うものもあり、早期に適切な診断と治癒を施さないと後遺症(関節の痛み、運動障害、不安定性)を残し、後日問題となる。
でもって(腱の断裂・骨折・脱臼を伴う突き指として)代表的な疾患は以下となる。
- PIP関節(指先から数えて第2番目の関節)に発生する『PIP関節脱臼骨折』
- DIP関節(指先から数えて第1番目の関節)に発生する『マレッドフィンガー』
突き指① PIP関節脱臼骨折
まずは『PIP関節脱臼骨折』について解説していく。
原因
突き指の際にPIP関節(指先から数えて第二番目の関節)が過伸展(無理に反らされた状態)や軽度屈曲(少し曲がった状態)で長軸方向に外力が働いて発生する。
分類
PIP関節脱臼は以下の2つに分かれる。
- 背側脱臼骨折:
例:PIP過剰伸展位→掌側から外力が加わる→背側へ脱臼・掌側に骨片(以下のイラスト左)
- 掌側脱臼骨折:
例:PIP軽度屈曲位→背側から外力が加わる→掌側へ脱臼・背側へ骨片(以下のイラスト右)
でもって、突き指によるPIP関節脱臼の大半が「背側脱臼骨折(イラスト左)」である。
症状
PIP関節脱臼の症状は、PIP関節の「腫れ」「内出血」「痛み」「運動機能障害」である。
診断はレントゲン検査が不可欠で、正確な側面画像を映し出すことがポイントである。
背側脱臼骨折では中節骨全体が背側に脱臼し、中節骨の掌側基部に三角形の骨片を認める。逆に掌側脱臼骨折では中節骨全体が掌側に脱臼し、背側に骨片を認める(前述したイラストの通り)。
治療
治療は徒手整復術を行う。
不安定性がなければアルミニウム副子固定やギプス固定にて経過観察する。
一方で、整復が困難な症例や骨片が大きい症例ではpinningによる整復術や骨接合術を行う。
※固定期間やリハビリテーションは年齢や骨折のタイプ、固定方法によって症例ごとに判断される。
突き指② マレットフィンガー(槌指:つちゆび)
マレットフィンガーは『槌指(つちゆび)』とも呼ばれる。
マレットフィンガーは、以下のタイプに分類される。
- 突き指の際にDIP関節の過伸展(無理に反らされる状態)が強制されて骨折するタイプ(イラスト左)
- 突き指の際にDIP関節の過屈曲(無理に曲げられる状態)が強制されて腱が断裂するタイプ(イラスト右)
いずれのタイプの場合も、見た目的にはDIP関節の屈曲変形(曲がったままで伸ばす事が困難な状態)を認める。
マレットフィンガーの治療
マレットフィンガーの治療は、DIP関節を過伸展にして整復が得られればスプリント固定を6~8週間行う。
整復が困難な症例は経皮的なpinninngによる整復術を行う。
陳旧例(治療されずに放置された症例)の腱断裂では腱縫縮術や腱移植術を行う。
尚、固定期間やリハビリテーションについては年齢や骨折のタイプ、固定方法によって症例ごとに判断される。
※リハビリとしては箸を使う、字を書く、何かをつまむなどの機能の獲得など。