この記事では、パーキンソン病の一つである『パーキンソン病統一スケールUPDRS』について解説してく。

 

パーキンソン病統一スケール(UPDRS)とは

 

UPDRS(unified Parkinson’s disease rating scale)は、パーキンソン病の総合的評価として1987年にファン(Fahn)らにより作成され、妥当性と信頼性の高さが証明され世界的に使用されている。

 

評価項目は以下の4項目からなり、全体像をとらえる客観的なスクリーニング評価としては有用である。

  1. 精神症状の評価
  2. 日常生活動作の評価
  3. 運動能力に関する評価
  4. 治療の合併症に関する評価

 

一方で、(後述するが)検査項目が多く、検査に時間を要すことが欠点である。

 

 

パーキンソン病統一スケール( UPDRS)の推奨グレード

 

パーキンソン病に対する理学療法診療ガイドライン』におけるパーキンソン病統一スケール( UPDRS)に関する箇所は以下の通り。

 

パーキンソン病統一スケール(unified Parkinson’s disease rating scale: UPDRS)

 

推奨グレード A

 

パーキンソン病の帰結評価指標として最も頻繁に使用され,信頼性,妥当性も高い 。

内的整合性についてクロンバックの α係数 0.96,検者間信頼性について重み付きカッパ係数 0.83,再現性について全体スコアの級内相関係数 0.92,精神機能 0.74,activity of daily living(ADL)0.85,運動機能 0.90 の報告がある 。

2008 年に改訂版が出されている。

 

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その他の評価指標

 

UPDRS以外に有名なパーキンソン病の評価指標としては『ホーエン・ヤールの重症度分類』があるが、こちらは評価に時間がかからな半面、非常にザックリとした指標になっている。

 

※どちらかと言うと、ホーエン・ヤールの重症度分類のほうが認知されていると思う。

 

関連記事⇒『パーキンソン病の評価指標 | ホーエン・ヤールの重症度分類を解説!

 

 

パーキンソン病統一スケール(UPDRS)の実際

 

ここから先は、パーキンソン病統一スケール(UPDRS)の各項目を記載していく。

 

Ⅰ 精神機能・行動および気分(最高16点)

 

①知的機能の障害

0:なし

1:軽度。健忘が一貫してみられるが、部分的に思い出す。他の障害はない。

2:中等度の記銘力障害と見当識障害あり。複雑な問題への対処に中等度の障害。家庭内でも軽度ながら明らかに障害があり、時に介助を必要とする。

3:重篤な記憶障害と、時間と、時に場所に対する見当識障害。問題の対処に重篤な障害

4:重篤な記憶障害と見当識は人に対してのみ保たれている。判断や問題解決は不可能。身の回りのことにもかなりの介助が必要で、ひとりにしておけない

 

②思考の障害(認知症または薬物の中毒による)

0:なし

1:生々しい夢をみる

2:たちのよい幻覚、幻覚であることはわかっている

3:ときどきあるいはしばしば幻覚、妄想があるが病識がない。日常生活に支障をきたすことあり

4:持続的に幻覚、妄想あるいは病勢さかんな精神病がある。自分でケアをできない

 

③抑うつ

0:なし

1:ときに正常以上の悲しみや罪悪感に悩まされる。数日や数週続くことはない

2:うつが1週間以上続く

3:不眠食欲不振、体重減少、興味の消失を伴う抑うつ状態

4:上記の症状に自殺念慮あるいは自殺企図を伴う

 

④意欲、自発性

0:正常

1:通常より受動的。より消極的

2:選択的活動(ルーチンでない)を進んで行わない。興味の喪失

3:日々の活動(ルーチン)を進んで行わない。興味の喪失

4:引きこもり。意欲の完全な消失

 

 

Ⅱ 日常生活活動:on/off時にかけて評価(最高52点)

 

⑤会話

0:正常

1:軽度の障害。理解するのに障害なし

2:中等度の障害。ときどきもう一度繰り返すように頼まれる

3:高度の障害。しばしばもう一度繰り返すように頼まれる

4:ほとんどの時間、聞き取り不能

 

⑥唾液

0:正常

1:口中の唾液が軽度ながら明らかに増加。夜間の流誕をみることあり

2:中等度に唾液が増加。軽度の流誕があることもある

3:著明に唾液が増加。時に流誕

4:著明に流誕、ティッシュや八ンカチを常に必要とする

 

⑦嚥下

0:正常

1:まれにむせる

2:ときどきむせる

3:やわらかい食事にしないとむせる

4:鼻管や胃瘻でチューブフィーディング

 

⑧書字

0:正常

1:軽度書字が遅いか字が小さい

2:中等度に遅いか字が小さい。すべての語は読める

3:高度に障害。すべての語が読めるわけではない

4:語の大多数は読めない

 

 

⑨食べ物のカット、食器の取り扱い

0:正常

1:いくらか遅くぎこちないが、助けはいらない

2:遅くぎこちないが、たいていの食べ物はカットできる部分的に介助

3:食べ物は他人に切ってもらわないといけないが、ゆっくりと食べられる

4:他人に食べさせられる

 

⑩着衣

O:正常

1:いくらか遅いが、介助は要しない

2:ボタンをとめる、そでに腕を通すなどで時に介助を要する

3:いくらか自分でできることもあるが‘かなり介助が必要

4:自分では何もできない

 

⑪衛生(入浴トイレ)

0:正常

1:やや遅いが介助は要しない

2:シャワーや入浴に介助を要する。とても遅い

3:洗顔、歯磨き、くし、風呂に行くなど介助を要する

4:膀胱カテーテル

 

⑫寝返りおよびシーツを直す

0:正常

1:少し遅く不器用だが、介助は必要ない

2:ひとりで寝返りをうったりシーツを直せるが、大変な努力を要する

3:寝返りやシーツを直す動作は始められる。しかし完結できない

4:自分では全くできない

 

 

⑬転倒(すくみ現象とは関係なしに)

O:なし

1:まれに転倒

2:ときどき転倒。平均して1日に1回はない

3:平均して1日1回転倒

4:1日数回転倒

 

 

⑭歩行中のすくみ

0:なし

1:歩行中にまれにすくみ、歩きはじめにすくむことがある

2:ときどき歩行中にすくむ

3:しばしばすくむこれにより時に転倒する

4:しばしばすくみ足により転倒する

 

 

⑮歩行

0:なし

1:軽度障害。腕の振りがなかったり、足を引きずることがある

2:中等度障害。しかし介助はほとんどいらないか不要

3:高度障害介助を要する

4:介助をもってしても歩行不能

 

⑯振戦

O:ない

1:軽度そしてまれにある。患者にとっては煩わしくない

2:中等度。患者は気になる

3:高度。多くの日常生活動作ができない

4:著明。ほとんどの日常生活動作が妨げられる

 

 

⑰パーキンソン症候群に関連した感覚障害

0:なし

1:ときどき感覚鈍麻。ちくちく、または痛みを感じる

2:しばしば感覚鈍麻。ちくちく、または痛みを感じる。苦痛ではない

3:しばしば痛みを感じる

4:耐えがたい痛み

 

Ⅲ 運動機能検査:on時に検査する(最高108点)

 

⑱言語

0:正常

1:表現、用語、and/or 声量の軽度の障害がある

2:中等度の障害。単調で不明瞭だが理解できる

3:箸しい障害。理解が困難

4:理解不能

 

⑲顔の表情

0:正常

1:わずかに表情が乏しい。ポーカーフェース

2:軽度だが明らかな表情減少

3:中等度の表情の乏しさ。口を閉じていないときがある。

4:仮面様で、ひどくあるいは完全に表情がない。口は0.6cm以上開いている

 

⑳安静時の振戦

 

~顔面~

0:なし

1:わずかの振戦が、時にみられる程度

2:軽度の振幅の振戦が常にある。または中等度の振幅の振戦が時々ある

3:中等度の振戦がほとんどの時間にある

4:高度の振戦がほとんどの時間にある

 

~左手~

0:なし

1:わずかの振戦が、時にみられる程度

2:軽度の振幅の振戦が常にある。または中等度の振幅の振戦が時々ある

3:中等度の振戦がほとんどの時間にある

4:高度の振戦がほとんどの時間にある

 

~右手~

0:なし

1:わずかの振戦が、時にみられる程度

2:軽度の振幅の振戦が常にある。または中等度の振幅の振戦が時々ある

3:中等度の振戦がほとんどの時間にある

4:高度の振戦がほとんどの時間にある

 

~左足~

0:なし

1:わずかの振戦が、時にみられる程度

2:軽度の振幅の振戦が常にある。または中等度の振幅の振戦が時々ある

3:中等度の振戦がほとんどの時間にある

4:高度の振戦がほとんどの時間にある

 

 

~右足~

0:なし

1:わずかの振戦が、時にみられる程度

2:軽度の振幅の振戦が常にある。または中等度の振幅の振戦が時々ある

3:中等度の振戦がほとんどの時間にある

4:高度の振戦がほとんどの時間にある

 

 

㉑手の動作時または姿勢時振戦

 

~左~

0:ない

1:軽度。動作に伴って起こる。

2:中等度の振幅。動作に伴って起こる

3:中等度の振幅。動作時、姿勢時に起こる

4:著名な振幅。食事が妨げられる

 

~右~

0:ない

1:軽度。動作に伴って起こる。

2:中等度の振幅。動作に伴って起こる

3:中等度の振幅。動作時、姿勢時に起こる

4:著名な振幅。食事が妨げられる

 

㉒固縮(患者は座位で安静にしている。主要な関節で判断する。歯車現象は無視)

 

~頚部~

0:ない

1:軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発される程度

2:軽度ないし中等度の固縮

3:高度の固縮。しかし関節可動域(ROM)は正常

4:著名な固縮。ROMに制限あり

 

~左上肢~

0:ない

1:軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発される程度

2:軽度ないし中等度の固縮

3:高度の固縮。しかし関節可動域(ROM)は正常

4:著名な固縮。ROMに制限あり

 

~右上肢~

0:ない

1:軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発される程度

2:軽度ないし中等度の固縮

3:高度の固縮。しかし関節可動域(ROM)は正常

4:著名な固縮。ROMに制限あり

 

~左下肢~

0:ない

1:軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発される程度

2:軽度ないし中等度の固縮

3:高度の固縮。しかし関節可動域(ROM)は正常

4:著名な固縮。ROMに制限あり

 

~右下肢~

0:ない

1:軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発される程度

2:軽度ないし中等度の固縮

3:高度の固縮。しかし関節可動域(ROM)は正常

4:著名な固縮。ROMに制限あり

 

㉓指タップ(母指と示指をなるべく大きく早くタップする。左右は別々に)

 

~左~

0:正常(≧15回/5秒)

1:少し遅いが、振幅が減少している(11~14/5秒)

2:中等度の障害。疲れやすい。ときどき運動が止まることがある。(7~10回/5秒)

3:著名な障害。はじめにしばしばすくむ、または運動中に泊まる(3~6回/5秒)

4:ほとんどできない(0~2回/5秒)

 

~右~

0:正常(≧15回/5秒)

1:少し遅いが、振幅が減少している(11~14/5秒)

2:中等度の障害。疲れやすい。ときどき運動が止まることがある。(7~10回/5秒)

3:著名な障害。はじめにしばしばすくむ、または運動中に泊まる(3~6回/5秒)

4:ほとんどできない(0~2回/5秒)

 

㉔手の動作(できるだけ大きく、すばやく手の開閉を繰り返す。左右は別々に)

 

~左~

0:正常

1:少し遅いが、振幅が小さい

2:中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まることがあってもよい

3:顕著な障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる

4:ほとんどできない

 

~右~

0:正常

1:少し遅いが、振幅が小さい

2:中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に運動が止まることがあってもよい

3:顕著な障害。しばしば開始時にすくみ、運動が止まる

4:ほとんどできない

 

㉕手の回内回外運動(垂直や水平の位置で、できるだけ大きく、左右は別々に)

 

~左~

0:正常

1:少し遅いか、振幅が小さい

2:中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に止まってもよい

3:著名な障害。しばしば開始時にすくむ。あるいは途中で止まる

4:ほとんどできない

 

~右~

0:正常

1:少し遅いか、振幅が小さい

2:中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に止まってもよい

3:著名な障害。しばしば開始時にすくむ。あるいは途中で止まる

4:ほとんどできない

 

㉖下肢の俊敏性(下肢をあげて踵で床をタップする。踵は7.5cmあげる)

 

~左~

0:正常

1:少し遅いか、振幅が小さい

2:中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に止まってもよい

3:著名な障害。しばしば開始時にすくむ。あるいは途中で止まる

4:ほとんどできない

 

~右~

0:正常

1:少し遅いか、振幅が小さい

2:中等度の障害。すぐ疲れてしまう。時に止まってもよい

3:著名な障害。しばしば開始時にすくむ。あるいは途中で止まる

4:ほとんどできない

 

㉗いすから立ち上がる(まっすぐの背もたれの木か金属いす。腕を組んだまま立ち上がる)

0:正常

1:遅い。または一度でうまくいかないことあり

2:肘かけに腕をついて立ち上がる

3:いすに再び倒れ込む。一度ではうまくいかないことがあり、介助なしで立ち上がれる

4:介助なしでは立ち上がれない

 

㉘姿勢

0:正常

1:軽度の前屈姿勢。高齢者では正常な程度

2:中等度に前屈姿勢。明らかに以上。少し左右一方に偏っていてもよい

3:高度に前屈姿勢で、脊柱後湾(亀背)を伴う。中等度に左右一方に偏ってよい

4:高度の前屈姿勢。姿勢は極端に異常である

 

㉙歩行

0:正常

1:歩行は緩慢。数歩はひきずり足になる。加速歩行や前方突進はない

2:歩行は困難を伴う。介助は要しない。加速歩行や数歩の前方突進あり

3:著しく障害。介助を要する

4:介助があっても歩行不能

 

 

㉚姿勢の安定性(患者はまっすぐに立ち、開眼し、足は少し開いて準備する。肩を後方に勢いよく引いて後方突進現象をみる)

0:正常

1:後方突進あり。自分で立ち直れる

2:姿勢反射が起きない。検者が支えなければ倒れてしまう

3:きわめて不安定。自然にバランスを失う

4:介助なしでは立てない

 

 

 

㉛体の動作緩慢(動作緩慢、躊躇、腕の振りの減少、運動の振幅の減少と運動全体の少なさを総合的に評価する)

0:なし

1:わずかに緩慢。ゆっくりとした動作。人によっては正常のこともある。運動の振幅がやや小さいこともある。

2:軽度に動作が緩慢。運動量が明らかに低下している。運動の大きさがやや低下

3:中等度に動作が緩慢。運動量が低下し、または運動の大きさが低下している

4:著明に動作が緩慢。運動量の低下、または運動の大きさが低下している。

 

 

Ⅳ 治療の合併症(最高30点)

 

~ジスキネジアに関して~

 

㉜持続時間(起きている時間の何パーセントか)

0:なし

1:1~25%

2:26~50%

3:51~75%

4:76~100%

 

㉝ジスキネジアによる障害

0:なし

1:軽度障害

2:中等度障害

3:重度に障害

4:完全な障害(なにもできない)

 

㉞痛みを伴うジスキネジア。どのくらい痛いか

0:なし

1:軽度

2:中等度

3:重度

4:著明な障害

 

㉟早朝のジストニア

0:なし

1:あり

 

 

~症状の日内変動に関して~

 

㊱服薬時間から予測可能なオフ期間はあるか

0:なし

1:あり

 

㊲服薬時間から予測不可能なオフ期間はあるか

0:なし

1:あり

 

㊳突然(数秒以内など)起こるオフ期間はあるか

0:なし

1:あり

 

㊴起きている時間の何パーセントが平均してオフ期間か

0:なし

1:1~25%

2:26~50%

3:51~75%

4:76~100%

 

 

~その他の合併症状に関して~

 

㊵患者は食欲低下、嘔気、嘔吐を伴っているか

0:なし

1:あり

 

㊶不眠や眠気があるか

0:なし

1:あり

 

㊷起立性低血圧症状はあるか

0:なし

1:あり

 

 

補足:MDS-UPDRSについて(+UPDRSとの違い)

 

冒頭で記載したように、UPDRSは1987年にファン(Fahn)らにより作成された。

 

で、2008年にMovement Disorder Societyが改変し発表した総合評価として(UPDRSの進化形である)『MDS-UPDRS』という評価指標もある。

 

「MDS-UPDRS」と「UPDRS」の違いは以下の通り。

  • UPDRSにあった曖昧な部分や適切でない評価尺度が修正されたこと
  • 非運動症状に関する質問が追加され、設問数が42から50に増加していること。

 

 

「MDS-UPDRS」の各評価項目の概要

 

MDS-UPDRSの各評価項目の概要は以下の通り

~参考『神経障害系理学療法学』~

 

精神・行動・気分(知能・意欲など4項目)
活動性・日常生活(会話・嚥下・書字・着衣・転倒・歩行など13項目をonとoff相で)
運動(発語・振戦・固縮・タッピング・起立・姿勢・歩行・姿勢反射・無動など14項目をonとoff相で)

治療による随伴症状

A.異常運動(出現の持続時間、能力障害、早期ジストニアなど4項目)

B.症候の日内変動(offの予測、変動の速度、off時間など4項目)

C.他の症状(胃症、睡眠、起立性めまいの3項目)

Hoehn & Yahrのステージ(0~5の6段階に1.5と2.5を加えた8段階評価)
Schwab & EndlandのADLスケール(onとoff相で完全自立を100%、寝たきりで嚥下・排泄も悪いものを0%とし11段階で%表示)

 

赤色部分⇒従来のUPDRS(42項目)

青色部分⇒MDS-UPDRSで追加された項目(8項目)

 

 

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